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webadm | 投稿日時: 2012-8-16 3:52 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3092 |
Laplace変換 Laplaceは18世紀の数学者であるが、既に現在Laplace積分として知られている以下の式を"確率の解析的理論"の著書で用いたらしい。
おそらく当時Laplaceは変数sを複素数ではなく実変数としてしか考えていなかったと思われるが、Laplaceが最初にこの式導入したので目的は違っても敬意を表してLaplace変換と呼ぶようになったのだと思われる。おそらくCarsonがHeavisideの演算子法を研究した際に命名したのだと思われる。 積分式から容易にsの実数部が0か負の場合には積分が発散することがわかる。従って、この変換はRe s > 0であることが条件となる。これは問題ないだろう。変換されたF(s)はs平面上の右半面のみを定義域として持つことになる。 普通はこの理解で良いが、厳密には積分が収束するためにはもっと条件があることになる。 sが複素数であるということは、F(s)が複素関数であるので、積分も複素関数の条件を満たさなければならないことになる。 数学的にはf(t)は区分的に連続であることということにあるが、定義区間で関数値が無限大をとるような極があってはいけないということになる。f(t)が区分的に連続でないと、極でF(s)が収束しない点を持つためである。 もう一つはf(t)が指数位の関数で以下を満足すること これはf(t)が以下を満たす指数位の関数であることが十分条件(必要条件ではない)となる 上記を満たすMとσが存在するときf(t)は指数σの関数と言う。 Laplace変換の結果であるF(s)が有界値をとるには以下の条件を満足する必要がある 従って上記を満たすにはRe s > σであることが十分条件となる。 これらの条件は十分条件であってLaplace変換が存在する必要条件ではない。十分条件を満たしていなくてもLaplace変換が存在する関数もあるのでややこしい。 とりあえず電気回路については、σ>0となるような事例はめったにないのでそこまで厳密に考えなくてもよいと思われる。 著者のLaplace逆変換の提示式にも上記の考慮を含むものが記載されているが、その説明はまったく無い。工学レベルでは必要ないという認識なのだろう。 Laplace変換の判りやすい提示方法で参考になる手元にある書物を挙げると ・「エレクトロニクスエンジニアのためのラプラス変換」ホルブルーク 宮脇一男訳 朝倉書店 ・「スバラシク実力がつくと評判のラプラス変換キャンパス・ゼミ」馬場敬之 高杉豊 マセマ出版 前者は電気電子回路解析設計の実務現場を良く知っている著者が実用重視で解説したもの、重要でない厳密な数学的なことは書いていないが、現場での応用例については目を見張るものがある。 後者は学生向けのテキスト。他の本には書いていないうんちくや細かな理論背景が説明されている。Laplace変換の存在条件についての明快な解説を参考にさせて頂いた。 著者は最後にLaplace変換対の表を与えるだけで、実際に上の積分変換のやり方は提示していない。それは演習問題に委ねるということであろう。 しかし実際にここで事例を考えないと後の理論も上の空という感じになってしまうので、さっさと例を挙げてしっかり使えるようにしよう。 例1:定数もしくはステップ関数 Laplace変換で扱う関数の定義区間は[0,∞]でt<0では0をとるものとみなす。従って関数が定数である場合はステップ関数と同じである。 ということになる。 例2:指数関数 aが実数でa > 0の場合 ということになる。 例3:未知関数f(t)の導関数f'(t)のLaplace変換 未知関数f(t)の導関数f'(t)のLaplace変換はどうなるのだろう。これは電気回路で良く出てくる。 ということになる。すなわち未知関数f(t)のLaplace変換F(s)から未知関数f(t)のt=0での初期値を差し引いたものになる。これはt=0での未知関数の初期条件f(0)を与えるのに使える。 例4:未知関数の積分のLaplace変換 これも電気回路に良く現れる。未知関数f(t)の積分をLaplace変換するとどうなるか? ということになる。すなわち未知関数f(t)の積分関数のLaplace変換は、未知関数f(t)のLaplace変換F(s)をsで割った形と未知関数の積分関数のt=0での初期値をsで割った形の和である。これもt=0での初期条件を与えるのに使える。 Heavisideの演算子法は未知関数f(t)はそのままf(t)のままで良かったように、Laplace変換でも未知関数f(t)のLaplace変換はF(s)として扱うことが出来る。後で伝達関数と既知関数のLaplace変換の積から未知関数のLaplace変換の関係式が得られるので、それをLaplace逆変換すればよいということになる。 とりあえず微積分が使いこなせればLaplace変換そのものは問題ないと思われる。 |
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題名 | 投稿者 | 日時 |
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