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webadm | 投稿日時: 2012-8-25 23:18 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3092 |
部分分数展開 部分分数展開は過渡現象の演習問題でHeavisideの演算子法を使って問題を解く際に良く使用した。元々はそれが起源である。
電気回路の過渡現象を解析する際に、Laplace変換を用いた場合でも、未知関数のLaplace変換が分母と分子がそれぞれsの多項式からなる有理関数として得られる。時間領域での解を得るためにはそれをLaplace逆変換しなければならないが、Heavisideの演算子法と同様に部分分数に分解して項別にLaplace変換対表から逆変換する方法が使える。 部分分数展開については、一端子対回路の時に複素周波数sによるインピーダンス関数からForster展開で回路合成を行う際にも登場している。 時間領域関数f(t)のLaplace変換が以下の様な分母分子がそれぞれsの高次の多項式の場合、いきなりBromwich積分を求めるのは無理である。 分子および分母が既約で分母の次数が分子の次数よりも大きくかつ分母が一次の因子のみを含む場合、そのLaplace逆変換は ということになる。つまり部分分数に分解して項別にLaplace変換すればよいことになる。 ここで問題なのは部分分数に分解した時の分子の係数をどうやって求めるかということ。これは簡単で、ckを求めるには対応する因子(s-sk)を分母から祓った後、sにskを代入すれば良いのである。 もしくは上記の式でsをskに移行した際の極限値を求めればよい。Hlopitalの定理によって分母分子をそれぞれsで微分すれば これはを全部の項について適用し項別にLaplce変換すると ということになる。 これは過渡現象の演習問題の最後の方で用いたHeavisideの展開定理と良くにているので今でもその名前を用いているテキストもある。厳密には違うのだが、考え方は一緒である。 さてHeavisideの展開定理は分母に高次の因子を含む場合(重根を持つ場合)にはそのままでは適用できなかった。Laplace変換でも同じである。 分母に高次mの因子(s-s0)^mを含む場合、H(s)を分母に一次の因子のみを含むsの有理関数とすると と展開することができる。 c_mはF(s)に(s-s0)^mを乗じて分母から(s-s0)^mを祓ってsにs0を代入すれば求められるのはわかる。 しかし残りc1,...cm-1はどうすんだ(;´Д`) 良く見ると上の式をsで繰り返し微分すれば順次cm-1,cm-2,...c1の項だけが残ることから ということになる。従ってLaplace逆変換は ということになる。 最後に分母が複素共役を根に持つ二次因子を含む場合、H(s)をそれらを含まないsの有理関数とすると と書き換えることができる。最初の項は互いに複素共役な根から成る一次因子に部分分数展開し変数変換して逆変換しても良いが面倒なので以下の性質が知られている。 第一項の分母を祓ってsにa+jbを代入すれば ということになる。A,Bはそれぞれ実数である。 上記の結果の実数部と虚数部をそれぞれP1,P2と置くと ということになる。 これを先の展開式に代入すると 従ってこの部分に関するLaplace逆変換は推移定理や変換対表を使って ということになる。 著者の導出過程の式ではQ0とすべきところがQ1と誤植があるので注意。 この結果は過渡現象の演習問題でHeavisideの演算子法を使った後半の問題で見覚えがある。 さていよいよ演習問題に進もう。 |
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題名 | 投稿者 | 日時 |
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Laplace変換とその応用 | webadm | 2012-8-15 1:02 |
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» 部分分数展開 | webadm | 2012-8-25 23:18 |
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