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webadm | 投稿日時: 2012-9-19 4:40 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3088 |
有限長線路の4端子定数、位置角 有限長の分布定数回路は高周波回路に欠かせないものである。有限長線路は既に学んだ2端子対回路と捉えることができ、4端子定数で表すことができる。
既に求めた一般解に受電端(x=l)の境界条件としてER,IRを与え、送電端(x=0)の境界条件としてES,ISを与えると ということになる。これをベクトルと4端子定数マトリックスで表すと という見慣れた形式になる。 送電端から見た駆動点インピーダンスを計算すると ということになる。 無損失線路の場合伝達定数γが減衰定数α=0となるためγ=jβとなるから ということになる。 位置角 ここに来て判り難い概念が出てくる。定常状態の分布定数回路の位置による電流と電圧の振幅や位相は既に導いた解から得られるが更に位置角という概念が何故必要なのだろうか? 定常状態の送電点と受電点の境界条件はES,IS,ERそれにIRで与えられているが、その間の位置に関する振幅と位相は解によって送電点からの距離xによって図のように連続的に変化していくことは明らかである。 上の図は送電点を基点(原点)とした図であり、解もそのようになっている。どうやらら位置角は、位置の原点を受電点として振幅と位相がどう変化するかを表したものらしい。 どちらの場合でも任意の位置の電圧と電流のベクトル(振幅と位相)EP,IPは同じ双曲面上で螺旋曲線を描くことになる。どちらの図も互いに同相であることは確か。 ここでEP,IPを複素ベクトルとして表すと ということになる。 特殊な場合を除き、一般的にγは複素数であり、Z0,ZRも複素数であるからθRもまた複素数である。 また ということになる。これは受電端の位置角である。 同様に受電端を基点とする任意の位置x'での受電端方向から見たインピーダンスZPは,EP,IPより ということになる。 別のテキストでは受電端と受電端から任意の位置x'離れた点の電圧、電流の比を以下のように示している。 同様に伝送路の任意の2つの位置(x',x'')の電圧EP,EQ、電流IP,IQの比に関しては ということになる。 同様にインピーダンスに関しても ということで、受電点を基準として任意の線路上の電圧、電流それにインピーダンスが位置角によって表すことができるということになる。 これらは線路の電圧分布および電流分布、それにインピーダンス分布を知るのに役立つ。 P.S 後で思い出したのだが、先に描いた双曲面を見ると送電端と受電端で線路の長さによってはまったく逆位相にもなるということが容易にわかる。もしこれを極力短い線路長で実現できれば、反転増幅回路の入力と出力にそれぞれ受電端と送電端を接続すれば発信回路が出来上がることになる。短い線路で送電端と受電端で位相を反転させるためにはどんな条件が必要だろうか。これを実現したのが誘電体発信器である。誘電率が極めて高い誘電体(絶縁体)を使用して分布定数回路を構成すれば高い位相定数が得られることになる。 今日ではコンピューター回路はGHzオーダーのクロック周波数で駆動するデジタル回路だが、その昔はMHzオーダーのクロックが精一杯だった。そんな高速に動作する半導体がまだ開発されてなかったからだ。その時代にはちょっとだけ位相がずれたデジタル信号を作るのに定番のDellay Lineという電子部品が沢山使われていた。日本語では遅延線だが、中身は分布定数回路をDIPパッケージに収めたものだった。先の誘電体発信器とは逆に高透磁率の線路を使用することによって、デジタル信号をほとんど歪ませずに意図した時間だけ遅延して出力するということが可能になる。 どちらも半導体技術は発達して今では使われる機会は少ないが、一時代を代表した素子である。 |
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