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webadm | 投稿日時: 2012-9-26 6:15 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3088 |
スミス図表 著者は具体的な分布定数回路の応用には触れずに、最後にスミス図表に触れている。
よく高周波回路のテキストとかに必ず説明されている設計図表のひとつである。 分布定数回路の特性は一般に複素数もしくは複素関数であるため直感的に把握するのが難しい。 歴史的にはKDDIの前身である日本無線電信株式会社の水橋東作によって1937年に発表した論文に反射係数とインピーダンスの関係の円線図と称して現在知られているスミス図表と同じものが提示された。ほぼ同時期にRCAの技術者だったPhilip H. Smithが独立に現在スミスチャートとして知られる図表を考案しており、二年後の1939年に雑誌に発表している。既に国際情勢は第二次世界大戦へ突き進んでおり、軍事力で領土拡大を進めていた日本もやがて困難に遭い参戦することに。富国強兵の名のもとに、現代の日本を代表するメーカーが次々と設立されていった時代である。 その後スミスチャートはどんどん改良され実用的なものとなり現在の形として知られるまでに普及した。主に米国での話しである。日本は戦争に負けてそれどころではなかった。 電子計算機など無く、技術者が計算に使えるのは計算尺ぐらいだった時代にスミスチャートは必須のツールだった。今でも直感的にインピーダンス整合問題を解決するのに有用である。例えコンピュータープログラムで自動的に答えを出してくれるものが利用できる時代でも。 水橋の論文からその考え方を学ぶことができる。 水橋は二端子対回路と影像インピーダンスという当時の最新の理論を使っているが、無損失線路を前提とする時点で影像インピーダンスは特性インピーダンスと同じである。 特性インピーダンスの異なる2つの無損失線路をP点で接続した場合の反射係数については既に学んだ通り で表される。 ここで分母と分子を線路Iの特性インピーダンスZ0で割ると Zは線路IIの特性インピーダンスを線路Iの特性インピーダンスで割ったもので正規化インピーダンスと呼ぶ。 また上の式をZに関して解くと ということになる。 こっからどうすんだこれ(´Д`;) 正規化インピーダンスによる反射係数の収束範囲は わがんね(´Д`;) とりあえず、Z=r+jxを代入して整理すると ということになる。 少なくとも反射係数の実数部は1より大きい値はとらないということはわかる(入射波より反射波が大きくなることはないので当たり前) その他のことは良く判らない(´Д`;) 同じ反射係数の式を極座標形式で書き換えてみると ということになる。 これならグラフを描けそうであるが、よくわがんね(´Д`;) rを0に固定するとu=0となり反射係数は原点を中心とする半径1の円の上を描くことがわかる。x=0でθ=0,x=1でθ=π/2、x=∞でθ=π、x=-1でθ=-π/2、x=-∞でθ=-πへ移動することがわかる。 一方x=0に固定とするとθ=0、rを0から∞に変化させるとmvは実軸上を-1から1へ変化することになる。 上記の結果をグラフに描くと ということになる。 あとは任意のr≠0の場合とx≠0の組み合わせがどうなるかだ。 一時は大分回復したと思ったIQだが、ここにきてまた低下し始めたようだ。 焦る必要はない、人に先を越されても慌てない自分の速度と道を進むだけだ。 著者の解説はあるが、IQが低いのでなんのことやらさっぱりわからない。自分が納得するやり方で理解するのが一番だ。 今度は正規化インピーダンスZに関する反射係数の式でmv=u+jvと置き換えてみると ということになる。どうすんだこっから(´Д`;) だめだ今一度反射係数の極座標形式に立ち戻って考え直すと という結果が得られる。 最後の等式からu,vは常にr,xによって半径が定まる円周上に写されることが判る。 いいとこまで来たんだけどな、こっからわがんね(´Д`;) 上と同じように今度は先ほどのZの式を極座標形式に書き直して という結果が得られる。 正規化インピーダンスZは反射係数によって半径が定まる円周上に写されることになる。 しかし依然としてrまたはxを固定した場合の反射係数の軌跡を描く方法が見えない(´Д`;) 結局google先生に聞いて、いろいろサイトを尋ね歩いたところ、A Collection of Smith Chartに載っているHow dose a Smith Chart work?に導出手順が詳しく種明かしされているのを発見。 Maximaを使っても一筋縄ではいかなかったのだがこれでトリックがわかった。 rに関するu,v表記の式を以下の様に整理すると ということになる。 これは実軸上のu=r/(r+1)に中心を持ち、半径が1/(r+1)の円の方程式である。つまりrを固定しxを変化させると反射係数はその円周上に写されることが判る。 同様にxを固定した場合 ということになる。 これはu=1,v=1/xに中心を持ち、半径が1/xの円の方程式である。つまりxを固定しrを変化させると反射係数はその円周上に写されることになる。 やっと判ったよ(ノД`)ママン 水橋の論文では等角写像であるという一文だけなので、ここから実際に描くのは相当勉強していないと無理だろう。 スミス図表まで書いてあるテキストは少ない。説明が難しいし理解するのも大変だからだろう。検索してもスミスチャートの理屈は抜きで使い方だけというのが多い。それも仕方ない気がする。 上の2つのスミス図表を重ね合わせると、正規化インピーダンスZ=r+jxが直交座標が、互いに直交する円の格子座標に写されるのが見てとれる。 P.S 反射係数と正規化インピーダンスの変換は複素関数論で最初に学ぶ一次変換の特殊な例である。残念ながらほとんどのテキストでは反射係数の例を挙げていない。 一次変換は別名Möbius変換と呼ばれ、Möbiusは有名なMöbiusの輪もしくはMöbiusの帯という図形の方が知られている19世紀の数学者である。複素平面に無限遠点を加えた射影平面の無限遠点を実軸上の1の点に全て貼り合わせるように写す変換である。 詳しくは複素関数論のテキストに譲ろう。 P.S 手元のドイツの理論電気学のテキストを見ると、スミス図表が載っており、1939年にSmithが発表したとある。 かつて同じ枢軸国として戦ったのに日本の水橋のことはこの本の執筆者はついぞ知らなかったと思われる。将来訂正してほしいところだ。といってもスミスチャートの方が良く知られているというのは勝戦国の特権としておこう。 |
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題名 | 投稿者 | 日時 |
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