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投稿者 スレッド
webadm
投稿日時: 2014-1-12 21:28
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3087
電気双極子
次は電気双極子の問題

+q,-q [C]の二つの点電荷が2l[m]の距離においてある。(1) 両電荷を結ぶ直線上、および(2) 両電荷を結ぶ線分の垂直二等分面上で、電荷を結ぶ線分の中点Oからx[m]の距離にある点での電界の強さと方向を求め、xが変化するときの電界の強さの変化を図示せよ。



というもの。

まずは2点電荷を結ぶ直線に接する平面上での電位ポテンシャルを計算してみよう。それが基本だから。



というとになる。

電位スカラーポテンシャルは-qと+qの点電荷に関してそれぞれ点電荷との距離に反比例するのでそれを重ね合わせればよい。式から明らかのように、それぞれの点電荷からの距離の関数の線型合成として表される。

これをMaximaでプロットすると

plot3d(1/sqrt(y^2+(x-1)^2)-1/sqrt(y^2+(x+1)^2),[x,-2,2],[y,-2,2],[z,-5,5],[gnuplot_preamble,"set contour both;set cntrparam
levels incremental -5,0.2,5"],[grid,100,100]);


ということになる。

問題で問われているのは2点電荷を結ぶ直線上での電界であるので、次に直線上の電位ポテンシャルを計算しよう。これは先の電位ポテンシャル関数でy=0と置けばよい。



ということになる。

これもまたMaximaでプロットしてみると

plot2d(1/abs(x-1)-1/abs(x+1),[x,-5,5],[y,-5,5]);


ということになる。

さて直線上の電位ポテンシャルの勾配を眺めると驚愕の事実が発覚する。電界は電位ポテンシャルの高い方から低い方を正の向きとするが、グラフを見ると電位ポテンシャルの高い方から低い方への勾配は2つ存在する。2つの点電荷を結ぶ線分の間は+qから-qへ向けて下り勾配が認められる。その向きを正とすると、2つの点電荷を結ぶ線分の外側の勾配は同じ電位ポテンシャルの高い方から低い方に向いていてもx軸上では逆向きとなる。

どうすんだこれ(´Д`;)

問題はx=-lと+lに特異点があって、そこだけ電位及び電界が不定である点だ。穴が空いていてつながっていないのである。

そこで2点電荷を結ぶ線分の区間と、それ以外とで別に式をたてたほうがよさそうである。

数学で複素関数を学んだ際にはピンとこなかったけど、実数それも一次元空間でこうした特異点があると、そこを超えることができないというのがどうしてもある。複素関数だと、平面になるので、特異点を迂回して飛び越えることが可能である。ここでは複素関数論を持ち出すことはしない。

そうすると2点電荷によって作られる電界は



ということになる。

ここで2点電荷を結ぶ直線上に限定すればy=0だから



ということになる。

これが2点電荷を結ぶ直線上の電界の式である。注意しなければならないのは、先ほど電位ポテンシャルをプロットした時に明らかになった、電位勾配の向きが2点電荷の間と外とでは逆になる点である。



ということになる。

題意で求められているのは、電界の大きさであるから、上の式の絶対値をプロットすればよいことになる。



これをMaximaでプロットすると

plot2d(if abs(x) < 1 then (x^2+1)/(1-x^2)^2 else bs(x)/(x^2-1)^2, [x,-5,5], [y,0,10], [plot_format, gnuplot])$


ということになる。

著者はx<-lのケースでもx>lの場合と同じ式を示しているが、そのまま真に受けてプロットするとx<-lの場合ベクトルの向きは反対になってしまうので、ベクトルの絶対値をとる必要がある点を注意しておく。

最初陥り易いのは|x|<lの式を導いただけで|x|>lのケースもその式でプロットしてしまうもの。絶対値をとると良く似た傾向のグラフが描かれるが、実際より少し強めの電界値でグラフが描かれてしまう点にも注意しておく。

(2)について考えてみよう

本来は3次元空間での電界の式を導いて、2点電荷を結ぶ線分と中点で直交する平面上の電界の大きさをプロットすればいいのだが、('A`)マンドクセ

よく考えると、問題の平面は2点電荷を結ぶ直線に対して軸対称であることに気づく。

なんだそうだったんだ( ´∀`)

ということで2点電荷を結ぶ線分の中点における法線上の電界を導けばいいということになる。



しかし良く考えると、問題の平面は電位0の等電位面なので、平面上では電位勾配は存在しないことになる。その代わり平面に対して法線方向の電位勾配は存在する。

どうすんだこれ(´Д`;)

そうだ(1)で2点電荷を結ぶ直線に接する平面上での電界の式を導いたけど、あれをx=0とすればいいんじゃない?



ということになる。

ここでも求められているのは電界の大きさなので絶対値をとると



ということになる。

これを2点電荷を結ぶ線分の中点を通り線分と直交する直線(y軸)上でプロットすると

plot2d([1/(y^2+1)^(3/2)], [y,-5,5], [plot_format, gnuplot])$


ということになる。

当然ながら2点電荷との距離が最も短いところが最も電位勾配が大きく、距離の3乗に反比例することがわかる。

P.S

理論を頭で憶えていて考えるのと、実際に計算してみた結果が違うのに驚かされる問題だ。結果的には微分とか数学の道具というのがうまく使いこなせていないというのが原因なんだけどね。電位(スカラーポテンシャル)は座標の取り方によらず大きさも極性も不変だけど、電界(勾配ベクトル)は座標系の取り方によって大きさは不変だが向きは変わってきてしまう。まだまだ修行が足らないな。
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