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投稿者 スレッド
webadm
投稿日時: 2014-1-14 0:34
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3087
続:点電荷による電界
次は前問の特殊ケースの問題

q1,q,2,q3,q4の電荷がそれぞれP1(x1,y1,z1),P2(x2,y2,z2),P3(x3,y3,z3),P4(x4,y4,z4)にあるとき、q4に採用する電気力はいくらか。

というもの。

これは前問の結果を知っていればP1,P2,P3にあるq1,q2,q3によって作られるP4に置ける電界と電荷量q4の積によって得られることが明らかである。

著者のようにそうやってもよいし、これが期末試験の最初の問題だったら(その可能性は大いにあり得る)、力づくで各電荷との間のCoulomb力を計算して総和するという手もある。

それをやってみると、P4に置かれるq4とP1,P2,P3にあるq1,q2,q3の点電荷との間のCoulomb力は



ということになる。

ところでF41,F42,F43はそれぞれ図でわかる通りに、P4とP1,P2,P3を結ぶ直線上に接したベクトルであるので、最終的にq4に働く力はそれらを合成する必要がある。つまりx,y,z座標軸方向の成分に分解する必要がある。('A`)マンドクセ

そこでP1,P2,P3からP4へ向かう線分r41,r42,r43を考えてみることにする。



ということになる。

すなわち線分r41,r42,r43はそれぞれP4とP1,P2,P3とのx,y,z方向成分に分解出来てそれらは各座標成分の差分となる。これは当たり前で、そもそも座標系の原点OからP1,P2,P3,P4への線分をベクトルとして表した場合、P1,P2,P3からP4との間を結ぶ線分はベクトルP4-P1,P4-P1,P4-P3で表されるからである。

従ってF41,F42,F43がそれぞれP4とP1,P2,P3を結ぶ線分の接ベクトルであったから、それらのx,y,z座標成分は



従ってq4に働く力は成分毎に



ということになる。

これは前問の結果を利用して得た著者の解と一致している。

P.S

Coulombの法則だけで空間中の複数の電荷から受ける力を計算しようとすると大変面倒なことが判る。Coulombの法則で簡単にそれが出来るのは全ての電荷が同じ直線上にある時だけである。つまりCoulombの法則自身は独立に存在するのではなく、Maxwellが定式化した静電界中の電荷が受ける力の関係式から導出される特殊なケース(一次空間のケース)と考えることが出来る。

上記の理由のため、教科書によってはオリジナルのCoulombの式ではなく以下のベクトル形式を示しているものも多い



しかしこれだと確かにn次元空間でのCoulomb力が表されるが、オリジナルのCoulombの式がNewtonの万有引力の式からインスパイアされたものだとは誰も気がつかない。それは重要ではないという考えに基づく。

おそらく最初にMaxwellが臨んだのはこの問題であると思われる。この面倒な問題を解決するにはどうしてもFaradayのアイデアを定式化する必要があった。それが電界であり、その積分曲線がFaradayが考えていた電気流力線のことだということが明白になった。手元の一番古いAbraham本がその後の電磁気学の教科書の流儀の手本になっていると思われ、最初から電界ありきで、



というFaraday-Maxwell理論でのCoulombの法則の定式化がベクトル表記で登場する。少し後でオリジナルのCoulombの法則の式が電界の式が登場する前に一度だけ現れて電界の式に後を譲る形で二度と現れない。



この直後に電界の式が現れCoulombの法則は同じ極性の電荷同士では反発し、異極性では引き合うという結果だけが重要であるとしている。



Coulombの時代には力は直線上に作用するというNewton力学の域を出ることが無かったばかりかその時代で支配的だった遠隔作用論の頸城から解き放たれていなかった。Maxwellによってそれは三次元空間で自在に使えるようになり、近接作用論に書き換えられた。そのため初版のMaxwell本は座標軸毎に式が登場するため大変煩雑なものとなった。もう少し少ない字句で簡明にかつ広い範囲に有効な定式化に変形したのが、ベクトル派のHeavisideやHerzらだった。これによって更に学び易く応用し易くなった。しかし半面誰もMaxwellの原点の頃に立ち戻ることは無くなってしまった。その必然性はもはや無いということなのだろうか。
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