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webadm | 投稿日時: 2007-11-13 9:35 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
正弦波交流 磁界の中でコイルを一定速度で回転させるとコイルの両端に電圧が発生する。その電圧を時間軸上にプロットすると正弦波形になる。
電圧の最大振幅をEmとすると観測される電圧eは e=Emsin(ωt+θ) と表すことが出来ると著者は書いてある。これはちょっと紛らわしい。というのもeというのは数学では自然対数の底を表す。このためeが自然対数の底の意味で使えなくなったので以降で自然対数の底を表すのにεを代わりに使っている。他の参考書ではこうした紛らわしい表記は大抵避けている。あえて使う場合には e(t)=Emsin(ωt+θ) としてeは自然対数の底ではなくtの関数であるとはっきり区別できる表記が望ましい。 正弦波はグラフで描くのが結構難しい。Maximaでは簡単に以下のように描ける。 (%i6) wxplot2d([10*sin(x)], [x,0,2*%pi])$ 簡単に手で描くのはできない。昔子供の頃に円形定規というのがあったのを憶えている。円形定規の外周は歯が切ってあり、定規そのものが歯車だった。それを直線定規に歯を並べたものに円形定規の歯を合わせて、円形定規の中にある穴に鉛筆を入れて直線定規の上を円形定規を回転させながら曲線を描くとそれが正弦波曲線になる。これが一番簡単に描く方法かもしれない。この円形定規にはまた別の丸い大きな穴が開いた穴の円周に歯がついていてそこに円形定規をあてて同様に鉛筆かボールペンを差し込んで回すと遊星曲線(サイクロイド)を描くことができる。地球から同じ太陽を回る他の惑星の軌道を観測するとサイクロイド曲線になることが知られている。奇妙で不思議な曲線である。 学生時代に機械設計の講義で教授がネジの製図について課題をだした時のことを今も憶えている。宿題だったが誰も面倒でやってきていなかったが、教授が黒板用の大きなコンパスと定規を予め持って現れ、模範解答を黒板に描き始めた。コンパスで左側に○を描いてネジを中心からみた図として右に軸方向の図描き始めた。方法はまず円の右半分を等間隔の円弧に分割し中心と線で結ぶ、同様に軸方向でもネジのピッチを同じ等間隔で分割して縦方向に線を引く。次に円周上の分割点を通る水平線を引いて、右側の図の縦線と交差するまで描く。最後にそうやって結んだ線の右側の図の交点を大きな雲形定規で曲線補間してネジの山の稜線を描いていく。同様にネジの谷も...今度は少し半径の小さい円を左側に描いて同様に等分割して...大変な作業で教授は汗だくだった。ネジを厳密に製図しようとすると大変なのでJIS規格とかでは山と谷の接線を描くだけにとどめ螺旋は描かないという省略図法にすると定められている理由がこれで理解できた。 話を元に戻そう。 ここで初めて出てくる記号 ω(小文字のオメガ)は角速度(ラジアン/秒) tは時間(秒) θ(小文字のシータ)は位相角(ラジアン) eは瞬時値 Emが最大値もしくは振幅電圧 角速度が一番わかり難い。 ω=2π/T=2πf Tは周期(秒)、fは周波数(Hz)で周期の逆数 f=1/T というのはわかる。 位相角は正弦波の時間t=0での初期位相を意味する。 同じ周波数だが位相や振幅の異なる正弦波を加算しても合成された波形はやはり同じ周波数の正弦波になるという公式が記載されているが、実際に導き方は省略されている、きっと難しいのだろう。 直感的にはあっていると思われるが、実際にMaximaで試してみた。 (%i7) wxplot2d([10*sin(x+1)+5*sin(x+2)], [x,0,2*%pi])$ 微妙に位相が違うので振幅は加算したものより小さい。位相もどちらのものともずれている。しかし同じ周期の正弦波であることは明らかである。 |
webadm | 投稿日時: 2007-11-13 12:23 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
Re: 正弦波交流 正弦波の合成に関する公式を導いてみよう
同一周波数で異なる振幅と位相を持つ正弦波交流電圧e1,e2を加算した場合 e1=Em1*sin(ωt+θ1) e2=Em2*sin(ωt+θ2) e=e1+e2=Em1*sin(ωt+θ1)+Em2*sin(ωt+θ2) 三角関数の公式 sin(A+B)=sin(A)*cos(B)+cos(A)*sin(B) より e=e1+e2=Em1*sin(ωt+θ1)+Em2*sin(ωt+θ2) =Em1*(sin(ωt)*cos(θ1)+cos(ωt)*sin(θ1))+Em2*(sin(ωt)*cos(θ2)+cos(ωt)*sin(θ2)) =Em1*sin(ωt)*cos(θ1)+Em1*cos(ωt)*sin(θ1)+Em2*sin(ωt)*cos(θ2)+Em2*cos(ωt)*sin(θ2) =(Em1*cos(θ1)+Em2*cos(θ2))*sin(ωt)+(Em1*sin(θ1)+Em2*sin(θ2))*cos(ωt) ここまではすぐできるがこっからが難問である。 よく見ると三角形の第一余弦法則に似ている部分がある。 図にしてみると 長さEm1とEm2を辺の長さとする平行四辺形の対角線をEmとした場合に、図より Em*cos(θ)=Em1*cos(θ1)+Em2*cos(θ2) Em*sin(θ)=Em1*sin(θ1)+Em2*cos(θ2) であることから。 従って e=Em1*(sin(ωt)*cos(θ1)+cos(ωt)*sin(θ1))+Em2*(sin(ωt)*cos(θ2)+cos(ωt)*sin(θ2)) =Em1*sin(ωt)*cos(θ1)+Em1*cos(ωt)*sin(θ1)+Em2*sin(ωt)*cos(θ2)+Em2*cos(ωt)*sin(θ2) =(Em1*cos(θ1)+Em2*cos(θ2))*sin(ωt)+(Em1*sin(θ1)+Em2*sin(θ2))*cos(ωt) =Em*cos(θ)*sin(ωt)+Em*sin(θ)*cos(ωt) =Em*sin(ωt+θ) これで同一周波数の正弦波交流を加えた結果も同じ周波数の正弦波交流になるのは明らかである。 θは図より tan(θ)=(Em1*cos(θ1)+Em2*cos(θ2))/(Em1*sin(θ1)+Em2*sin(θ2)) なので θ=tan^1((Em1*cos(θ1)+Em2*cos(θ2))/(Em1*sin(θ1)+Em2*sin(θ2))) Em1とEm2を辺とする平行四辺形の対角線の長さEmは対角線で分割した三角形に関する第二余弦法則より Em^2=Em1^2+Em2^2-2*Em1*Em2*cos(π-(θ2-θ1)) =Em1^2+Em2^2-2*Em1*Em2*cos(π+(θ1+θ2)) =Em1^2+Em2^2+2*Em1*Em2*cos(θ1+θ2) ∴Em=sqrt(Em1^2+Em2^2+2*Em1*Em2*cos(θ1+θ2)) また φ=θ-θ1 とした場合 e=Em*sin(ωt+θ)=Em*sin(ωt+θ1+φ) とも表すことができ、その場合図より tan(φ)=Em2*sin(θ2-θ1)/(Em1+Em2*cos(θ2-θ1)) であることから φ=tan^1(Em2*sin(θ2-θ1)/(Em1+Em2*cos(θ2-θ1))) となる。 幾何学的に解いてしまったがよかろう。 この図はそれぞれの振幅を長さとして角速度ωで回転するベクトルの合成そのものである。合成された正弦波交流のベクトルは長さEmの平行四辺形の対角線となる。 このことからわかるように三角関数の式では一見してわからないところもベクトルで見ると一目瞭然である。 |
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