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webadm | 投稿日時: 2007-2-2 6:14 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
直流回路の演習と実験 今読み進めている「詳説 電気回路演習(上)」大下真二郎著 共立出版の直流回路の章の解説はページ数も少なく終了。その後に延々と沢山の演習問題と解答が記述されている。「詳説」とあるから理論の説明が詳しいのかと思ったら演習の解答の解説がついているという意味らしい。
これまで疑問に思っていたところの定義の導出に関しても演習問題として出てくる。しかし私が解いたような方法ではなくとっぴでもないところから導き出している。どうやってこんなやり方を思いついたのか疑問に思うぐらいだ。これも読者に解かせるという意味合いもあるのだろう。誰でも思いつく解き方を説明しては確かにおもしろくない。 残念なのは演習とその解答で自己完結してしまって読者にはちょっと不満が残る。本当は解答が無いほうがいいのかもしれない。もしくは読者がそれぞれやってみて疑問やそれぞれの解を見いだすきっかけとなる実験テーマを提示するとかあったほうが良いかもしれない。 確か学生の頃には電気工学概論という授業で一応直流と交流理論をうわべだけ教わって交流回路の実験を1回だけやった記憶がある。すっかり何をやったか忘れたけど実験レポートに何を書いたかは覚えている。 実は電気回路理論を学ぶには既に正しいとされている定義を知るだけではなく実験を通して理論値と実験結果の相違があることを経験することが重要である。実際昔やった交流回路の実験も理論値と少し違った結果が出るように最初から意図されたものである。理論と実際の相違に疑問をもち、それに関して自分が説明できないないということに気づかされるわけである。 本当はオームの法則やキルヒホッフの法則もそうした先駆者がどうやってその理論が信じるようになったかをひもといて語ってくれたほうがいいのかもしれない。 昔子供の頃に食い入るように見ていたNHK教育の番組に「先駆者達」というのがあった。確か京都大学かの先生が欧州の科学・技術、産業革命の先駆者達をひとりひとり取り上げてその苦悩や功績を語ってくれていた。もともとは高学歴か大人向けの番組だったように思えるが小学生で科学に興味がある自分にも大変おもしろかった。再放送はたぶん出演者が他界してしまった今では著作権上許可も得られないので絶望的なのは残念である。 実際科学の世界では理論として完璧でも実験でその裏付けが得られるまでは高く評価されない。大抵は発案者が死んだ後に後生の人がそれをやっと裏付けることができるかどうかというのが普通。やはり理論を自分のものにしていくにはそうした実験による裏付けがいかに難しいかを学び、自分の新しい理論を裏付けるためにも実験方法だけでなく観測手段とかに工夫を凝らす必要があるということを初期の段階に知る必要がある。 そこで教科書には無いが直流回路の実験を行ってみることにする。 簡単な分流回路と分圧回路についてオームの法則通りに観測結果が得られるかどうか理論値と比較してみることにする。 実験方法は意図的に一般的な観測方法(電流計、電圧計)で測定すると理論とは差が出るような条件で行う。 すなわち分流回路ではなるべく大きな電流が流れるような回路定数を選択する。逆に分圧回路ではなるべく少ない電流しか流れないような回路定数を選択する。 これによって測定器を接続することによって回路定数が少し変わっただけで測定器を接続しない理想的な状態から観測結果がずれるはずである(これも今のところ机上での理論だが)。それを或意味実証する実験である。 何もしらない学生であれば測定結果が思惑とずれがあることで「理論通りでした」という形で簡単にレポートを書くわけにはいかなくなる。「理論とは違っていた」という問題が発生するわけである。そしていろいろ可能性を洗い出し、その差異が生じた原因に関してそれぞれの独自の理論を展開しその理論の証明をしなければならなくなる。 原因にはいろいろある、 ・測定器が正しくない(測定手段に着眼するのは重要、理想的な回路には測定器は取り除いて電圧、電流を計算しているはず、しかし校正されていないとか、壊れているとかというのは証拠が必要) ・回路定数が正しくない(抵抗値には誤差があるし、温度によっても変わるのに着眼するのは重要、しかし最初に理論値を計算する際に実際の定数を正確に測定すれば言い訳はできない) ・オームの法則が正しくないかもしくは成り立たない(オームの法則が成り立たない場合があるのを知っていることは重要、しかし法則が間違っていることを証明するのは難しい) ・回路が間違っていた(非常にあり得る、もしそうなら実験は実施者の過失で最初から失敗だったわけだが気づかないよりましだし、気づいていながらあれこれ屁理屈をこねたり実験データを改竄して虚偽のレポートを捏造する愚行に走らずに済む) で実際には広範囲に要因を考慮してもっともな理由というか差異の出る理論的な説明が出来ればスタートラインにたったと言える。 人のレポートの丸写しではまったく意味がない。それに演習問題みたいなものにいくら教科書通りの解答が書けても実践的な力があるとは言えない。 近年の教育が受験志向になってしまって、学生は試験さえパスすればいい、試験にパスすることだけが最大の関心事になってしまった弊害を創り出している。私も社会に出てから数年間はいつも学生の頃の期末試験の最中にフラッシュバックする夢を何度も見てそのつど脂汗をかいていた。夢から覚めるたびに「もう試験を受けなくていいんだ」と自分に言い聞かせて心を癒していた。 落第者を出さないというのが売りの学校もあるけど、私が通ったところは平気で単位が1つでも不足したら留年させられていたので単位を落とすのは一つでも恐怖だった。 実際5年間のクラス全員の顔写真を学園祭で展示していたクラスもあった。それを見ると学年を重ねるにつれ顔ぶれが変わってしまっていく様子がはっきりして笑えた。一般の人があれを見てその意味を理解してくれたかどうか謎だが。私の時も2年に進級した際に1年上のクラスから留年する人やクラスメートで1年に留年する人とかが出て、毎年進級の季節は来年は我が身かと身震いしていた。それはまた試験対策とかに過剰な労力を払ってしまって本当に学ぶことの楽しさというのを奪ってしまっていたのかもしれない。 今思えば「計測工学」とか「制御理論」とかで今なら当たり前に常識になっていなければならないことがまったく知識として残っていないというのが残念である。結局やり直しのなんとかということになってしまう。 それでも変に常識として知っていても実務では登場しないものもあった。エネルギーの公式とかは後にも先にも入社試験と、学校の教科書でしかお目にかからなかった。やはりあまりそういうものは沢山覚えていても仕方がなくて、いつでも疑問に思った事に関する分野の先駆者の残した理論や成果を素早く学ぶことが出来る方が重要だと思う。その点だけは救われる。 |
webadm | 投稿日時: 2007-2-2 11:20 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
分流回路の実験 実験回路:
異なる抵抗値を持つ2つの抵抗(R1,R2)を並列に接続し両端に一定の電圧(E)を加えた場合の各抵抗に流れる枝電流(I1,I2)と全体に流れる電流(I)を測定する。 あらかじめ各抵抗値(R1,R2)と合成抵抗(R)を抵抗計で測定しておく。 加える電圧は1.5vの乾電池を使用し実験時に抵抗の両端の電圧(E)を測定しておく。 次に各抵抗に流れる電流(I1,I2)を各抵抗に直列に電流計を入れて測定する。 最後に並列抵抗に直列に電流計を入れて全体に流れる電流(I)を測定する。 上記の測定結果と理論から求めた値を以下の様に表に記入し考察する。 理論値の計算式は以下の通り R = (R1 x R2)/(R1 + R2) I1 = E/R1 I2 = E/R2 I = E/R +------+-----------+-----------+ | | 実測値 | 理論値 | +------+-----------+-----------+ | R1 | 21.9Ω | +------+-----------------------+ | R2 | 33.2Ω | +------+-----------+-----------+ | R | 13.2Ω | 13.2Ω | +------+-----------+-----------+ | E | 1.492V | +------+-----------+-----------+ | I1 | 51.7mA | 68.1mA | +------+-----------+-----------+ | I2 | 37.0mA | 44.9mA | +------+-----------+-----------+ | I | 76.1mA | 113.0mA | +------+-----------+-----------+ ここで実験で計測された値と理論的に求めた期待値とを比較すると驚愕の事実を目にすることになる。たぶん予想した以上に差異が生じているはずである。 抵抗値に関しては測定した値から理論的に計算した値と一致している。 しかし電流の測定値は測定した抵抗値と電圧から算出した理論値からだいぶ目減りしている。たぶん何度実験や測定を繰り返しても似たような結果になるだろう。それを意図した実験である。 邪な学生は実測値を捏造してわずかな誤差程度の違いにした上で「ほぼ理論値に近い結果が得られた」という満点のレポートを書いてすましてしまうかもしれない。 まじめな学生はここでレポートで何を報告すればいいのか動揺して迷うはずである。しかし実験データを捏造して偽りのレポートを書くことは決してないだろう。現実に向かいあうのだ。 もはや模範解答は無いと言えるが、着眼すべきポイントはいくつかある。 (1)実験の方法そのものが誤っていなかったか 上記の実験の結果は概ね分流回路の理論値に近いが目減りしているだけである。もしそうでない結果が得られたら(理論値より大きいとか、電流が流れないとか、大きい抵抗値の方が電流が多く流れているとか、単にデータを取り違えて記載してしまったとかいうミス)大きな誤りがあったかもしれないので再度実験を行う必要があるかもしれない。 (2)測定方法に問題はないのか 抵抗測定、電圧測定、電流測定のどれでも狂いがあれば理論値と乖離するが測定器は校正されたものを使用するのでここでは測定原理に着眼し測定時に回路に流れる電流や電圧に影響を与えるかどうかという点が重要である。 通常学生の実験は一回限りなので(1)の場合、実験中のミスにより理論値と大きく異なる結果が得られた場合はその可能性を検討し素直に原因とおぼしきものを認めるしかない。ミスが無くても理論値と傾向は同じだが値は同一にはならないので(2)について考察を行うことになる。 測定という行為は電気回路を扱う上で定めであるので、その扱いや性質については熟知する必要がある。電圧や電流、それに抵抗測定等について測定器の動作原理を併せて理解しておく必要がある。そしてようやく測定値が乖離した真の原因にたどり着き、更に進んでもっと適切な測定方法について考案できればなお良い。 |
webadm | 投稿日時: 2007-2-3 1:35 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
分圧回路の実験 抵抗値の異なる2つの抵抗(R1, R2)を直列に接続し電圧(E)を加えた状態で回路に流れる電流(I)とそれぞれの抵抗の電圧(E1, E2)を測定し理論値と比較検討する。
実験前にあらかじめR1,R2の抵抗値及び合成抵抗値(R)を測定しておく。 加える電圧は積層乾電池(9v)を使用し回路を接続した状態で出力電圧(E)を測定しておく。 次に回路に流れる電流を電流計を入れて測定する。 最後に各抵抗の両端の電圧を電圧計で測定する。 理論値の計算式は以下の通り R = R1 + R2 I = E/R E1 = R1 x I E2 = R2 x I +------+-----------+-----------+ | | 実測値 | 理論値 | +------+-----------+-----------+ | R1 | 9.99kΩ | +------+-----------------------+ | R2 | 21.99kΩ | +------+-----------+-----------+ | R | 31.99kΩ | 31.98kΩ | +------+-----------+-----------+ | E | 8.96V +------+-----------+-----------+ | I | 0.27mA | 0.28mA | +------+-----------+-----------+ | E1 | 2.798v | 2.797v | +------+-----------+-----------+ | E2 | 6.15v | 6.16v | +------+-----------+-----------+ 本来はもっと値の大きな抵抗(数百KΩか数MΩ)を使用する予定が手持ちで最も値が大きいものをとりあえず使用してやってみた。 結果はあまり理論と乖離しないおもしろくない結果に。 それでも微妙に意図した効果が出てぴったり計算通りにならないところは意図した通り。 計算上は E = E1 + E2 となるべきだが観測値からはそうならない。 わずか0.02vの差異であるが測定誤差ではない。電圧計を回路に追加することによって回路定数が微妙に変化した結果分圧比が理想値から乖離したためである。 電圧計の内部抵抗値によって結果は異なってくるが、内部抵抗が低いアナログ式の電圧計ならより鮮明に差異となって現れるだろう。今回は対象回路の抵抗値が使用した電圧計の内部抵抗に比べて低いので影響がわずかしか現れていない。 電圧計の原理を知り、その利点と欠点を熟知することが今後実験や回路検証に役立つ。 昔のアナログ式のテスターとかの取説には確かそうした使用上の留意点が書かれていたのを読んだ覚えがある。実際にやってその悪影響を確かめてみないと実感しないのだが。 それにしても電流が0.01mA違っただけでも抵抗値の大きい回路では逆算すると電流計が狂っているようにも見える。これも電流計の内部抵抗が影響しているからだろうか。そんなに大きいのかデジタルテスターの電流測定時の内部抵抗値。 ちゃんとした電流を測るには回路に電流計を挿入するのではなく、回路に流れる電流によって発生する磁束力を計測する必要がある。一般にカレントプローブなど特種なホール素子とかを使った装置は高額で特種なため一般的には利用されない。一般に電流を計測するときは回路に低抵抗を挿入してその電圧降下を測定するしかない。 電圧を回路に影響を与えずに測定するには、電圧を電流に変換するのではなく電圧同士を比較するコンパレーターを使用する必要がある。ただコンパレータ自身に内部抵抗があるので対象電位を発生するだけの電荷を一旦キャパシタに蓄積させた後回路から切り離して別途そのキャパシタの電圧をコンパレータで比較測定するサンプリング方式を用いる必要がある。これは一般に複雑で高額な装置となる。 |
webadm | 投稿日時: 2007-2-3 13:47 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
別の測定器でやってみた いままでの電流、電圧、抵抗の測定にはどれもFLUKE 73IIIというマルチメーターを用いていたがどうも電流測定時に内部抵抗が結構高いようなので別のデッキトップ型マルチメーターHP3468Aを使ってみることにする。
HP2468AでFLUKE 73IIIの電流測定モードでの内部抵抗値を計測すると6.7Ωという結果になる。結構大きい。それで22Ωとか33Ωとかの回路ではかなり影響が出るわけだ。 一方電圧測定時の内部抵抗は11MΩとかなり大きいので数十KΩの回路では影響は出にくい。 一方HP2468Aの電圧測定時の内部抵抗をFLUKE 73IIIで計測しようとしても計測不能なほど抵抗値が高い。また電流測定時の内部抵抗も0.7ΩとFLUKE 73IIIと比べて10分の1と小さい。 デッキトップ型のマルチメーターが厳密な回路測定にもっぱら利用されるのはそうしたことからもうなずける。 分流回路をHP2468Aを使ってやり直してみるとまた違った結果が得られる。 R1 = 22.7Ω R2 = 33.9Ω R = 14.0Ω 13.6Ω E = 1.56V I = 0.11A 0.115A I1 = 0.067A 0.069A I2 = 0.044A 0.046A かなり計算値との乖離は少ないがやはり電流測定時に内部抵抗が直列に加わるので電流値が計算値よりもわずかに目減りしている。興味深いのは抵抗値が計算から求めたものとだいぶ違っている点である。実は実験に使用したブレッドボードの配線材料はかなりの抵抗成分があり、測定するポイントによっては最大1Ω程度の値が加わってしまう。接触抵抗とかも影響して測定時にかなり値が不安定な時がある。電流を多く流す回路の実験ではブレッドボード自身の配線抵抗も無視できない要素ではある。 一方分圧回路の場合は以下の通り R1 10.00KΩ R2 22.00KΩ R 32.00KΩ 32KΩ E 8.9538V I 0.00028A 0.00028A E1 2.798V 2.8V E2 6.151V 6.16V FLUKEよりも電流測定時の内部抵抗が低い分電流値は計算値に近い値が得られている。ただ電流量が少ないので有効数字が少ない。 電圧測定時の内部抵抗はFLUKEよりは十分高いはずだが計算とぴったりは一致しない。特に抵抗値が高いR2の電圧降下を計測する際には内部抵抗が並列接続されるため合成抵抗が下がり電圧配分が目減りしていると思われる。 ここまででわかるのは電流測定時には内部抵抗がいくらあるかによって電流量が大きい回路の測定では影響が出るということ。デッキトップ型のマルチメーターの方がハンディタイプのマルチメーターよりも電流測定時の内部抵抗が低いし、電圧測定時の内部抵抗が高いため回路へ与える影響が少ないと言える。 実験に際しては使用する測定器の性能や特性を良く吟味して適材適所を心がける必要がある。 |
webadm | 投稿日時: 2007-2-3 22:41 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
さらなる考察 本来の実験の目的であるオームの法則を検証するために、せっかく実験に使用した電流計と電圧計の内部抵抗値が判明したのを利用して計測時の本来の回路状態を考察してみる。
分流回路では全体を流れる電流を測定する際に直列に6.7Ωの抵抗が入った形になっていた。そのため電源電圧は分圧されて若干目減りしてしまったので理論値よりも少ない電流値が観測されたと推測する。いずれにせよ電源電圧は一定を保たれていたという前提であるが。 すると2つの並列抵抗に加わっていた真の電圧(E)は実測電流(I)と合成抵抗から以下の式で得られる。 E = I x R = 76.1(mA) x 13.2 = 1.00V この値から各抵抗に流れていた枝電流を計算すると以下の通り I1 = E/R1 = 1.00 / 21.9 = 45.7(mA) I2 = E/R2 = 1.00 / 33.2 = 30.1(mA) ということで全体に流れるはずの電流(I)の理論値を算出すると I = I1 + I2 = 45.7 + 30.1 = 75.8(mA) という計算になる。これは実測値(76.1mA)に近い。 今回の実験では電流計の内部抵抗値が測定回路に与える影響が大きくなるように低抵抗な回路を使用したが、実験に使用したブレッドボードの接触抵抗や配線材の抵抗も回路の抵抗と比較して無視できない程大きいことからそれらが内部抵抗として更に現実の回路に分布しているため理論値と実測値にわずかな差異が生じたと推測される。 ということで安い簡易な測定器しか無い場合でもその素性や特性をあらかじめ知っていれば最大限に活用することは可能です。ただやはり測定に際して回路に影響を与えないのが望ましいことですが、それは逆に難しく高度で高額な測定器を必要とします。なので貧乏人は安い測定器を賢く使うことが必要になります。 |
webadm | 投稿日時: 2007-2-4 5:12 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
直流回路の演習問題を見て 教科書の演習問題は、ひたすら回路から数式へ変換して解を導くというパターンが続く。
なのでほとんどが数式をこねくり回すテクニックを身につけていないとオームの法則とかキルヒホッフの法則とかを知っていることにならない。あとでもっと難しい式をこねくり回すことになるのでいまのうちに覚悟しておく必要がある。ということで鬼のように演習問題がある。 それと後々最後の頃に登場する分布定数回路の予告の予告みたいな問題が登場する。抵抗ラダー回路である。 電気回路を学ぶと他の学問で出てくる法則ととてもよく似た式が出てくる。例えば熱力学の熱伝導法則とオームの法則の相似性。 熱力学では熱抵抗と熱伝導の概念があって、熱抵抗は熱伝導が発生すると温度降下を生じる、これは電流が抵抗を流れると電圧降下を生じるというのとそっくり同じである。 先の抵抗ラダー回路は、よく見ると再帰的な自己相似性をもったフラクタルに見える。 教科書の著者は後々出てくる分布定数回路の布石のために集中定数回路だけ扱うのではなくこうした抵抗ラダー回路が永久に続く時の抵抗値(フラクタルなので拡散せずに限りなくある値に近づく)を導くことが出来ることを読者に再発見させてくれる。 その他様々な格子や三角形、六角形、立方形に接続された抵抗回路網の合成抵抗値を求めさせられる。これらも後々必要となるなにかの布石だろうか。一部はYとΔ接続回路の互換性を応用すれば簡単に解けるらしい。 真ん中ぐらいに電流計の原理の発見を追体験させる問題が出てくる。 同様にアッテネーター(減衰器)の原理の発見を追体験させる問題も。 これはおもしろい、是非自分で一度は解いてそれらを追体験しておきたいところだ。特にアッテネーターは抵抗のY接続とΔ接続それぞれで同様に構成できるところがおもしろい。 或程度実務をかじってから見ればなんだこれは電流計じゃないかとかアッテネーターじゃないかとか予想がつくが、そうでない若い学生はちんぷんかんぷんかもしれない。そういう意味では社会に出てから学校に戻って勉強をし直す機会がもっとあって良い気がする。 |
webadm | 投稿日時: 2007-2-4 11:43 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
初等の数学をすっかり忘れている 無限に続く抵抗ラダー回路の合成抵抗を求める問題で行き詰まった。
すぐ側に解答が説明されているのでどうしても目に入ってしまう。読むと理解したつもりになってしまうが、式を自分で書いて解いてみようとするといきなり結果が出ていてその過程が謎である。 R∞**2 -R2xR∞-R1xR2=0 という式からいきなり R∞ = (R2±SQR(R2**2+4xR1xR2))/2 という式になってしまっている。どっかで見覚えがある公式のような気がするがすっかり忘れてしまっている。中学校で習った覚えがあるがどうやって導きだすのかはすっかり忘れている。 |
webadm | 投稿日時: 2007-2-4 12:33 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
なんとか出来た たぶん中学校の時は数学がまるでだめだったので学校の入学試験でも数学の成績がふるわず第一志望の電気工学科には入れずに第二志望の機械工学科に進まざるを得なかった苦い思い出がある。
数学への苦手意識はその後克服し、卒業する頃にはかなり数式を操るのがおもしろくなっていた。卒研では軸流送風機という、一般には扇風機の羽根車やジェットエンジンの中でぐるぐる回っている羽根車を設計するコンピュータープログラムをこしらえてその性能もシミュレーションするということをやった。その時に簡単な数式ですべての羽根車の形状が羽根の外周と根本(ハブと言う)の内周の比で決まるというのに気づいた。当たり前のことだがどの参考書にもそんなことは書いていなかった。いわゆる無次元のパラメータで特性(軸流速度と圧縮率の比率)が決まるという性質を利用して求められる性能仕様から必要な形状を割り出すことが出来るようになった。前年までの卒業生も代々同じテーマに取り組んで来たがコンピューターがまだ無かったので電卓か紙とタイガー計算機を使って徹夜して計算していたらしい。 設計計算をほとんど簡単なコンピュータープログラムで記述できるので、それまで手がけられていなかった性能評価のための流体シミュレーションまで行える余裕が出来た。ちょうど指導教官もその年を最後に退官されたので良い区切りになったらしい。 話をもとにもどそう。無限に続く抵抗ラダーの合成抵抗を求める式 R∞**2 -R2xR∞-R1xR2=0 これを(R∞-R2/2)の二乗が (R∞-R2/2)**2 = R∞**2 - R2xR∞ +(R2/2)**2 であることを利用して書き換えると (R∞-R2/2)**2 -(R2/2)**2 - R1xR2 = 0 すなわち (R∞-R2/2)**2 = (R2/2)**2 + R1xR2 左辺の根を求めると (R∞-R2/2) = ±SQR((R2/2)**2 + R1xR2) 従って R∞ = R2/2 ±SQR((R2/2)**2 + R1xR2) = (R2 ± SQR(R2**2 + 4xR1xR2))/2 ということになる。 なんだ簡単じゃないか。 |
webadm | 投稿日時: 2007-2-4 21:13 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
格子状抵抗ネットワークの意味 同一抵抗値のワイヤーが格子状につながった回路を解析する問題の意図がなんとなくわかってきた。
平面や立体状の導体に電流が流れる時の事を解析する分布定数回路のもうひとつの布石なのだろう。 |
webadm | 投稿日時: 2007-2-11 23:25 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
インピーダンスの思い出 まだ延々と続く直流回路の演習問題を突破できていなかったり。
以前勤務していた職場で伝送信号が規格外の時に開発した装置がどういう挙動をするか検証したいと社内で相談した。 手持ちの環境では規格内でしか試験ができない。なので「伝送路に抵抗いれるとかでだめなの?」と聞いてみたらすぐさまハードウェア担当課長からダメだしが出た。理由はと聞くと「インピーダンスが変わってしまうからだめ」だそうだ。じゃどうすればというアドバイスも無くダメの一点張り。結局その試験はやらないことになってしまった。 今でもそれを覚えているのは「インピーダンス」という言葉をまるで印籠のようにだして「おまえらソフト屋にはそれすら理解できんだろう」と言っているような気がしてならなかった。 今から思えばアッテネーターを挟めばいいだけで、定数が半端なので作るのは面倒だけど扱う周波数帯が192kHzとかなので自作でもなんとかなったはず。時の担当課長はたぶんそこまで見通して、どうせハード屋が作らされるはめになるから知らんぷりしよう、ということだったのだろう。まったくもって酷い職場だった、今は業績低迷して地を這いずっていると人づてに聞く。 厳密なアッテネーターでなくても元々特性インピーダンスが低い伝送路であれば低抵抗を直列につなぐだけでも十分だったはず。ただ厳密にどれだけ減衰するのか計算で求めるとなるとやっかいではある。 本来は直流回路理論は簡単に済ませて現実の回路に近い交流回路や過渡現象とかを扱う理論へさっさと進みたいところだが、直流回路理論は回路の電流値が変化しない安定状態を前提としているが、交流回路も所詮定常波が現れている安定した状態を前提にしているので基本は同じである。実際の回路では電源投入時の過渡現象から、パルス信号とかめまぐるしく回路電流や電位が変化する世界であるので道は遠い。 本当は中学卒業した頃にこうしたことを順番に学んでいけばよかったのだが、それが出来なかった。そうした悔しさもあってもう人生の後半になってから思い返したように独学を始めた次第。 マイペースでゆっくり進もう。 |
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