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webadm | 投稿日時: 2009-9-28 10:58 |
Webmaster ![]() ![]() 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3110 |
演算子法の古書 内容的に今日の本よりも丁寧なものだと思って入手した出版年代不詳の電気回路の参考書。
![]() 第一級無線技術士用 電気回路 (下巻) 財団法人無線従事者教育協会 編集 というもの。内容的には驚く程しっかりしている。 特に予想外だったのが、過渡応答の章で今日のようにラプラス変換ではなく、ヘビサイドの演算子法が当たり前のように登場する点である。 ![]() 今まで見たなからではおそらく最も新しいヘビサイドの演算子法に関する内容である。以前に入手した演算子法の本にあったようにシフト定理に関する記述も含まれている。 更に驚いたのは、この本の一番最後にヘビサイドの展開定理の応用として、以前演習問題で難儀して降参した有限抵抗ラダー回路の差分方程式による解法が丁寧に記載されている点だ。 ![]() この問題は元々展開定理の応用問題だったのか、それで初歩の直流回路の演習問題としては難しすぎる理由と、他の本には登場しないわけである。差分方程式の応用問題としては今でも良い例かもしれないが、元々はヘビサイドの展開定理の応用だったわけで、ラプラス変換で置き換わった今日では無理やり引っ張り出す理由もなくなったのかもしれない。それにしてもこの問題は難しい。 ![]() ![]() しかし最後の結論は解になっていないように見えるのだが、ただの電圧版の漸化式に見える。紙面の都合で残りは省略か。結局のところ定数項が消えていないし、単に差分方程式を微分方程式と同様に解いているということでしかないように見える。ヘビサイドの演算子法とは関係が無いようだ。 P.S 調べてみるとこの本は昭和1963年頃に出版されたものらしい。検索するとプレミア価格が上巻についているが下巻はみあたらない。当時の第一級無線技術士というのは現在では第一級陸上無線技術士という名前に変更になっている。 P.S 2 有限長の抵抗ラダー回路の解析法は、元来はヘビサイドが有限長の分布定数回路の過渡応答を解析したのが初出であると思われる。本書では分布定数回路の過渡応答に関して省かれているのだが、本来は最後にそれがあってしかるべきかもしれないが、著者の都合か紙面上の都合で割愛されてしまっている。また今日の図書でも有限長の分布定数回路の過渡応答の式は導出のしかたは省かれて結果だけが提示されているのがほとんどである。欧米では既に分布定数回路という概念すら教科書から削除されているのでヘビサイドの名残は完全に無くなってしまっている。強いてあげれば特性インピーダンスという用語はヘビサイドが分布定数回路の解析の結果発見したものでその命名もヘビサイドによるものである。しかしそれをあえて教える本は現在ではほとんど無い。 |
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