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投稿者 スレッド
webadm
投稿日時: 2015-4-15 21:41
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3107
Re: 自分の数学を持つことの勧め
ふう、先々週の金土日と朝から終電まで合同デバッグと称する作業を強いられて集中力を使い果たして、今ごろその後遺症に悩まされ中(;´Д`)

ある種PSDTなのかも。緊張を解きほぐせるのは昼食時だけで、それ以降は夕食も抜きで緊張を強いられるというストレスを解放するタイミングがなかったのが痛い。みんな真面目な人ばかりだとそういうことになりかねない。

さて、だいぶ間が開いてしまったが、通勤途中とかではもっぱら自分数学の探究を続けている。

自分数学の何が楽しいかは、前回を例にすると、今も目の前に生きている数学的対象を観察してその正体を探求することにつきる。

数学書とかで扱われている数学的対象は、研究し尽くされた動物の剥製標本を眺めている感じがして興味が失われる。それが数学嫌いを生む原因ではないかと思う。

ちょうど子供に寿司屋でマグロのにぎりを前にして「お嬢ちゃんこれがマグロというものだよ」と説明するようなもので、確かにマグロの都合の良い性質だけとらえているけれども、その外観から本当のマグロが大海で泳ぎ回っている姿を想像することは困難だろう。

それと同様に数学書で扱われている数学的対象も、都合の悪い部分はそぎ落とされていることが多いし、それが現実に存在するのかどうかも怪しい。

以前に球座標系のLaplace方程式の解として現れるLegendre倍関数を学んだが、確かにそれは自然に出てくるのだが、現実世界でそれが存在している姿を想像するのは難しい。電磁気学では誘電体中の電界を考える時に微少な電気双極子がびっしり並んだ状態を想像すればなんとか存在する気もするけど、それは想像にすぎない。

前回の記事で単純な円周上の任意の点の法線ベクトルと中心軸からの距離ベクトルがなす平行四辺形の面積がまさにLegendre倍関数であることを再発見した。これは現実に目の前に存在して今も生きているのは明らかである。何故こんなところにLegendre倍関数が生きているのかは読者の課題とした。

生きた数学的対象を見ると、子供が動物園につれていかれて生きた動物の姿を初めてみた時と同じ衝撃がある。生きていない剥製標本の動物をみるのとは大違いである。

さて、他にも生きた数学的対象を見いだすことはできないだろうか?

テキストとかでは、ちらっとわかりやすい例としてそうした生きた数学的対象を持ち出す著者も居る。しかしそれは読者の興味を誘う手段であって、それを研究することが目的ではなく、次は研究しつくされた数学的対象の剥製標本について説明するだけである。

小学校の授業で今も記憶に残るのは、国語のテストで引用されている既存の小説の一節を読んで、設問に答えなさいという典型的な問題である。小説の一節があまりにおもしろいので(生き生きとした表現なので)その世界にすっかり引き込まれてしまい、あれこれ想像を巡らしてテスト用紙では割愛されている続きのシーンを思い描いたりしていて、結局問題には答えずにいつも0点を頂戴していた思い出である。

学習指導要領的には文章を読んでその内容を正確に理解するという能力を確かめるテストなんだろうけど、読む手には文章をいかようにでも解釈してよいという自由が与えられているはずだが、テストではその自由は奪われていて、出題者と同じまったく同じ解釈をしなければ0点ということになる。このことを子供ながら瞬時に察して、以降は国語のテストでは小説の一節を存分に味わって問題には答えないという姿勢を貫いた覚えがある。

自分数学も同様で、テキストに書いてあるのはその著者の自分数学であって、私の自分数学とは違う。他人の自分数学を理解するのは苦痛だが、自分の数学を探究するのは楽しい。

さて、自分数学の次なるネタを探そう。

複素解析を学んだ際に、最初に躓くのが虚数単位iである。

歴史的には√-1という形で二乗すると-1になる数という形で登場したが、長らくその数学界での定位置が与えられていなかった。

線形代数の行列表現を使用すると、虚数単位も行列の中の一つとしてとらえることができる。そうした比喩は理解を助けるためにテキストでも用いる著者は多い。しかし、更に深追いすることはなくて、読者の気をひきつけるためだけである。

例えば、実数値は以下の様に行列で表現できる



ここでrは任意の実数値である。

虚数単位iは二乗すると-1になり、三乗すると-iになり、四乗すると1になり五乗するとiに戻る。

これはちょうどベクトルを原点を中心に90度づつ回転させたような位置関係になることから、虚数単位iが位置する座標は実数軸と直交した座標軸上にあると考えることができる。

行列ではちょうど座標軸の回転させる変換行列がそれに相当する。



試しに二乗してみると



確かに実数の-1になる。

従ってテキストでは複素数は実数と虚数の任意の線形結合で表されることになると締めくくるのが普通である。

教科書ではそこまでしか書いてないが、ここに想像から生まれたのではあるが、生きて目の前に居る獲物を見てそのまま立ち去るというのは忍びない。

自分数学的には、虚数単位iのように回転作用のある数は他にはないのだろうかという疑問が沸く。

それはある程度Hamiltonの四元数が頭にあってのことだが、Hamiltonの四元数発見までの長い労苦を追体験したいというわけではなく、目の前の獲物をいろいろな観点から観察したいという自然の欲求である。

例えば、教科書では説明されない、以下の行列の表現は一体何を意味するのだろうか、もしくは何も意味しないのだろうか?



これは二乗すると



三乗すると



また元に戻るという変な性質を持つことがわかる。

どうも成分が4つの二次元行列では別の虚数単位に相当する数は出てきそうも無い気がする。

3次元行列にするか、立体行列に拡張しないとだめくさい。

3次元行列は当たり前過ぎなので、テキストには出てこない立体行列というものを想像してみよう。

ちょうど立方対の頂点にそれぞれ成分が位置するとして、6つの二次元行列で囲まれている感じ。成分は8つあるので、その中から4つの成分の組み合わせで二次元行列がいくつできるか考えてみると卒倒する。

さてその中には同じ成分の組み合わせだが二次元行列を回転したり、転置したようなものも含まれるわけで、それらが同じ行列と見なすべきかどうか悩ましい。

それらの中に果たして虚数単位のようなものは存在するのだろうか?はたまたHamiltonの四元数は構成できるだろうか?

それを調べるのは読者の課題としよう(´∀` )

P.S

4つの成分の二次元配列でも、成分を実数ではなく複素数からとれば四元数の基底に対応する結果が得られる。

先の二乗すると単位行列になる変な行列は要素が実数だったが、虚数単位√-1を乗じれば、二乗すると-1に対応する行列になる



ここで2つの二乗すると-1に対応する行列になるものが見つかったので、その二つを掛けるとまた別の線形独立な基底行列が現れる



これもまた二乗すると-1に対応する行列になる



掛ける順序を逆にすると結果の符号が変わる



i,j,kはそれぞれ線形独立であることは容易に確かめることができる。従って四元数はスカラー項に相当する単位行列と、i,j,kの三つの基底行列の任意の線形結合に対応する(複素数を元とする二次元行列)。



Hamiltonはこの四元数を発見するのに長い間かかってある日、橋の上で遂に発見に至ったという話は有名である。

上記の結果はWikipediaになにげなく書かれていたのを昨日見つけた。いいところまで辿りついていたのに、自分で発見できなかったのは残念だが、すぐ近くまでさまよっていたのでよしとしよう(´∀` )

このHamiltonの四元数は、後にベクトル解析や電磁気学に多大な進展を与えることになる。
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題名 投稿者 日時
   自分の数学を持つことの勧め webadm 2015-2-3 12:47
     Re: 自分の数学を持つことの勧め webadm 2015-3-16 10:45
       Re: 自分の数学を持つことの勧め webadm 2015-3-17 9:57
       » Re: 自分の数学を持つことの勧め webadm 2015-4-15 21:41
           Re: 自分の数学を持つことの勧め webadm 2015-4-21 10:25
             Re: 自分の数学を持つことの勧め webadm 2015-4-26 21:43
               Re: 自分の数学を持つことの勧め webadm 2015-4-29 20:10
                 Re: 自分の数学を持つことの勧め webadm 2015-5-5 5:33
                   Re: 自分の数学を持つことの勧め webadm 2015-5-12 18:15
                     Re: 自分の数学を持つことの勧め webadm 2015-5-20 9:56
                   Re: 自分の数学を持つことの勧め webadm 2015-11-15 11:47
                     Re: 自分の数学を持つことの勧め webadm 2015-12-19 21:03
                     Re: 自分の数学を持つことの勧め webadm 2016-1-4 22:15
                     Re: 自分の数学を持つことの勧め webadm 2016-1-10 22:07
                       Re: 自分の数学を持つことの勧め webadm 2016-1-16 17:45
                         Re: 自分の数学を持つことの勧め webadm 2016-4-6 12:47
                           Re: 自分の数学を持つことの勧め webadm 2016-7-26 20:20

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