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webadm
投稿日時: 2007-9-10 12:40
Webmaster
登録日: 2004-11-7
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投稿: 3107
ピコアンペアソース
大分前に入手したKeithleyのレトロなピコアンペアソース。

Keithleyと言えば泣く子も黙る測定器メーカー。半導体用の測定器や評価装置が強みのところ。その歴史の片鱗がこのピコアンペアソースに見られる。通常の定電流源装置が数A〜mAの範囲を扱うのに対してこれは11.00x10^-5A(0.110mA)〜0.01x10^-12A(0.01pA)の微少な範囲を扱う定電流電源装置。ダイヤルの文字盤が飴色に変色していい感じを出している(楽器じゃないって)。



こうした微少電流を測定するには別途ピコアンペアメーターが必要だがめったに手に入らない。高い抵抗値をつないでその電圧降下を測定することである程度は意図した通りに機能するかは確認できる。

製造から30年は経過していると思われ埃も大分中まで積もっている。中を開けてみるにはマイナスのドライバーが一本あれば済むように設計されている。裏蓋はマイナスドライバで回すことができるロック爪があり、2つの爪をロックを外す位置に回すと蓋が簡単にはずれる。上蓋は側面のマイナスネジを取り外すことでこれも簡単に取り外せる。



内部は極めて簡素な作り。おそらく定電流制御はカレントミラー回路を使用して行っていると思われる。電流値の設定のために沢山の抵抗ネットワークを切り替えているのがわかる。



裏側から基板の半田面がアクセスできる。横に並んでいるのは電流レンジのバイアス調整用半固定抵抗器。

とりあえず電解コンデンサは寿命が来ていると思われるので交換することにした。取り外してみるとやはり液漏れを過去に起こしたと思われる汚れがコンデンサを取り外した後に確認された。



使われていたのは3つの電解コンデンサ。手前の2つは平滑用、奥のが定電流源用。手前の黒いパッケージのものが微妙に濡れているように見えるのは、パッケージにいくつか経年変化でクラックが入っていてそこから内部の電解液が半田コテの熱で熱せられ膨張してしみ出ているためである。

もう片方の平滑用コンデンサはまだ極性の表記方法が統一されていない時代のものと思われプラス極がマーキングされている。最初これをマイナス極だと勘違いして新しいコンデンサを逆接続してしまった。テスターで印可されている電圧の極性を確認してマーキングが逆なのに初めて気づいた。今ではタンタルコンデンサでプラス極がマーキングしてあるのを除いてはその他の電解コンデンサはマイナス極がマーキングされるように統一されている。

どこぞの国の人工衛星開発ではコンデンサの極性を間違えていて最終試験まで気づかなかったという話が最近あったらしい。30年以上前ならいざ知らず今時そういうのがあるのはかなり恥ずかしいと言える。たぶん逆接続時には過大な漏れ電流でコンデンサが異常発熱するのでサーモメーターとかで各部品の表面温度を観測して異常に初めて気づいたのだと想像される。そういうテストをしていたから救われたのかもしれない。人工衛星の寿命を台無しにしかねないミスである。



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