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webadm
投稿日時: 2013-11-18 1:50
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3094
ダンピング回路
次は線路に直列に抵抗を挿入する回路の問題

下図のように特性インピーダンスZ1(s),Z2(s)の無損失線路の間に抵抗Rを挿入したとき、この抵抗Rで反射を生じないためにはどのような条件が必要か。



というもの。

これも以前線路と直列にインピーダンスZを挿入する問題で透過電力を最大にする条件を求めたが、ZをRにした特殊な問題である。

以下の等価回路で考えると



左側の線路から見ると終端がRとその先の線路の特性インピーダンスZ2が直列に接続された合成インピーダンスZ3で終端されているのと透過である。

その場合の反射電圧と反射電流はZ1とZ3で決まる電圧反射係数を用いて表すことができて



ということになる。

反射電圧と反射電流が0にするには電圧反射係数を0にすれば良いので



ということになる。

ただしZ1≧Z2の場合のみ有効である。そうでない場合には負性抵抗でも挿入しない限り反射を無くすことはできないが減衰させる効果はある。

P.S

デジタル回路とかで線路に直列に低抵抗を挿入することがある。ダンピング抵抗と呼ばれるもので、昔は高速に信号を駆動するために高速に電流を入れたり切ったりすることで行っていた時代があったが、その場合線路とのインピーダンス整合とか計算する手段がなかったこともあって、そのままパターンで接続すると反射波が送信端と受信端の間を何往復もして信号がめちゃくちゃになってしまうことが多かった。それで半ば常識的にそうなって欲しくない信号路には直列にダンピング抵抗と賞する低抵抗値の抵抗を挿入して、反射波のエネルギーがそこを行き来するたびに消費して熱に変えて減衰させようという方法がとられた。今もLSIとかが微細化が進み反射波によるアンダーショート(GNDレベルより低い負の電圧に信号レベルが下がること)が発生するとLSIが破壊されたり誤動作を引き起こすのでダンピング抵抗が必要な場合が多い。

うまく回路条件が合えば、ダンピング抵抗値を適切に設計することで反射を抑えることができるということになる。ただし実際の回路基板とかの線路は無損失線路でも無歪み線路でもないので、過剰な期待は禁物である。いずれにせよ昔はプリント基板上の線路のインピーダンスを計算するなどしなかったけど、今はCADが進化して計算してくれるものもある。しかしそれを有効に活用できるには、分布定数回路の知識が不可欠である。

単にダンピング抵抗と呼ばれるものは、Z1とZ2の違いがどうあっても、低抵抗値の抵抗を線路に直列に挿入することで反射波のエネルギーを行き来するたびにそぎ落としていくものだと考えてよいだろう。

どれくらいの効果があるかは時空間での反射波のグラフをプロットすれば一目瞭然だが、それは読者の課題としよう( ´∀`)
webadm
投稿日時: 2013-11-18 2:27
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3094
ブロッキングキャパシタ
いよいよ最後は線路に直列にCを挿入する回路の問題

下図のように特性インピーダンスZ1=300[Ω],Z2=200[Ω]の無損失線路の間にキャパシタンスCを挿入した回路において、直流電圧Eの進行波が入射したときの反射波er,透過波etおよびそれらの最大値を求めよ。



というもの。

これも以前にインピーダンスZを線路に直列に接続する問題の特殊なケースと考えられる。

以下の等価回路で考える



以下の関係が成り立つ



従ってer,etはそれぞれ



ということになる。

erは時間と共に指数関数的に増加しt=∞で入射波と等しくなる、etは逆にt=0で入射波と等しいが時間と共に指数関数的に減少しt=∞で消滅することからそれぞれの最大値は



ということになる。

最大値をあやうく答えるのを忘れていたのは内緒だ。

以前の問題の結果を用いればもっと簡単である。

線路にCを入れる場合にはブロッキングキャパシタと呼ばれ、直流をブロックするのに用いられる。オシロスコープなどで入力をACカップリングに設定するとブロッキングキャパシタが挿入され直流電圧がカットされ、交流信号だけを観測することができるようになる。交流信号に直流電圧がバイアスとしてかかっているような回路で交流信号だけを観測するのにに便利である。

さて最後の問題をHeviside演算子法で解いて有終の美を飾ることができた。

まだ途中の問題でHeviside演算子法でやり残した課題があるが、時が満ちれば解決の糸口がつかめるかもしれない。

上巻でも直流回路の問題で有限ラダー回路が解けずに放棄していたのと、双曲線関数で表されるリアクタンス回路が終端が開放の有限調線路になるというまだ分布定数回路を学ぶ前の演習問題も放棄した憶えがある。それを除けば全て解いたと思う。いずれ放棄した問題も解きが満ちれば解いておきたいところである。

ここで詳解電気回路演習の著者に感謝するとともに、著書の中にある数々の誤りが改訂される機会があることを期待して電気回路理論おもちゃ箱を閉じることにしよう。

その後もいくつか思いついたことや紹介したいことを追記するために、またおもちゃ箱を開けるかもしれない。とりあえずこのままにする。

熱心な読者の方々に多少とも参考になれば幸いである。

P.S

やっと終わったよママン(ノД`)

長かった開始してから7年ぐらいたった気がする。
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