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webadm | 投稿日時: 2024-2-1 23:58 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3088 |
電気力線と電束線 前節で既に電位の勾配として登場した電界に関してその勾配の向きや方向を与える電気力線と勾配の強さを与える電束線の概念を扱うことにする。
著者は何の説明もなく、下記の式を電気力線の微分方程式だとしている。 これだけ見たら直ぐ帰宅して布団被って寝るしかないよな(;´Д`) (P.S. この微分方程式は寺沢寛一著「自然科学のための数学概論[増訂版]」の6.12 連立微分方程式が出典であると思われる。寺沢氏はどこからそれを持ってきたかというと、Maxwellの著書"A TREATISE ON ELECTRICITY AND MAGNETISM"だと思われ、Maxwellはその中の巻頭のPRELIMINARY章でM.Lameの"Traite des Founctions Innerses"にインスパイアされて電気力線や電束が満たす上の条件式の元を考えたとある。それを確認するために、最新版を購入したのは内緒だ(´∀` )、Maxwellの論文はPDFコピーが手元にあるのでそれを再度読み直した。Maxwellはベクトル解析のことは知っていたけど、自身が感銘を受けたハミルトンの四元数を用いたことを思い出した。) 前節を読み返すと、少しだけ使われている記号に関して解ってくる。 Vを電位ポテンシャルとすると、電界Eの各成分は また、電気力線の線分dl=(dx,dy,dz)を導入して、電気力線の接線の向きと線分dlは平行であることから、外積は0となる。 とういう意味だった。 実際に三次元空間での電気力線を描くとなるとこの関係式だけではどうにもならないのは明らか。 本題に戻って、電気力線とか電束線という概念が何故必要になったか考える必要がある。 クーロンの生きた時代やマックスウェルが電磁気学を体系化しようとした時代ではまだ数学でのベクトル解析は一般的ではなかった。 なので3次元空間を扱う場合には、3つの座標軸方向の成分をそれぞれ独立に扱う必要があった、ベクトルならひとつにまとめて扱えるのと大違いだ。 クーロンは二つの電荷の間に引力もしくは斥力が働く現象を2つの質量間に働く重力と相似していると考えて、それを実証した。 しかしその当時は2つの電荷を結ぶ直線上に力が働くということで十分だったが、三次元空間上に複数の電荷がある場合は、それぞれの電荷との間を結ぶ直線上に働くクーロン力を重ね合わせるしかなかった。 ヘビサイドが後にマックウェルの方程式をベクトル解析の手法で現在知られているマックスウェル方程式の形に書き直したことで電磁気学理論は数学的にも刷新された。 まずもってベクトルの概念によって大きさと方向をひとつの物理量として扱うことができるようになったという点がありがたい。 ベクトルの概念が無かった頃は、任意の電場の中に置かれた試験電荷に働くクーロン力を説明するために、電気力線と電束線という概念が必要になったと考えられる。 単位面積を貫く電束線の密度(電束密度)Dは以下の様に定義される。 上記が意味するところはガウスの定理で明らかになるが、電束密度は電界の式に含まれる誘電率ε0には依存しないため、それが消去された形になっている。 |
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