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webadm | 投稿日時: 2007-9-15 18:10 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
問題37:Kelvinのダブルブリッジ Kelvinのダブルブリッジというのは基本系のブリッジ回路の一端に抵抗のΔ接続を挿入した形になっている。
著者の解ではΔ接続をY接続に置換して基本形のブリッジ回路に簡略化してから式を立てている。 Maximaがあればどんな複雑な回路でもたちどころに解けるので、そのままの回路で方程式をたててみて解いてみることにする。 まずキルヒホッフの法則により以下の5つの式が成り立つ。 (%i1) e1: E=I1*R1+(I1-Ig)*R2; (%o1) E=(I1-Ig)*R2+I1*R1 (%i2) e2: E=(I-I1)*Rx+(I-I1-I4)*R6+(I-I1+Ig)*R3; (%o2) E=(-I4-I1+I)*R6+(-I1+I+Ig)*R3+Rx*(I-I1) (%i3) e3: E=I1*R1+Ig*Rg+(I4+Ig)*R5+(I-I1+Ig)*R3; (%o3) E=(I4+Ig)*R5+(-I1+I+Ig)*R3+I1*R1+Ig*Rg (%i4) e4: E=(I-I1)*Rx+I4*R4+(I4+Ig)*R5+(I-I1+Ig)*R3; (%o4) E=(I4+Ig)*R5+I4*R4+(-I1+I+Ig)*R3+Rx*(I-I1) (%i5) e5: E=(I-I1)*Rx+I4*R4-Ig*Rg+(I1-Ig)*R2; (%o5) E=I4*R4+(I1-Ig)*R2+Rx*(I-I1)-Ig*Rg 上記の式からI,I1,I4,Ig,Rxに関する一般解を解くことができるが、問題ではさらにブリッジが平衡状態にある場合に限定しているので、以下の式を加える必要がある。 (%i8) e6: I1*R1=(I-I1)*Rx+I4*R4; (%o8) I1*R1=I4*R4+Rx*(I-I1) これらの6つの式からI,I1,I4,Ig,Rxを解くと、 (%i9) solve([e1,e2,e3,e4,e5,e6],[I,I1,I4,Ig,Rx]); (%o9) [[I=((E*R5+E*R3+E*R2)*R6+(E*R3+E*R2)*R5+(E*R3+E*R2)*R4)/(((R2+R1)*R5+(R2+R1)*R3)*R6+(R2+R1)*R3*R5+(R2+R1)*R3*R4),I1=E/(R2+R1),I4= (E*R2*R6)/(((R2+R1)*R5+(R2+R1)*R3)*R6+(R2+R1)*R3*R5+(R2+R1)*R3*R4),Ig=0,Rx=((R1*R5-R2*R4+R1*R3)*R6+R1*R3*R5+R1*R3*R4)/(R2*R6+R2*R5+R2*R4)] ] という具合に瞬時に答えが出る。Ig=0になっているので平衡状態であることは確か。しかしRxの式が以下の著者の解に比べて複雑である。 Rx=R1*R3/R2+(R1/R2-R4/R5)*R5*R6/(R4+R5+R6) はたして R1*R3/R2+(R1/R2-R4/R5)*R5*R6/(R4+R5+R6)=((R1*R5-R2*R4+R1*R3)*R6+R1*R3*R5+R1*R3*R4)/(R2*R6+R2*R5+R2*R4) であるかが問題である。これもMaximaで確認してみよう。 (%i10) R1*R3/R2+(R1/R2-R4/R5)*R5*R6/(R4+R5+R6); (%o10) ((R1/R2-R4/R5)*R5*R6)/(R6+R5+R4)+(R1*R3)/R2 (%i11) factor(%); (%o11) (R1*R5*R6-R2*R4*R6+R1*R3*R6+R1*R3*R5+R1*R3*R4)/(R2*(R6+R5+R4)) (%i12) expand(%); (%o12) (R1*R5*R6)/(R2*R6+R2*R5+R2*R4)-(R2*R4*R6)/(R2*R6+R2*R5+R2*R4)+(R1*R3*R6)/(R2*R6+R2*R5+R2*R4)+(R1*R3*R5)/(R2*R6+R2*R5+R2*R4)+(R1*R3*R4)/(R2*R6+R2*R5+R2*R4) ということで一見してまったく違うように見える著者の式とMaximaが出した式は同じものだったということが確認できた。 残る問題はR6の値によらずブリッジが平衡であるためのその他の抵抗値の関係を求めるというもの。これは著者と同じようにブリッジが平衡状態の時のRxの関係式でR6の値によらず式が成立するための条件を見いだすことによって行う。元となるRxの式はMaximaが出力した Rx=((R1*R5-R2*R4+R1*R3)*R6+R1*R3*R5+R1*R3*R4)/(R2*R6+R2*R5+R2*R4) を使用する。著者と同様にR6の項を整理すると、 (Rx*R2-(R1*R5-R2*R4+R1*R3))*R6=(R5+R4)*R1*R3-(R5+R4)*Rx*R2 この式がR6の値によらず成り立つには Rx*R2-(R1*R5-R2*R4+R1*R3)=0 かつ (R5+R4)*R1*R3-(R5+R4)*Rx*R2=0 である必要がある。 最後の式の両辺を(R5+R4)で割ると R1*R3-Rx*R2=0 すなわち R1*R3=Rx*R2 ∴R1/R2=Rx/R3 上記のRxとR1,R2,R3の関係式でもう片方の条件式を置き換えると Rx=R1*R3/R2 Rx*R2-(R1*R5-R2*R4+R1*R3)=(R1*R3/R2)*R2-(R1*R5-R2*R4+R1*R3)=R1*R3-R1*R5+R2*R4-R1*R3=-R1*R5+R2*R4=0 すなわち R2*R4=R1*R5 ∴R4/R5=R1/R2 従って R1/R2=Rx/R3=R4/R5 という著者と同じ結果が得られた。 |
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