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webadm | 投稿日時: 2007-9-26 7:48 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
Re: 問題37:Kelvinのダブルブリッジ あっさり流したKelvinのダブルブリッジ。
実は電気工学の歴史上重要な意味を持つ回路だったりする。 教科書にはもう古すぎてどこもKelvinのダブルブリッジ以上のことは説明されていない。 Kelvinとはそれを考案した人の名前だろうというのは想像がつく。 実は電気工学や熱力学の黎明期に登場した英国の天才学者、ウイリアム・トムソンことKelvin卿であることは想像に難く無い。 Kelvin卿は生涯800もの論文を発表し、電気工学や熱力学で数々の重要な発見をしてきた人である。特に熱力学の第二法則はKelvin卿によるものであり、絶対温度の単位(K)はKelvinのKである。 電気の分野でも意欲的に発見や数々の理論を生み出して多大な影響力を持った人だったらしい。日本の電気工学の父と言われる若くして夭折した天才学者、志田林三郎も英国に留学してKelvin卿から直伝を受けて数々の賞を獲得したらしい。 Kelvin卿は熱力学や電気など科学についてどん欲に知識を追求していったところもあり、反面悲観的な予測を発表してマイナスの影響力を発揮することも多かったらしい。 ブリッジ回路に使われる検流計の開発もお得意のものだったらしい。というのも当時発明されたばかりの電信技術でドーバー海峡や大西洋を橋渡しする海底ケーブルの計画が次々とたてられていた時代であった。 Kelvin卿は当時初めての電信方程式というのを発表し、長大な海底ケーブルでは電線の抵抗と長さによって波形が鈍り実用にならないという根拠を示したことでも有名である。当時の電信技術はケーブルに電流を流して末端に接続された検流計かリレーを動かすことによって符号を伝送するというものだった。 Kelvin卿は大西洋ケーブル施設の計画に参加した一人であり、主にケーブルの電気抵抗の低減に腐心したようだ。微弱な電流でも符号が確実に伝えられるように微弱な電流で大きく動く鏡を使った検流計(ミラー・ガルバノメーター)を考案したりもした。 おそらくその検流計と電線のように低い電気抵抗値を正確に測定するためについでに考案したのがダブルブリッジ回路であろうと推測される。この回路はまともなデジタルマルチメーターとかの抵抗測定機能には必ず4端子測定モードがついていると思うが、それに使われている。通常の2端子や単純なブリッジ回路による測定では微少な抵抗値を測定する場合に、回路の配線抵抗が無視できなくなり精度が悪化する。ダブルブリッジ回路では抵抗の比だけで決まるので配線の抵抗で影響を受けなくなるという利点がある。 たぶんこのダブルブリッジ回路で銅線を曲げると抵抗値がわずかに増えるという発見をしたのだろう。現代でも使われている歪みゲージセンサーの原理でもある。 |
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