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webadm | 投稿日時: 2007-10-7 22:30 |
Webmaster ![]() ![]() 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3110 |
Re: 問題57:無限に続く抵抗ラダー回路の解析 さていよいよ残る命題の
In=I1(2-sqrt(3))^n-1 というのを導くのだが。最初の命題は永遠に続く抵抗ラダーの電流の関係を示していることを思い出そう。 In -4In+1 + In+2 = 0 すなわちあるn段目を流れる電流Inは、それ以降のn+1とn+2段目の電流で表されるというもの。 しかしこれだと、n段目に流れる電流を計算するためにはそれ以降のn+1とn+2段数に流れる電流を知らなければならない。n+1段目を知るためにはn+2とn+3段目の電流を知らないといけないという永遠に続くパラドックスに陥る。 なので次なる命題はn段目の電流が初段の電流I1と段数の関係だけで表すことが出来るというのを導けというもの。 直感的にこの無限に続く抵抗ラダー回路に流れる電流は漸化的に減衰していくのは明らかである。段数を横軸に流れる電流のグラフを描けば階段上に段々と下がっていくのが想像できる。そして最後は無限大の段数では流れる電流は0に限りなく近づく。いわゆる指数関数的なグラフを描くはずである。 こうした性質の関数を扱うのは数学では漸化式というらしいが、手元の数学公式集には載っていない。数学事典とかを見れば載っているのかもしれない。著者が唐突に用いている解法は天才的でよくわからないので、数日間いろいろ考えて自分なりの方法を見つけた。 回路の合成抵抗を求める際に使った方法を応用する。無限に続く抵抗ラダーの片側は合成抵抗R0で表すことができる。どこでちょん切って抵抗値を測定してもそっから先は無限に続いているので同じ値になるはずである。 またその無限に続く抵抗ラダーの手前に似たような抵抗ラダーを1段または2段追加したとしても全体の合成抵抗は無限に続く場合の合成抵抗R0で変わらないはずである。 まず1段目に関して解析してみる。1段目に流れる電流I1と2段目以降の無限ラダーに流れる電流をI2とし、ブリッジ部分に流れる部分をI'1とすると以下の関係が成り立つ。 I'1*R = I2*R0 I1*R0 = I1*R + I'1*R + I1*R 1番目の式から I'1 = I2*R0/R これを2番目の式に代入して I1*R0 = I1*R + (I2*R0/R)*R + R1*R ∴I2=(I1*R0 - 2*I1*R)/R0=I1*(1 - 2*R/R0) ここでR0は以前に合成抵抗を求めた際に無限に続く抵抗ラダーの片側の合成抵抗 R0=2*sqrt(3)*R/(3-sqrt(3)) を代入すると I2=I1*(1 - 2*R/(2*sqrt(3)*R/(3-sqrt(3)))) =I1*(1 - (3-sqrt(3))/sqrt(3)) =I1*(1 - (sqrt(3)-1)) =I1*(2 - sqrt(3)) ということになる。 同様に3段目について解析すると I'2*R = I3*R0 I'1*R = I2*R + I'2*R + I2*R I'1*R = I2*R0 I2 = I1*(2 - sqrt(3)) 1番目の式からI'2は I'2 = I3*R0/R これを2番目の式に代入すると I'1*R = I2*R + (I3*R0/R)*R + I2*R =2*I2*R + I3*R0 3番目の式でI'1*Rを置き換えると I2*R0 = 2*I2*R + I3*R0 4番目の式でI2を置き換えると I1*(2-sqrt(3))*R0 = 2*I1*(2-sqrt(3))*R + I3*R0 ∴I3 = (I1*(2-sqrt(3))*R0 - 2*I1*(2-sqrt(3))*R)/R0 =(I1*(2-sqrt(3))-2*I1*(2-sqrt(3))*R/R0) =I1*(2-sqrt(3))*(1 - 2*R/R0) ここでR0は同様に R0=2*sqrt(3)*R/(3-sqrt(3)) なので置き換えると I3 = I1*(2-sqrt(3))*(1 - 2*R/(2*sqrt(3)*R/(3-sqrt(3)))) =I1*(2-sqrt(3))*(1 - (3-sqrt(3))/sqrt(3)) =I1*(2-sqrt(3))*((sqrt(3) - (3-sqrt(3))/sqrt(3)) =I1*(2-sqrt(3))*((2*sqrt(3) - 3)/sqrt(3)) =I1*(2-sqrt(3))*(2 - sqrt(3)) =I1*(2-sqrt(3))^2 ということになる。 このことからn段目に流れる電流Inは In=I1*(2-sqrt(3))^n-1 であることがわかる。 いいのかこれで。 ちなみにMaximaで上の式を計算すると I3=((7*sqrt(3)-12)*I1)/sqrt(3) などという訳のわからない式になるが (2-sqrt(3))^2を計算すると 7-4*sqrt(3) であることから 7-4*sqrt(3)=((7*sqrt(3)-12)/sqrt(3) であることから (2-sqrt(3))^2 = ((7*sqrt(3)-12)/sqrt(3) であるので同じ式であることがわかる。 Maximaはこれを因数分解できないらしい。 |
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