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webadm | 投稿日時: 2007-10-27 20:53 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
Re: 問題59:漏洩抵抗のある架線を流れる電流 著者の解法では漸化式をたてる段階から双曲線関数表現に直し、それ以降も極力双曲線関数でシンプルな記述になるように整理することで命題の解が導かれることを証明している。
単純にMaximaのsolve_recで漸化式を解いて一般解を求めた後、何も考えずに定数部を境界条件の連立方程式から解いて置き換えた結果と比較すると似てもにつかぬ式になることは承知の通り。 しかしその二つの式は実は等価であるというのを検証してこの問題を終えたいと思う。 おさらいでMaximaのsolve_recで漸化式をそのまま解くと (%i8) solve_rec((I[k-1]-I[k])*R2=I[k]*R1+(I[k]-I[k+1])*R2,I[k]); (%o8) I[k]=(%k[2]*((sqrt(4*R1*R2+R1^2)+2*R2+R1)/R2)^k)/2^k+(%k[1]*(-(sqrt(4*R1*R2+R1^2)-2*R2-R1)/R2)^k)/2^k という平方根とかの式が入った一見複雑な式になるが、これが予め漸化式を双曲線関数を使って書き直したものと等価であるか検証してみよう。 Maximaのsolve_recは漸化式に対する特性方程式の以下の根に基づいて一般解を導いているのは明らか (%i2) solve(x^2-(2+R1/R2)*x+1=0,x); (%o2) [x=-(sqrt(4*R1*R2+R1^2)-2*R2-R1)/(2*R2),x=(sqrt(4*R1*R2+R1^2)+2*R2+R1)/(2*R2)] この基本解が予め双曲線関数で漸化式を表したものから求めたものと等価なのだろうか? 問題ではa=sinh^-1(sqrt(R1/4*R2))としている。 これはすなわち sinh(a)=sqrt(R1/4*R2)=sqrt(R1/R2)/2 sinh^2(a)=R1/4*R2 R1/R2=4*sinh^2(a) ということになる 双曲線関数を使わないで得た特性方程式の根を整理してみよう。 x=-(sqrt(4*R1*R2+R1^2)-2*R2-R1)/(2*R2)=(2*R2+R1-sqrt(4*R1*R2+R1^2))/(2*R2)=(1+R1/(2*R2)-sqrt(R1/R2+R1^2/4*R2^2))=(1+2*sinh^2(a)-sqrt((R1/R2)*sqrt(1+R1/(4*R2))))=(1+2*sinh^2(a)-2*sinh(a)*sqrt(1+R1/(4*R2))) 公式より1+sinh^2(a)=cosh^2(a),1+2*sinh^2(a)=cosh(2*a)なので x=(cosh(2*a)-2*sinh(a)*sqrt(1+R1/(4*R2)))=(cosh(2*a)-2*sinh(a)*sqrt(1+sinh^2(a)))=(cosh(2*a)-2*sinh(a)*sqrt(cosh^2(a)))=(cosh(2*a)-2*sinh(a)*cosh(a)) また公式より2*sinh(a)*cosh(a)=sinh(2*a)なので x=cosh(2*a)-sinh(2*a)=((exp(2*a)+exp(2*a))/2-(exp(2*a)-exp(2*a))/2)=exp(-2*a) 同様に x=(sqrt(4*R1*R2+R1^2)+2*R2+R1)/(2*R2)=(sqrt(R1/R2+R1^2/(4*R2^2))+1+R1/(2*R2))=(sqrt((R1/R2)*(1+R1/(4*R2)))+1+2*sinh^2(a))=(sqrt(R1/R2)*sqrt(1+R1/(4*R2))+cosh(2*a))=(2*sinh(a)*sqrt(1+sinh^2(a))+cosh(2*a))=(2*sinh(a)*sqrt(cosh^2(a))+cosh(2*a))=(2*sinh(a)*cosh(a)+cosh(2*a))=(sinh(2*a)+cosh(2*a))=((exp(2*a)-exp(2*a))/2+(exp(2*a)+exp(2*a))/2)=exp(2*a) なので一般解は I[k]=K1*exp(-2*a)^k+K2*exp(2*a)^k=K1*exp(-2*k*a)+K2*exp(2*k*a) exp(±x)=cosh(x)±sinh(x) なので I[k]=K1*(cosh(2*k*a)-sinh(2*k*a))+K2*(sinh(2*k*a)+cosh(2*k*a))=(K1+K2)*cosh(2*k*a)+(K2-K1)*sinh(2*k*a) ここで K1+K2=C K2-K1=D とすると I[k]=C*cosh(2*k*a)+D*sinh(2*k*a) となり著者の解と等価であることが証明できた。 最終的な式も同様に公式を駆使して整理すれば等価であることが証明できるはずである。 まあこれで良しとしよう。 双曲線関数と指数関数は公式集に載っている公式だけではなくそれ以外の公式を自分で作りながら式をよりエレガントな形に整理するスキルが不可欠である。IQ値が低い者はバカの壁があるので地道に手探りでたどり着くしかない。 |
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