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webadm | 投稿日時: 2007-10-31 11:07 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
問題63:電力伝送と整合 次ぎは多くの参考書で見かける題材。内部抵抗rを持つ電圧源に負荷を接続した場合、最も大きな負荷電力となる負荷抵抗値を解くもの。
よく考えればRLをrより大きくすれば出力電圧(EO)は大きくなるが電流(I)は低下する。逆にRLをrより小さくすれば出力電圧は下がるが電流は増加する。極限値(∞,0)では電力が0となるのでその中間に最大値が存在することが予想される。 負荷抵抗で消費される出力電力POは PO=I*EO=I^2*RL=(E/(r+RL))^2*RL で表される。 これをRLについて微分すると (%i28) diff(RL*E^2/(r+RL)^2,RL); (%o28) E^2/(RL+r)^2-(2*E^2*RL)/(RL+r)^3 (%i29) factor(%); (%o29) -(E^2*(RL-r))/(RL+r)^3 すなわち微分係数(接線の傾き)の式は(E^2*(r-RL))/(RL+r)^3 最大値は接線の傾きが0(微分係数が0)となる点なので r-RL=0 従ってRL=rがP0の最大値を取る点となる。 この条件をPOの式に代入すると PO=(E/(r+r))^2*r=E^2/4*r ということになる。 これは電力伝送時の整合(マッチング)の概念として普遍的なものである。内部抵抗は出力回路の出力インピーダンスに相当し、負荷抵抗が出力インピーダンスと同じ場合に最大の出力が得られるという意味を持つ。また電力の式から内部抵抗が高い場合、同じ電力を伝送するのにより高い電源電圧を必要とする。逆に内部抵抗が小さければ少ない電源電圧でも同じ電力を伝送できるということになる。より大きな電力を伝送するには出力インピーダンスは低い方が都合が良いことが言える。このことが内部抵抗の高い真空管から内部抵抗の低いトランジスタへ電子回路が急転換した理由かもしれない。ただこれは集中定数回路でのこと。海底ケーブルや送電線のように分布定数回路になると線路損失が無視できない。損失電力が電流の二乗に比例するので電流を極力すくなくする必要から送電線の場合は数十〜百万Vもの高電圧が使われる。昔海底ケーブルで電磁式のモールス受信機を駆動するために送信側で2kVもの高電圧をON/OFFしたためケーブルが絶縁破壊を起こしお釈迦になったという有名な故事がある。信号を直流電流で伝えなければならなかった時代の話である。 直流回路の基礎をマスターした後は同じ集中定数回路の交流回路をマスターすることになる。交流回路も最初は歴史的に理想的な正弦波を使った回路解析を扱う。現実には理想的な正弦波のような交流電源は存在せず、商用交流電源も回転むらや負荷変動による様々な歪みが生じて様々な複雑な現象を引き起こす。そうした現実の交流電源を扱うのはその後の段階になる。 直流回路の基本だけでも低周波信号を扱うオペアンプとかの回路解析はできないことはない。時間軸を引き延ばせばその部分では低周波信号は定電流回路として近似することができる。 すべての電圧や電流の変化は波として扱うことができ、それらは複数もしくは無限の種類の正弦波を合成したものとして扱うことができる。それを利用すれば正弦波での回路解析が出来れば任意の波形でも応用できるということになる。 そして最後に分布定数回路や過渡現象を扱うことになる。 いずれも机上で現実世界で意図した動作をさせたり、挙動を予測したり計算したりするのが目的である。そのため物理学と同じぐらい数学を駆使することになる。 |
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