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webadm | 投稿日時: 2007-11-11 13:15 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
問題76:導線の温度上昇 あと残すところ2問である。
最後から2つ目の問題は同一の導線にある電圧を印可した際の温度上昇結果からそれとは違う電圧を印可した際の温度上昇を求めよというもの。 これは厳密に考えるとややこしい問題である。導線に一端電流を流すとジュール熱が発生し時間とともに温度が上昇していくことになる。厳密に考えると温度が上昇するに連れ温度係数によって導線の抵抗値も変化し電流もわずかに変化するので時間とともに電流が変化する一種の過渡現象を扱うことになる。また現実には熱は赤外線放射や周囲への熱伝導によって逃げていく熱量と発生する熱量が釣り合わないと永久に温度が上昇し続けることになる。実際に電球のフィラメントの温度が永久に上昇し続ければ電球はすぐに切れてしまう。真空管のヒーターも同様。実際には発生した熱量が周囲に放射したり伝導で奪われることで均衡がとれている。真空の宇宙空間で物体に熱を与え続ければ熱は放射によってのみしか逃げていかないので熱量が多いとすぐ高温になってしまう。これを扱うには10年というか100年早い。 ここでは問題を易しくするために温度上昇は導線に電圧を印可してから十分長い時間(t)経過して発熱と放熱が均衡した時点で測定するものとする。 導線の温度をT1℃上昇させるのに必要なカロリーは導線の半径(r)と長さ(L)それに比熱(c)に密度(d)を使って表すと P1=πr^2LdcT1 この時に導線に印可された電圧(E1)と導線の抵抗(R1)から消費されるt秒間のカロリーは熱による膨張を無視できるとすると P1=0.24I1^2R1t ここでI1は I1=E1/R1 また R1=R(1+αT1) なので P1=0.24(E1/R(1+αT1))^2R(1+αT1)t=0.24E1^2t/R(1+αT1) 従ってどちらのカロリーも等しいので πr^2LdcT1=0.24E1^2t/R(1+αT1) 同様にE2,T2の場合については πr^2LdcT2=0.24E2^2t/R(1+αT2) 二つの式でπr^2Ldcは等しいので整理すると πr^2Ldc=0.24E1^2t/(R(1+αT1)T1)=0.24E2^2t/(R(1+αT2)T2) すなわちπr^2Ldcと共通項を相殺することができ E1^2/(R(1+αT1)T1)-E2^2/(R(1+αT2)T2)=0 が成り立つことになる。 この式をT2についてMaximaで解くと (%i26) solve(E1^2/(R*T1*(a*T1+1))-E2^2/(R*T2*(a*T2+1))=0,T2); (%o26) [T2=-(sqrt(4*a^2*E2^2*T1^2+4*a*E2^2*T1+E1^2)+E1)/(2*a*E1),T2=(sqrt(4*a^2*E2^2*T1^2+4*a*E2^2*T1+E1^2)-E1)/(2*a*E1)] すなわち T2=(sqrt(4αE2^2T1(1+αT1)+E1^2)-E1)/2αE1 ということになり著者と同じ答えが得られたことになる。 著者の解法は前提の説明を省略して温度上昇が消費電力に比例しているという結論から式をたてているが気にいらない。 |
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