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webadm | 投稿日時: 2007-2-2 11:20 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
分流回路の実験 実験回路:
異なる抵抗値を持つ2つの抵抗(R1,R2)を並列に接続し両端に一定の電圧(E)を加えた場合の各抵抗に流れる枝電流(I1,I2)と全体に流れる電流(I)を測定する。 あらかじめ各抵抗値(R1,R2)と合成抵抗(R)を抵抗計で測定しておく。 加える電圧は1.5vの乾電池を使用し実験時に抵抗の両端の電圧(E)を測定しておく。 次に各抵抗に流れる電流(I1,I2)を各抵抗に直列に電流計を入れて測定する。 最後に並列抵抗に直列に電流計を入れて全体に流れる電流(I)を測定する。 上記の測定結果と理論から求めた値を以下の様に表に記入し考察する。 理論値の計算式は以下の通り R = (R1 x R2)/(R1 + R2) I1 = E/R1 I2 = E/R2 I = E/R +------+-----------+-----------+ | | 実測値 | 理論値 | +------+-----------+-----------+ | R1 | 21.9Ω | +------+-----------------------+ | R2 | 33.2Ω | +------+-----------+-----------+ | R | 13.2Ω | 13.2Ω | +------+-----------+-----------+ | E | 1.492V | +------+-----------+-----------+ | I1 | 51.7mA | 68.1mA | +------+-----------+-----------+ | I2 | 37.0mA | 44.9mA | +------+-----------+-----------+ | I | 76.1mA | 113.0mA | +------+-----------+-----------+ ここで実験で計測された値と理論的に求めた期待値とを比較すると驚愕の事実を目にすることになる。たぶん予想した以上に差異が生じているはずである。 抵抗値に関しては測定した値から理論的に計算した値と一致している。 しかし電流の測定値は測定した抵抗値と電圧から算出した理論値からだいぶ目減りしている。たぶん何度実験や測定を繰り返しても似たような結果になるだろう。それを意図した実験である。 邪な学生は実測値を捏造してわずかな誤差程度の違いにした上で「ほぼ理論値に近い結果が得られた」という満点のレポートを書いてすましてしまうかもしれない。 まじめな学生はここでレポートで何を報告すればいいのか動揺して迷うはずである。しかし実験データを捏造して偽りのレポートを書くことは決してないだろう。現実に向かいあうのだ。 もはや模範解答は無いと言えるが、着眼すべきポイントはいくつかある。 (1)実験の方法そのものが誤っていなかったか 上記の実験の結果は概ね分流回路の理論値に近いが目減りしているだけである。もしそうでない結果が得られたら(理論値より大きいとか、電流が流れないとか、大きい抵抗値の方が電流が多く流れているとか、単にデータを取り違えて記載してしまったとかいうミス)大きな誤りがあったかもしれないので再度実験を行う必要があるかもしれない。 (2)測定方法に問題はないのか 抵抗測定、電圧測定、電流測定のどれでも狂いがあれば理論値と乖離するが測定器は校正されたものを使用するのでここでは測定原理に着眼し測定時に回路に流れる電流や電圧に影響を与えるかどうかという点が重要である。 通常学生の実験は一回限りなので(1)の場合、実験中のミスにより理論値と大きく異なる結果が得られた場合はその可能性を検討し素直に原因とおぼしきものを認めるしかない。ミスが無くても理論値と傾向は同じだが値は同一にはならないので(2)について考察を行うことになる。 測定という行為は電気回路を扱う上で定めであるので、その扱いや性質については熟知する必要がある。電圧や電流、それに抵抗測定等について測定器の動作原理を併せて理解しておく必要がある。そしてようやく測定値が乖離した真の原因にたどり着き、更に進んでもっと適切な測定方法について考案できればなお良い。 |
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