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webadm | 投稿日時: 2007-2-15 5:09 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
そのほか考慮すべき点 実験をやってみるといろいろ些細な事実が気にとまる。
まず2つの測定器を使って同じ抵抗の抵抗値を測定すると微妙に違う。どちらを信じたらいいのか。 それと電源の出力電圧は常に一定で変わらないという前提で実験を進めたが、実際に電源電圧を測定している間にもゆっくりと出力電圧が変化しているのに気づく。ごくわずかだが厳密にぴったり計算通り帳尻があわせるためには無視できない変化である。電圧が変化すると当然回路に流れる電流も比例して変化する。 それと教科書には温度係数という概念が出てくる。狭い範囲で温度が変化した場合、温度係数に比例して抵抗値とかの特性が変化するというものである。狭い範囲に限定しているのは、実際には抵抗とかは立体構造なので温度が変わると体積や断面積も変化する、そうすると二次曲線や三次曲線で変化することになる。しかしいずれの場合でもごく小さな温度変化の範囲であれば直線として近似できるためだ。 当然電流を多く流すと抵抗による電圧降下に電流を乗じただけの電力を消費しジュール熱が発生する。それによって抵抗の温度が上昇し抵抗値も変化する。これはもう微少な温度変化ではないので環境とタイミングによっては測定結果が異なる。 電源の出力電圧が変化するのはもっと複雑な事情がからんでいる。 実験を行うにはそうした変化にも目を配る必要がある。 測定器などはそうした温度特性を考慮して少なくとも測定開始の30分間前には電源を入れてウオーミングアップしておくことが普通である。それによって装置内の素子は或程度一定の温度に収束することになるのでそれからは変動は少ないはずである。 発振回路なども温度に敏感に影響を受ける。基準周波数を発信する回路とかは温度の変化による影響を最小限にするために様々な工夫が施されている。私が社会人になって最初に実習に行かされたのが水晶発振器を製造している部門だった。一応研究所での実習ということだったが、実質は子会社化した高安定基準発振器(TXO)や水晶発振子のメーカーだった。高安定基準発振器は技術者による手作りだった。私も何個か作った。内部の回路は金属ケース内に納められなおかつ最後にモールドが充填されて秘密のベールに隠されてしまう。そのノウハウは内緒だが少し教えてもらった。なんの変哲もない普通の発振回路だけど温度係数が互いに正反対の2つの部品を組み合わせて回路を構成することで温度係数を相殺し更に温度変化による影響を受けにくくしているらしい。実習の最後の日にちょうど人口水晶の製造釜を開けるらしく記念に人口水晶の固まりがもらえるという話で楽しみにしていた。しかしちょうどそ日に風邪で高熱を出して休んでしまったので私はもらい損ねてしまった。もう一人同僚にもらった大きな人口水晶を見せてもらってがっくりした思い出がある。 いわゆる測定器にオプションでつけられる高安定基準発振器、通商オーブン(中に電熱ヒーターが入っていて一定の温度にサーモスタットとかで制御している)は時々ヤフオクでも見かける。もっと高安定なのはルビジウムとかを用いたものだけどこちらは中にルビジウムの希ガスが入った電球のようなものが入っていて光学系の仕組みで特定の波長の光がルビジウムガスによって吸収される性質を用いて基準周波数を生成している。なので物理的にデリケートである。ただし原子時計に似た原理なのでちゃんと保守されているものであれば安定度は抜群である。これも時々ヤフオクで見かける。ルビジウムはカリウムなどと周期表では同族で実際自然界に沢山存在する。植物とかカリウムを吸収する際にルビジウムも同じように吸収される。自然界にあるルビジウムの3割は放射性同位元素であるためカリウムを摂取しているとルビジウムも摂取することは避けられない。なので一定の放射線源は人間の体からも植物からも土壌や海水の中にも含まれているという。 基準周波数源には他にGPSなどを利用したものもある。GPSの測位にはGPS衛星が使用しているのと同じ精度の時計を使用して計算しなければならない。GPSにはそうした基準時計をあわせる仕組みがあるのでそれを利用して正確な基準周波数を作ることができる。アンテナが別に必要で衛星が見えない時間帯や場所だと難有りだが時々ヤフオクでも見かけた。 他に電圧計とか電流計、LCRメーターとかも基準器を使用すればどれだけ狂っているかは確認できる。それらは一般には特種で測定器の校正を専門にやっている業者や部門には必ずあるもののヤフオクとかでは今ではめったに見ない。測定器の修理とかを廃業する人が手放す程度。 |
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