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webadm | 投稿日時: 2007-2-22 6:56 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
実学と理論 今取り組んでいる教科書の最後には関連する数学公式のサマリーが付録として記述されている。どれも学生時代に講義を受けた記憶があるものだが、ほとんどそれが何のために生み出されたかとか必要になるかとかは一度たりとも教えられたことが無い。そのため真剣に取り組んだことは無かった。
学生時代に新入クラスの担当だったのが数学の講師の人だった。自己紹介の時に真空管の話をしたらやけに突っ込まれた。担任の趣味はアマチュア無線だった。当時独身でほとんどの時間とお金を趣味のアマチュア無線に費やしていたらしい。 ほどなくして学校の近くにアマチュア無線ショップがあることを知り、パーツとかを物色しに行ったところ奥で担任の先生が椅子にゆったり座りながら英文のアンテナ工学らしき分厚い本を読みふけっていた。店長と親しい間柄でアマチュア無線仲間だということは店長と担任の先生の会話を聞いていてすぐわかった。 たぶん今もそうだと思うけど工業系の学校のカリキュラムは数学が一般教養ということで工学とかの専門課程と分離されてしまっているため、関連する数学知識を必要とする時にそれが必要とする専門課程の講義はまだ数年先にならないと現れないとか、逆にまだ必要な数学を教わってないのにそれをベースにした専門課程の理論を学ばされるという理不尽なプログラムが当たり前になってしまっている。詰め込みカリキュラムの典型だろう。 結果的に一般教養、専門課程どちらも難解でうわべだけの受講と試験答案ということになってしまう。 まだ機械工学とかであればすべての数学とかを駆使する必要がないのだが、電気工学は学校で習う数学のすべてを駆使するのでどちらかを欠くと両方の理解を欠くという結果になりかねない。まだ電気回路理論なら機械工学と大差無い範囲の初等数学で済むものの、電磁気学となると数学の応用問題のおさらいみたいなので数学が理解できないと皆目理解できないのではないかと思う。そういう意味では若い頃に電気工学の道をそれてしまったのは幸いだったかもしれない。 結局そうやって大事な勉学の機会を誰もが逸するわけであるが、ほとんどの実務のケースでは電気のうわべの理解だけで事が済んでしまうことが多い。何か回路を設計するのでも先人が残した似たような回路を真似したり、そうした先人が後生の人に伝えるために書いた実用書などを読めば真似できる常識やノウハウが得られる。特に実際の設計の現場ではノウハウの蓄積と使い回しと言ってもいいかもしれない。それほど新しいものでなければ誰もが同じことをやっているとも言える。 真空管回路の設計やトランジスタ回路の設計などもエレクトロニクスの歴史の中では最も新しい部分であり、氷山の一角でもある。誰もが取り組んでいるので既に答えを見いだした人が沢山いるはずだし、自分で0から答えを導き出す必要もないことがほとんど。 しかしそうやっていてもすべてがうまく行くわけではなく。現実には理論と実際の差異からいろんな問題が発生する。それらの原因や理由を知り解決するにはやはりうわべだけの実学的な理解ではなくそれらを生み出した先人達の発見や思考過程を追体験しその継承者の一人となることが不可欠である。 そのあたりが業界のもぐりなのかそうでないかという違いになる。 学生時代に電磁気学とかにまじめに取り組んで自分のものにした人達は尊敬に値する。難解で抽象的な講義に耐え、いきなりなんたらの式を導けとかいう数学的な命題みたいな試験の試練に耐えるだけも大変だと想像する。 |
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