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webadm | 投稿日時: 2007-5-4 13:34 |
Webmaster ![]() ![]() 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3014 |
問題26:検流計の内部抵抗を求める だいぶ間が開いてしまったがのんびりやろう。
学生の時に機械設計を教わった時にたたき込まれたことは設計の実務ではいかに短期間で間違いのない設計を行うかということだった。またなるべく図面等の資源使用量は最小限にとどめることも教えられた。まったく最初はなんのことかわからなかったが社会人になってそれが重要であることを知った。 研究や理論の学習には個人差がありどれだけ時間がかかっても知識や理解が得られればそれで結果オーライなのだが、こと実務の設計業務となると話は違ってくる。設計技術者は普通の従業員よりも多少なりとも会社としては時間単価が高い(高い給与を支払っている)のでのんべんだらりと仕事をされると結果設計コストに跳ね返ってくる。高くついた設計コストはどこかで回収しなければならないが最終的には売り上げ金の中から得られる利益で帳消しする。なので設計作業が非効率だと利益が目減りするという観点でとらえられる。また図面に必要以上の大きさの用紙を使うとそれだけ費用がかさむ(最終的には設計審査や製造工程でそのコピーが大量に作成される)ことを忘れてはならない。なので実習では大抵一番小さな用紙のA4ですべて図面が入るように徹底的な省略図法を教え込まれた。例えば円は4分の1(90度)だけ描けば十分であるとか。それによって図面作成にかかる時間も4分の1になる。 それらは皆機械設計法を教える教授が現役時代に培った知恵であった。これから社会に出て技術者となるときには必ず役立つという信念からだろう。 なので実務では設計にかかる所要時間を有限かつ最短にするためありとあらゆる手段をとることになる。そうしないと設計がいつ終わるか皆目わからないことになる。もしそれが出来ないなら設計を引き受けるべきではないということを意味する。また難しい時間のかかる計算等も短時間に簡単に同じ結果が得られるような方法を用意することも知恵である。計算図や計算表、計算プログラムなど。繰り返し発生する作業にその都度設計者が労力を費やすのは費用対効果からすると少なければ少ない程よい。 反面そうした効率を重視すると製品設計の現場では研究開発的な要素へのチャレンジというのは出来なくなることは確かである。研究開発を伴うような設計は一旦研究所に委託して或程度再現性のある原理や実現方法が確立した時点で製品設計に持ち込むということになる。こうした面で日本の技術開発は製品設計を効率化するために自ら研究開発と距離を置いてしまったことは否めない。 一方米国では軍事や産業の両面で研究開発が奨励されその結果を第三者にライセンスすることで収益を得るという独自の研究開発ビジネススタイルが生まれていた。典型的だったのは米GE社はかつて電力用の変圧器の設計をコンピュータープログラム化し世界の電機メーカーに売り込みをかけた。それまでは各電機メーカーは独自の設計手法とノウハウで変圧器を設計してきたが、電力の需要は天井知らずでどんどんと電力資源の開発や給電設備の新設や拡張が相次ぎ設計の現場はてんてこ舞いになっていった。競争が激しいので設計者を増やして設計コストを増やすわけにはいかない、そこに飛び込んだのがコンピュータプログラムによる設計計算であった。当時は汎用コンピューターしか無い時代でコンピューターの利用も衛星回線を使ってレンタルしていた。その利用料は高くても短時間で設計出力が得られるので十分元がとれた。 GEはその後そうしたビジネススタイルに味をしめてどんどんとそうした商品を企業買収等によって手に入れ規模を拡大していった。一時は世界の企業が羨む程の急成長だった。 高性能のコンピューターが個人レベルで普及した今日でも設計のやっかいな計算をコンピューターで行うという技術は米国とかが一歩進んでいるのは早い時期からそうしたビジネスに着眼していたこともあるかもしれない。どんなコンピュータープログラムも人の手と頭で作られるので最後は人なのだけれども、優秀な技術者をどのような仕事に注力させるかについては米国と日本とで決定的に違っていたような気もしないわけではない。 実務ではアウトプットをなるべく早い段階で出すというプレッシャーがかかる。まだすべてがはっきりしないのに図面やプログラムを書き始めることでごまかしてもわかっていなければ最後まで完成しない。むしろ後でやり直さなければならない作業に早くから時間を費やすこと自体が既に無駄であるという疑念をもちながらもそうせざるを得なかったりする。 実は紙に書くとか何かを入力するという作業はあまり繰り返したくないのが普通である。むしろ紙には一切かかないで頭の中の黒板に書いたり消したり修正するのは一瞬で手数をかけずにできるのでそれで糸口がつかめたところでリアルのアウトプットを出したほうが効率がよかったりする。 この演習でも最初は答えを急ぐあまり沢山のメモ用紙を無駄にしてきた。特に数式を変形していくときに書き漏れとか書き間違いというのが多くそれで何度もやり直しが発生した。 最近になって複雑な式を整理する頻度が多くなるとどんどん複雑怪奇になる式がどこで単純な形に収束してくれるのか心配になってくる。特に書き写し間違いとかがあるとそれだけで台無しである。 そこで一旦は紙に書き出すのを止めて、頭の中の黒板に式のイメージを描いてそれを操作してどんな風に姿を変えていくかを頭の中で追っていくようにしてみたところ、紙の上では何度も途中で挫折していた式がある時点で共通項が現れるのに気づいて一気に式が簡単になることを発見。すぐさまそこまで紙の上で確認したところ予想通りシンプルな結果が得られた。 こうしたことは最終的に簡潔な結論が得られるとわかっているか予想される場合には非常に効果が大きい。 単純な結果が得られるかどうか予想もつかない場合は、研究開発の余地がある問題ということになる。 演習問題はどれも結論があって、それに至る道筋を自分でたどるということなので設計の問題と似ている。 まずは問題の意味を正確に理解し頭に入れるということが先決である。そうしない限り何も始まらない。 問題26は検流計の未知の内部抵抗を求めるというもの。 この場合、未知なのは内部抵抗だけではなく検流計の仕様そのものが未知であるという点。すなわちどれだけの電流でどれだけ針が振れるかも謎である。 そうした未知の仕様の検流計の内部抵抗を求める方法としては検流計に同じ電流が流れる異なる以下の2つの回路を用意し、それぞれの検流計に流れる電流量が等しいということで方程式をたてて未知の内部抵抗値を求めるという方法をとる。これが問題の趣旨である。 最初の回路はR1と検流計(Rg)が直列につながっている時に一定の電流(Ig)が検流計に流れている状態。この関係を式で表すと。 Ig = E/(R1 + Rg) 後の回路は先の回路のR1をR2に変え検流計(Rg)と並列に抵抗(R)を加え、同様に検流計には同じ電流(Ig)が流れている状態。この関係を式で表すと。分流の法則から、 Ig = (R/(R + Rg)・(E/(R2 + 1/(1/R + 1/Rg))) = (R/(R + Rg)・(E/(R2 + R・Rg/(R + Rg))) = (R/(R + Rg)・(E・(R + Rg)/(R2・(R + Rg) + R・Rg)) = R・E/(R2・(R + Rg) + R・Rg) 最初の回路の式と2番目の回路の式から E/(R1 + Rg) = R・E/(R2・(R + Rg) + R・Rg) 両辺をEで割って互いの分母をかけると R2・(R + Rg) + R・Rg = R・(R1 + Rg) 両辺を展開すると R2・R + R2・Rg + R・Rg = R・R1 + R・Rg 整理すると R2・Rg = R・R1 - R2・R ∴Rg = R・(R1 - R2)/R2 となり著者の解と同じ結果が得られた。 |
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