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webadm | 投稿日時: 2007-6-5 17:49 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3088 |
トランジスタ回路の温度補償 今回トランジスタ1石で組んだPECL-TTLトランスレーター回路は常温では良好な性能を示すもののケース内で近くにある三端子レギュレーターの熱であぶられたり蓋を閉めて高温状態になると出力レベルに大きな狂いが生じてTTLのレベルを満たさなくなる。
これはトランジスタが温度が高くなる程コレクタ電流が流れ易くなる方にVbe特性が変化するという典型的な性質によるものである。なのでトランジスタの熱暴走というのは昔から知られているためその対策が必要となる場合が多い。 トランジスタの動作を温度の影響を受けずに安定させるためには温度補償回路を追加することになる。考え方としては温度が変化した場合にはそれによってトランジスタの電流が流れ易くなる傾向を打ち消すようにバイアス電圧を変化させる必要がある。 本来はVbeの変化を打ち消すようにベース電流を阻止すれば良いがこれは微少電流で入力信号にも比例しなければならず容易ではないので間接的にバイアス電圧をベース電流が流れない方向へシフトさせる方法が一般的。温度補償回路には温度変化に対して同じ性質を持つサーミスタ抵抗やトランジスタやダイオードが使われる。 温度変化によってベース電流がわずかづつ流れやすくなるとそれは増幅されてコレクタ電流の大きな変化として現れる。トランジスタの電流増幅率も温度によって上昇するのでちょっとややこしい。いずれにせよ信号入力の無いアイドル時のコレクタ電流のドリフトを打ち消すことが温度補償回路の役割ということになる。 以下はとりあえず今回実験したPECL-TTL変換回路。 動作をシミュレーションすると良好な結果が得られている。実際の動作も温度ドリフトが無ければ良好そのもの。 同じ回路を温度特性シミュレーションしてみるとアイドル時の出力レベルに驚愕の事実が。 下の緑の線がアイドル時の出力レベルで温度が上がると共にコレクタ電流が増加しアイドル時の出力電圧が上昇し波形全体が高電位にシフトしてしまうことを意味する。 なのでこの温度特性を打ち消すようにベースバイアス電圧を温度によって変化させる回路を追加すれば良いことになる。その場合、温度変化の傾きにあわせてベースバイアス電圧の温度変化の傾きを調整できるようにしておく必要がある。実際の温度係数がどれくらいになるかはトランジスタのばらつきによっても変わるので調整する必要がある。 |
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