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webadm | 投稿日時: 2007-12-7 16:04 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3090 |
問題48:RL直列回路の抵抗値とインダクタンスを求める(その2) 次ぎは前問の式を使って与えられた条件でRとLを計算する問題。
R=sqrt((F2^2*|E1|^2/|I1|^2-F1^2*|E2|^2/|I2|^2)/(F2^2-F1^2)) L=(1/2π)*sqrt((|E2|^2/|I2|^2-|E1|^2/|I1|^2)/(F2^2-F1^2)) にそれぞれ与えられた条件E1=100,F1=50,I1=1,E2=100,F2=60,I2=1.6を代入すると R=sqrt((60^2*100^2/1^2-50^2*100^2/1.6^2)/(60^2-50^2)) (%i113) R=sqrt((60^2*100^2/1^2-50^2*100^2/1.6^2)/(60^2-50^2)); (%o113) R=154.4326125472914 R=154.4 [Ω] L=(1/2π)*sqrt((100^2/1.6^2-100^2/1^2)/(60^2-50^2)) (%i128) L=(1/(2*%pi))*sqrt((100^2/1.6^2-100^2/1^2)/(60^2-50^2)); (%o128) L=(2.353672179228179*%i+1.4411609527488948*10^-16)/(2*%pi) (%i129) float(%), numer; (%o129) L=0.1591549430919*(2.353672179228179*%i+1.4411609527488948*10^-16) む虚数、なんだこれは? 著者の式とは等価なはずだが著者の解はどちらも実数だ。 しかし著者の解をよくよく精査すると驚愕のインチキを発見! 著者の解ではインダクタンスLを以下のように計算している L=(|E|/(2π|I1||I2|))*sqrt((|I2|^2-|I1|^2)/(f1^2-f2^2)) =(100/(2π*1*1.6))*sqrt((1^2-1.6^2)/(50^2-60^2)) =0.375=375 [mH] しかしここで著者は重大なミスを犯している。問題文ではI1=1,I2=1.6と与えられているのだから本来は以下のようになるはず。 L=(|E|/(2π|I1||I2|))*sqrt((|I2|^2-|I1|^2)/(f1^2-f2^2)) =(100/(2π*1*1.6))*sqrt((1.6^2-1^2)/(50^2-60^2)) これをMaximaで計算するとやはり平方根の中は負になるので (%i132) (100/(2*%pi*1*1.6))*sqrt((1.6^2-1^2)/(50^2-60^2)); (%o132) (31.25*(0.037658754867651*%i+2.3058575243982319*10^-18))/%pi (%i133) float(%), numer; (%o133) 9.947183943243459*(0.037658754867651*%i+2.3058575243982319*10^-18) という複素数になってしまう。 いずれにせよおかしいし、著者は何か間違えている。 問題を良くみるとRL直列回路なのに周波数が高い方が電流が多く流れている。F1=50でI1=1なのがF2=60でI2=1.6と増えている。これはおかしい。問題文が間違っているとしか言いようがない。RL直列回路は周波数が上がるにつれインピーダンスが高くなるので電流の実効値は減るはずだ。 試しに周波数の値を逆にして計算し直してみよう。 R=sqrt((50^2*100^2/1^2-60^2*100^2/1.6^2)/(50^2-60^2)) (%i141) R=sqrt((60^2*100^2/1.6^2-50^2*100^2/1^2)/(60^2-50^2)); (%o141) R=99.71550440218324*%i+6.1056120132758418*10^-15 あら、今度は抵抗値が複素数になってしまう。 どうも電流の値がインチキくさい。 試しに著者の解で出ている抵抗値とインダクタンス値を使って電流の実効値を検算してみよう。 |Z|=sqrt(R^2+XL^2)=sqrt(R^2+(2πfL)^2) R=154.4,L=375*10^-3,f=50の時の回路のインピーダンスは |Z1|=sqrt(154.4^2+(2*%pi*50*275*10^-3)^2) (%i156) Z1=sqrt(154.4^2+(2*%pi*50*375*10^-3)^2); (%o156) Z1=sqrt((5625*%pi^2)/4+23839.36) (%i157) float(%), numer; (%o157) Z1=194.2124897863984 |Z1|=194 [Ω] と計算できる。 次ぎにf=60の時の同じ回路のインピーダンスは |Z2|=sqrt(154.4^2+(2*%pi*60*275*10^-3)^2) (%i158) Z2=sqrt(154.4^2+(2*%pi*60*375*10^-3)^2); (%o158) Z2=sqrt(2025*%pi^2+23839.36) (%i159) float(%), numer; (%o159) Z2=209.3449519625586 |Z2|=209 [Ω] ということに、従ってインピーダンスは周波数が高くなれば当然大きくなる。 このインピーダンス値を使ってそれぞれの電流の実効値を検算すると |I1|=|E1|/|Z1|=100/194 (%i160) I1=100/194; (%o160) I1=50/97 (%i161) float(%), numer; (%o161) I1=0.51546391752577 全然ちがうじゃん(;´Д`) 問題文では1Aになってるし。 |I2|=|E2|/|Z2|=100/209 (%i162) I2=100/209; (%o162) I2=100/209 (%i163) float(%), numer; (%o163) I2=0.47846889952153 これも当然問題文の条件と合わない。問題文では1.6Aと増えてるし。 問題文の電流値1Aと1.6Aがまったくのでたらめであるのは間違い無い。 これはあまりにも酷すぎだ。初版の時からこの状態で56回も重版してきたというのは信じられない。 だめすぎ(;´Д`) ちなみに検算で算出した電流値を使ってRとLを計算し直してみると。 R=sqrt((F2^2*|E1|^2/|I1|^2-F1^2*|E2|^2/|I2|^2)/(F2^2-F1^2)) =sqrt((60^2*100^2/(100/194)^2-50^2*100^2/(100/209)^2)/(60^2-50^2)) (%i164) R=sqrt((60^2*100^2/(100/194)^2-50^2*100^2/(100/209)^2)/(60^2-50^2)); (%o164) R=(47*sqrt(119))/sqrt(11) (%i165) float(%), numer; (%o165) R=154.587721492891 まああっている。 L=(1/2π)*sqrt((|E2|^2/|I2|^2-|E1|^2/|I1|^2)/(F2^2-F1^2)) =(1/2π)*sqrt((100^2/(100/209)^2-100^2/(100/194)^2)/(60^2-50^2)) (%i166) L=(1/(2*%pi))*sqrt((100^2/(100/209)^2-100^2/(100/194)^2)/(60^2-50^2)); (%o166) L=sqrt(1209)/(4*sqrt(55)*%pi) (%i167) float(%), numer; (%o167) L=0.37309715865915 これもまああっている。インピーダンス値が有効桁数で丸めているので多少の違いはしかたがない。ちなみに電圧が100Vで50Hzの時電流が1.6Aで60Hzの時電流が1Aだとすると一体いくつのRとLになるのだろうかMaximaで解いてみた。 (%i1) e1: 1.6^2=100^2/(R^2+(2*%pi*50*L)^2); (%o1) 2.560000000000001=10000/(R^2+10000*%pi^2*L^2) (%i2) e2: 1^2=100^2/(R^2+(2*%pi*60*L)^2); (%o2) 1=10000/(R^2+14400*%pi^2*L^2) (%i3) solve([e1,e2],[R,L]); `rat' replaced 2.560000000000001 by 64/25 = 2.56 (%o3) [[R=-(125*sqrt(7)*%i)/sqrt(11),L=-(5*sqrt(39))/(8*sqrt(11)*%pi)],[R=-(125*sqrt(7)*%i)/sqrt(11),L=(5*sqrt(39))/(8*sqrt(11)*%pi)],[R=(125*sqrt(7)*%i)/sqrt(11),L=-(5*sqrt(39))/(8*sqrt(11)*%pi)] ,[R=(125*sqrt(7)*%i)/sqrt(11),L=(5*sqrt(39))/(8*sqrt(11)*%pi)]] (%i4) float(%), numer; (%o4) [[R=-99.71550440218321*%i,L=-0.37459856174204],[R=-99.71550440218321*%i,L= 0.37459856174204],[R=99.71550440218321*%i,L=-0.37459856174204],[R=99.71550440218321* %i,L=0.37459856174204]] ということで根は4つあって、その中でR,L共に実数なのはひとつもないという結果に。 電流を先ほど求めた0.515Aと0.478Aで計算すると (%i5) e1: 0.515^2=100^2/(R^2+(2*%pi*50*L)^2); (%o5) 0.265225=10000/(R^2+10000*%pi^2*L^2) (%i6) e2: 0.478^2=100^2/(R^2+(2*%pi*60*L)^2); (%o6) 0.228484=10000/(R^2+14400*%pi^2*L^2) (%i7) solve([e1,e2],[R,L]); `rat' replaced 0.265225 by 1668/6289 = 0.26522499602481 `rat' replaced 0.228484 by 1792/7843 = 0.22848399846997 (%o7) [[R=-(25*sqrt(6555239))/(4*sqrt(10703)),L=-(5*sqrt(453059))/(16*sqrt(32109)*%pi)],[R=-(25*sqrt(6555239))/(4*sqrt(10703)),L=(5*sqrt(453059))/(16*sqrt(32109)*%pi)],[R=(25*sqrt(6555239))/(4*sqrt(10703)), L=-(5*sqrt(453059))/(16*sqrt(32109)*%pi)],[R=(25*sqrt(6555239))/(4*sqrt(10703)),L=(5*sqrt(453059))/(16*sqrt(32109)*%pi)]] (%i8) float(%), numer; (%o8) [[R=-154.675496887307,L=-0.37364927158105],[R=-154.675496887307,L= 0.37364927158105],[R=154.675496887307,L=-0.37364927158105],[R=154.675496887307,L= 0.37364927158105]] どちらも正の実数のまともな根が一組得られている。だいたい数値もあっている。 ということで前の問題で導いた式そのものは正しくて、問題47の設問で与えられている電流値がでたらめだったという結論が得られた。 そもそも著者の解答の抵抗値154.4Ωが直列につながった回路に100Vを加えても1Aなんて流れないということは容易に気づきそうなものだが。375mHのインダクタンスも50Hzでのリアクタンスが118Ωぐらいになるのでインダクタンスだけの回路でも1Aは流れない。従ってその両方を直列につないで1A流れるという事事態が虚偽である。著者は問題を作るにあたってどうやって電流の値を選んだのだろうか。永遠の謎である。 次の次ぎの問題も似たような設定の問題なので同じインチキを書いている疑いは濃厚である。 P.S 実はRL直列回路ではなく、RL並列回路だと話は違ってくる。 E=100,F1=50,R=154.4,L=375*10^-3とした場合のRL並列回路のインピーダンスを計算してみると |Z1|=1/sqrt(1/154.4^2+1/(2*%pi*50*375*10^-3)^2) (%i32) 1/sqrt(1/154.4^2+(1/(2*%pi*50*375*10^-3)^2)); (%o32) 1/sqrt(4/(5625*%pi^2)+4.1947434830465244*10^-5) (%i33) float(%), numer; (%o33) 93.65938042548495 |Z1|=94 [Ω] という1A流れそうなインピーダンス値となった。 ただしF2=60の場合は当然インピーダンスは上昇するので電流が増える問題文は間違っていうのは揺るがない。 著者はRL並列回路の問題文を用意していたか、原稿と別に用意した問題文の内容をRL直列回路と並列回路を混同して結果的にでたらめな問題文をこしらえてしまったのかもしれない。それでも解答を作成する際にミスに十分気づいたはずだが、I2とI1の代入を反対にしてしまったと誤った解釈をして結果的に解答も虚偽となってしまった。 確かにこの手の計算は簡単そうだが項目が多いので間違えやすい。実際に自分でやった計算は最初必ず間違えてしまっていて、著者の解答の値とこっそり見比べてみて初めてミスがあったのに気づくという始末。 本当は正解が与えられなくても答えに間違いが無いというのを自分で検定できるまでやらないといけない。 |
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