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webadm | 投稿日時: 2009-8-21 10:15 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3087 |
【12】ノコギリ波のFourier級数展開(その4) 次ぎは再びノコギリ波のFourier級数展開の応用問題。
以前の問題で出てきたノコギリ波をちょうどすべての値が正になるように直流バイアスを加えたような波形。 これをFourier級数展開するのは単純であるが、それだと著者の解と変わりばえしないので、へそ曲がりな方法でやってみよう。 前にもやった重ね合わせを使った方法でいく。 この波形は以前の問題に出てきた奇関数波のノコギリ波の振幅を半分にし、位相をT/2進めたものに正の直流バイアスを重ねたものと等しい。すなわち f(t)=Σ(2*A/π)*((-1)^n+1/n)*sin(nωt) =(2*A/π)*(sin(ωt)-(1/2)*sin(2ωt)+(1/3)*sin(3ωt)-...) これに対して直流バイアス信号 g(t)=A/2 を重ね合わせると y(t)=(1/2)*f(t+T/2)+g(t) =(1/2)*(2*A/π)*(sin(ω(t+T/2)-(1/2)*sin(2ω(t+T/2))+(1/3)*sin(3ω(t+T/2)-...)+A/2 =(A/π)*(sin(ω(t+T/2))-(1/2)*sin(2ω(t+T))+(1/3)*sin(3ω(t+T/2)-...)+A/2 ここで T=2π/ω を代入すると y(t)=(A/π)*(sin(ωt+π)-(1/2)*sin(2ωt+2π)+(1/3)*sin(3ωt+3π)-...)+A/2 =(A/π)*(-sin(ωt)-(1/2)*sin(2ωt)-(1/3)*sin(3ωt)-...)+A/2 =A/2-(A/π)*(sin(ωt)+(1/2)*sin(2ωt)+(1/3)*sin(3ωt)+...) ということになる。 なんだ簡単じゃないか。 もう一つの題意として、実効値をFourier係数から求めたものと波形から求めたものを比較してみろというものがある。 Fourier係数から実効値を求めるには、電源の重ね合わせと同じなので周波数領域から求めた実効値という意味で|y|ωとすると |y|ω=sqrt((A/2)^2+Σ((-A/nπ)/√2)^2) =sqrt(A^2/4+(A^2/2π^2)Σ(1/n^2)) ここで無限級数展開の公式より Σ(1/n^2)=π^2/6 なので |y|ω=sqrt(A^2/4+(A^2/2π^2)*(π^2/6)) =sqrt(A^2/4+A^2/12) =sqrt(3*A^2/12+A^2/12) =sqrt(4*A^2/12) =sqrt(A^2/3) =A/√3 ということになる。 一方時間領域から実効値を求めると |y|t=sqrt((1/T)∫y(t)^2dt) =sqrt((1/T)∫(A*t/T)^2*dt) =sqrt((1/T)*(A^2/T^2)∫t^2dt) =sqrt((1/T)*(A^2/T^2)*(T^3/3)) =sqrt(A^2/3) =A/√3 ということになり、周波数領域から求めた実効値と時間領域から求めた実効値は一致する。 これはFFTアナライザーなどで入力信号の実効値を周波数領域のスペクトルから求めるのにも使用されている。 P.S 本方法の嵌りどころはf(t)とg(t)の重ね合わせの際にf(t)の位相をずらすことにある。f(t)+g(t)でも時間軸上の繰り返し波形は同じだが位相が異なりスペクトルの極性が変わってしまう。 y(t)=f(t)+g(t) =A/2+(A/π)*(sin(ωt)-(1/2)*sin(2ωt)+(1/3)*sin(3ωt)-...) これをプロットしてみると wxplot2d([(sin(3*x)/3-sin(2*x)/2+sin(x))/%pi+1/2], [x,0,4*%pi])$ 位相がずれているだけ。 一方位相を予めT/2進めたものは wxplot2d([(-sin(3*x)/3-sin(2*x)/2-sin(x))/%pi+1/2], [x,0,4*%pi])$ 三次の高調波までなので収束が甘いが、題意のノコギリ波に近づいていることは確か。 異なるのはFourier係数の符合だけで絶対値は同じである。位相に関する情報がFourier係数の符合に現れていることになる。一般のFFTやスペクトルアナライザで表示するとどちらも同じ線スペクトルを表示することになる(RMS表示であるため)。反面位相に関する情報は失われる。 他の解法としては、以前の問題で最初に出てきたノコギリ波のデューティ比を100%にしたものとしてFourier級数展開を求めることができる。この場合は任意のデューティ比のノコギリ波のFourier級数展開を求めてディーティ比を100%と置く事になるので面倒くさい。しかしながらディーティ比を買えた場合に周波数領域のスペクトルがどのように変化するのか解析することができる。 |
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