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webadm | 投稿日時: 2009-9-30 9:30 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3086 |
【66】単位ステップ関数のFourier変換 次ぎは以下の様な単位ステップ関数のFourier変換を求める問題。
入力関数を式で表すと y(t)=0 (t<0) =1/2 (t=0) =1 (t>0) ということになる。t=0が不連続点なのでディレクレの条件を満たすために最大値と最小値の平均値をとるものとする。 さてこれどうやってFourier変換するんだ? いろいろ調べたがいくつかやり方があるようだ。その中で一番IQが低くても理解できる方法をやってみよう。 まず第一に問題なのはy(t)がt→+∞で積分値が∞に発散してしまうのでそのままではFourier変換ができない点 そこでt→+∞で積分値が収束するように数学的なトリックを導入することにする。それはt→∞で積分値が収束するように以下の様に式を変える y(t)=exp(-at) (t>0) =0 (t<0) ただし(a>0) これをFourier変換すると F(ω)=∫y(t)*exp(-jωt)dt (t=-∞,+∞) =∫exp(-a*t)*exp(-jωt)dt (t=0,+∞) =∫exp(-(a+jω)t)dt ここでω=0においては F(0)=∫exp(-at)dt (t=0,+∞) =-exp(-∞)/a+exp(0)/a =1/a ということになる。これはa→0にするとF(0)は無限大に近づくのでデルタ関数くさい。 一方ω≠0においては F(ω)=∫exp(-(a+jω)t)dt (t=0,∞) =-exp(-∞)/(a+jω)+exp(0)/(a+jω) =1/(a+jω) これをFourier逆変換すると y(t)=(1/2π)∫F(ω)*exp(jωt)dω (ω=-∞,+∞) =(1/2π)∫(1/(a+jω))*exp(jωt)dω t=0の不連続点では y(t)=(1/2π)∫(1/(a+jω))*exp(0)dω (ω=-∞,+∞) =(1/2π)∫(1/(a+jω))dω =(1/2π)∫((a-jω)/(a^2+ω^2))dω これどうやって積分するんだ? そこでまたしても数学的なトリックを使うことに 積分範囲を(ω=-K,+K)として、それを後でK→∞として極限値を得ることにする y(t)=lim (1/2π)∫((a-jω)/(a^2+ω^2))dω (ω=-K,K) =lim (1/2π)(atan(K/a)-atan(-K/a)) (K→∞) =(1/2π)(π/2+π/2) =(1/2π)π =1/2 ということでt=0近傍の最大値と最小値の平均でディレクレの条件を満たしている。 従ってω=0の時のFourier逆変換が上記に収束するために仮に F(ω)=kπδ(ω) としてFourier逆変換を求めると y(t)=(1/2π)∫F(ω)*exp(jωt)dω =(1/2π)∫kπδ(ω)*exp(jωt)dω =(k/2)∫δ(ω)*exp(jωt)dω =(k/2)*exp(0) =k/2 ということになり、t=0の時y(0)=1/2となるためにはk=1ということになる。 従って単位ステップ関数のFourier変換は F(ω)=lim πδ(ω)+1/(a+jω) (a→0) =πδ(ω)+1/jω ということになる。 スペクトルをプロットすると 著者はこちらの解法で言うところのg(t)を(1/2)sgn(t)として、それを積分関数表記に置き換えてFourier変換を得ている。 単位ステップ関数はもともとヘビサイドが最初に用いたのでヘビサイド関数ともよばれるが、関数の定義が題意とちょっと違っていて、t=0の点が不連続のままである。 h(t)=1 (t>0) =0 (t<0) これとは別に単位ステップ関数の定義も存在する u(t)=1 (t≧0) =0 (t<0) こちらはt=0の時に1をとるというもの。このあたりの条件でFourier変換の結果が異なってくるので注意が必要だ。 これらの様々な単位ステップ関数を統一する定義としてt=0の点を任意の値に収束できるように u(t)=1 (t>0) =c (t=0) =0 (t<0) としているものもある。これらに関するFourier変換は読者の研究課題としよう。 いずれにせよFourier変換をまじめに考えると数学のトリックをいろいろ駆使しないといけない。 検索で調べるといろいろなFourier変換の表記形式によって様々なFourier変換対の形がある。それらがどういった表記形式に基づいているものか知った上で利用する必要がある。特にπが式のどこに現れるか否かに関わってくる。 P.S 最初に書いた解法にはちょっと怪しい部分があったので、まったく別の方法のものに書き換えた、これも正直マイナーなやり方のような気がするが、よく見るタイプのものと基本的に用いている手法(積分値が収束するように指数関数をかけて後で極限値をとる点)は共通である。これらのことを自分でやってみてようやくFourier変換のなんたるかが見えてきた気がする。 以前にやったFourier変換の諸性質の中で積分関数のFourier変換はこれと同じようにやればデルタ関数項が加わった変換対の式が得られるのではないだろうか。検索で調べるとそういうものがみつかるがことごとく導出方法は省略されている。 しかしまあ、デルタ関数なんて積分値が定まらないなら積分値を超法規的に定義しちゃえばいいじゃないかという発想は数学者にはできない量子物理学者ならではのもの。頭やわらかすぎ(´∀` ) |
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