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投稿者 | スレッド |
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webadm | 投稿日時: 2009-10-15 21:47 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3088 |
インピーダンス関数 既に学んだ通りインピーダンス関数は従来のインピーダンスのjωを複素角周波数で置き換えたものだが、以下のように説明することもできる。
線形回路内の任意の2端子間のインピーダンスに加わる電圧V(t)と流れる電流(It)の時間領域関数を複素角周波数領域にラプラス変換したものをそれぞれV(s),I(s)とするとインピーダンス関数Z(s)は Z(s)=V(s)/I(s) =R(s)+jX(s) と表すことができる。 同様にアドミッタンスについても Y(s)=I(s)/V(s) =G(s)+jB(s) と表すことができる。 これとは別に以下の様に任意の有理関数が表すことができるが、それに対応する実際の回路が合成できるとは限らない。 Z(s)=(a0+a1*s+...+an*s^n)/(b0+b1*s+...+bm*s^m) =f(s)/g(s) また上記の式は以下のように因数分解することができる Z(s)=H*((s-s1)*(s-s2)*...*(s-sn))/((s-sa)*(s-sb)*...*(s-sm)) ここでH=sn/smはスケールファクタ、ガウス大先生の代数学の基本定理によりs1,...,sn及びsa,...,smはf(s)及びg(s)の根で複素角周波数である。sがs1,...,snのいずれかの値を取るとZ(s)は0となるため零点(zero point)と呼ばれる。一方sがsa,...,smのいずれかを取る時にはZ(s)は無限大となり極(pole)と呼ばれる。 重根を持つ場合には、(s-sq)^rという形になり、この場合の零点もしくは極は次数rを持つという。従って重根をもたない場合、すべての零点と極の次数は1となる。 また0もしくは∞の値が零点や極である場合、上の式より (1) n > mでs=∞は次数n-mの極である (2) n < mでs=∞は次数はm-nの零点である (3) n=mでs=∞は零点や極となることはない これらのことから零点と極が回路網解析で重要な意味を持つ。 インピーダンス関数に対応する実回路が構成可能であるためには実効抵抗R(s)が常に実数でなければならないことからその有理関数であるインピーダンス関数が正実関数(positive real function)である必要があり、a,bは抵抗、インダクタンス、キャパシタンスあるいはそれらの逆数に対応することから正の実数もしくは0で、分母と分子のm,nも正の整数で|m-n|=0もしくは1のいずれかに制約される。 これらのことはOtto Bruneによってもたらされた。 P.S 正実関数の実数部が正の実数でなければならないのは、実回路でそれに該当する実効抵抗値(インピーダンスの場合)や実効コンダクタンス(アドミッタンスの場合)が正の実数でなければならないことから自明だが、有理関数として表した場合に分子と分母の式の次数の差がたかだか0か1でなければならないというのが納得がいかない。これについては引き続き納得の行く理由を考えることにしてしばらくは鵜呑みにしよう。 |
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題名 | 投稿者 | 日時 |
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