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webadm | 投稿日時: 2012-8-16 4:37 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3092 |
Laplace逆変換 Laplace変換は判りやすく微積分を使いこなせればすぐにF(s)を求めることが出来るが、その逆はどうだろう。
予め変換対の表があればたいがいのものはf(t)に逆変換できる。 しかしそれだとHeavisideの演算子法と変わらないし、s空間に変換する手間を考えると二度手間である。 それに誰が任意のF(s)に対するf(t)が存在すると証明できるのか? そうした疑問に最初に答えを出したのがHeavisideと同時代に生きた応用数学者のBromwichである。彼は晩年のHeavisideとの文通を通じて、演算子法とほぼ同じ目的を達する積分変換法を見いだした。そのときに当然ながら厳密な証明を終えていたと思われる。 それが今日Bromwithc積分もしくはLaplace逆変換と呼ばれる以下の定式である。 ここでσはLaplace変換のところで出てきた指数位である。複素積分では複素平面上で閉曲線の積分路をとらなければならないが、この風変わりな積分路はBromwich積分路とも呼ばれている。 BromwichがHeavisideに提示したようにこの複素積分は難しく考える必要はなく、極を総て含むような閉区間を含む積分路を考えればいいのである。 極論すればf(t)はF(s)e^stの留数の和となる。 そこまで懇切丁寧にBromwichが提示したにもかかわらずHeavisideの意は最初から決まっていたようで、Bromwichの方法を受け入れることを断固拒絶した。それを最後にBromwichとHeavisideの文通は終わっている。奇人と言われるだけに歴史が変わる可能性はこれっぽちもなかったのである。 留数とは何かは以前に大分詳しく書いたので割愛する。これはどの数学の複素解析のところに書いてある。 またなじみ深いOhmの法則の以下の式をHeavisideは過渡現象に関して抵抗演算子を伴った作用素方程式とみなした 従って抵抗演算子Z(p)の逆元である逆演算子Z^-1(p)がわかれば とたちどころに解が得られるというものだった。 Bromwichはこれと同じことが複素関数空間で行う方法を考案した。 Z(s)は以下のように表すと今日伝達関数と呼ばれるものである 当然Z(s)の逆元であるZ^-1(s)が存在すれば が成り立つ。 HeavisideもBromwichも伝達関数の概念までは考えていなかったと思われるが、そこまで応用範囲を広げたのは後生の研究者であった。 Heavisideは演算子をpの関数と呼んでいたが、pは微分演算子を置き換えたものに過ぎないため、狭意の関数ではない。それに関数は数を別の数へ対応づける写像であるが、演算子は関数を別の関数に対応づけるため、やはり演算子または作用素とよぶべきものである。 それに対してBromwichのZ(s)は完璧に複素変数sの関数であり、伝達関数Z(s)はsの有理関数となる。それだけに初等数学(複素解析)で扱えるものとなる。時間領域の関数と複素領域の関数間の写像に関してはLaplace積分とBromwich積分のみに限定される。 具体例を挙げるとすると、既にLaplace変換で簡単に変換対が得られるようなものは表を逆引きすればよい。もっと複雑な逆変換の場合については、後述する展開定理による方法が使える。複素解析の留数定理を使っても同じ結果が得られる。 |
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題名 | 投稿者 | 日時 |
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Laplace変換とその応用 | webadm | 2012-8-15 1:02 |
Laplace変換 | webadm | 2012-8-16 3:52 |
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