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webadm | 投稿日時: 2012-10-7 6:19 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3087 |
一様分布定数回路 次も難題だ
理論の時に分布定数回路のモデルでは単位長さ当たりの直列インピーダンスと並列アドミッタンスは送電端からの距離に関わらず一定である場合を学んだ。 しかしこの問題ではそれらが送電端からの距離によって連続的に変化する一様分布定数回路を扱う。 どうすんだこれ(´Д`;) 分布定数回路は一様分布定数回路の特別な場合と考えることができるので一様分布定数回路は分布定数回路をより一般化した概念と考えることができる。 直列インピーダンスZおよび並列アドミッタンスYが送電端からの距離xの関数としてZ=Z0 exp(ax), Y=Y0 exp(-ax)で与えられるとき、電圧、電流はどうなるか。ただしZ0,Y0およびaは定数である。 というもの。 この種の問題はあまりみかけないが、元ネタは手元にあるドイツの理論電気学の教科書であることは確かだ。しかし著者はそこに提示してあるのとは別の定式化を行っている。やはり丸写しは避けたかったのだろう。 ドイツの教科書の内容は最後に紹介するとして、ここでも著者と別解でアプローチしなければならない。 最初にまず理論に立ち戻る必要がある。 図の分布定数回路の微少区間dxに関して以下の関係が成り立つことは既に学んだ通り ここでR,L,G,Cはそれぞれ単位長さ(km)当たりの線路の直列抵抗、直列インダクタンス、並列コンダクタンス、並列キャパシタンスの値で、定数であると見なしていた。 問題では直列インピーダンスZ,並列アドミッタンスYもそれぞれ送信端からの距離xの関数になることから ということになる。 これを更に両辺をxで微分すると これに元の関係式を代入すると ということで面倒な指数関数が消滅した。というよりは予め意図してそういう問題設定になっていると言った方が良いだろう。一般的に見ればこれは特殊な一例に過ぎない。最初の指数関数が残っている状態の連立微分方程式を解こうとするとどうしても解けない。色々探してもそのケースを例題としてあげているテキストは見あたらないので、華麗にスルーしているとしか考えられない。 最後の指数関数を消去した微分方程式を解くと ということになる。 著者とは電流の式が異なっているが、電流の式の導出が基本方程式と電圧の式から求めている点で積分定数が電圧の式のものが派生してきている。 さて元ネタの披露だが、良くみたら問題設定が微妙に違っているものの、指数関数が定数項に含まれるという点では一緒である。以前から紹介しているドイツの理論電気学の教科書からそのページを下に示す。そこでは無損失線路が前提となっているが、先の問題ではそのことについてはなんも触れられていないし、Z0,Y0が定数とだけあって複素数なのか実数なのかも触れていない。本当は無損失線路を前提としているのではないかと勘ぐるのである。そうすると大分様相が異なることになる。 無損失線路なのでR,Gは基本方程式から消失し線路はリアクタンス分だけになる。LCは位相速度の二乗の逆数で定数であるとしている。そこにLが距離の指数関数に比例して変化するとしている。そうすると問題と良く似た微分方程式が導かれる。最終的には同じような電圧の式が導かれている。電流の式は著者と同様に先に求めた電圧の式と基本方程式から導いている。これは元ネタと思える根拠である。 元ネタでは無損失線路なので、γが実数になるか純虚数になるかの2ケースがある。それについての議論が生じないように問題文では無損失線路であるともそうでないとも言っていない。本当はそうした議論が無いとこの問題の本来の意図がはぐれてしまうように思える。 無損失線路かそうでないかによってどのような違いが現れるか確認するのは読者の課題としよう( ´∀`) |
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