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投稿者 スレッド
webadm
投稿日時: 2012-11-23 18:49
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3068
続々:電圧定在波比
次も電圧定在波比の問題

下図に示すように特性インピーダンスが純抵抗R1,R2で位相定数がβ1,β2なる線路を接続し、RLで終端した。各線路の電圧定在波比を求めよ。



というもの。

今までの問題では一つの線路に関して定在波比を求めるものだったが、今度のは2つの線路についてそれぞれ求める必要がある。

電圧定在波比は各線路の電圧反射係数をmv1,mv2とすれば



ということになる。

従ってこの問題は各線路の電圧反射係数を求める問題に帰着することになる。

さてどうやって各線路の電圧反射係数を求めるかが問題だ。

線路1の電圧反射係数は以下の様に線路2を二端子対回路に置き換えた等価回路から導くことができる



線路1と線路2の接続点において以下の関係が成り立つ



ところで2つの線路は無損失線路なので線路2への入射波は受電端への入射波と等しいので、上の式を線路1の電圧反射係数mv1と電圧透過係数tv1を成分とするベクトルで書き直すと



これをmv1,tv2について解くと



ということになる。

従って線路1の電圧定在波比ρ1は



ということになる。

著者は電圧反射係数を電流反射係数の公式を誤って用いて計算しているが、絶対値は同じなので電圧定在波比はどちらを用いても同じ結果が得られる。絶対値を計算するのが面倒でMaximaを使って得られた中間結果から手作業で整理した。Maximaに整理すると倍角のcos関数を使った表現にしてくれる。それはそれで同値である。

線路2の電圧反射係数は負荷との接続点に関して以下の式が成り立つことから



これをmv2,tv2について解くと



ということになる。

従って線路2の電圧定在波比は



ということになる。

著者は例によってRL=R2のケースを忘れている。

この問題と同じ回路は、アンテナなどのインピーダンスマッチングをとるためのケーブル(線路2)を給電ケーブル(線路1)とアンテナ(RL)の給電点の間に挿入する場合に実際用いられる。β2は挿入するケーブルによって決まり、長さl2を調整することによって給電ケーブル(線路1)上の電圧反射係数を最小にすることができる。そのようなl2を導く演習は読者の課題としよう( ´∀`)

P.S

電圧反射係数と電圧透過係数を成分とするベクトルは二端子対回路の電圧と電流を要素とするベクトルのようにそれ自身が空間を張ることがわかる。今日の分布定数回路設計で用いられるSパラメータはちょうどそのようなベクトルが張る空間における線型写像を表す行列の一種である。
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