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webadm | 投稿日時: 2013-5-24 15:12 |
Webmaster ![]() ![]() 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3110 |
続:無歪み線路 次は前問の無歪み線路バージョン
無歪み線路の電圧、電流を次ぎの初期条件のもとに解け。 まじめに解こうかどうしようか悩むところ。 無歪み線路の基礎方程式をHeavisideの演算子とベクトルで表すと これの特性方程式は 例によって距離xで二重積分してベクトルポテンシャルを出現させると これをUについて解くと ということになる。 これにx=0での初期条件を適用すると とK1が決まる。 これを元の途中解に代入すると ということになる。 境界条件がもうひとつ与えられないとK0が決定できないが。これで解けないと投げ出すのは早い。K0=0の場合の解は確かに与えられた初期条件を満足する。しかしK0≠0の解が存在する可能性が依然として残る。 これはいわばDiophantus方程式を実数領域に拡張したような問題で、与えられたx=0の初期条件を満たすK0がひつと以上存在することは明らかである。K0≠0の解が有限個なのかそれとも無数に存在するかは現時点ではわからない。またその解を全てプロットすることもできない。 著者はいかにも問題文から完全な解を導いてみせているが、それは予めe(x,0)=i(x,0)=e'(x,0)=i'(x,0)=0という初期条件を与えて導いたLaplace変換の結果を用いているためである。だったらその条件を問題文に含めないと詐欺だろう。暗黙の条件としてそれが常識だというならこちらの完敗というしかない。 著者の暗黙の初期条件を使って完全な解を導くのは読者の課題としよう( ´∀`) Heavisideの演算子法でさえ、無数の他の解の存在を示している。Laplace変換ではそれがまったく示すことができないのだと思ってしまう。 無損失線路の場合は送電端での源信号がそのまま空間を伝わるのに対して無歪み線路の場合は、進行波は遠くに行くにつれ減衰し、逆に反射波は送電端に近づくほど減衰し、遠ざかるほど増大する。無限長線路の場合受電端の条件を与えない限り、送電端から遠ざかるほど無限に増大する源信号と同じ形の反射波が解の中に含まれる。 K0=0とした解が題意で与えられた初期条件を満たすことから、解であることは明らかである。 従って解は ちなみに著者の解には誤植があるので注意しておく。Laplace変換だと無限長線路の解しか得られないことになる(送電端から距離が遠ざかるほど信号が減衰していく)。Laplace変換は積分変換なので、右半平面上での積分が収束しないと扱えない。なので無限遠点に近づくほど値が小さくなる解しか扱えないわけである。解がたったそれだけではないことは明らかである。 eS(t)=sin(t),L=C=G=B=1としてプロットすると(ただし縦軸範囲を-1〜1に制限) ということになる。 これでわかるのはx=0のプロットが題意で与えられた通り源信号eS(t)そのものであることからこれが解であることは確かである。 しかし、無限に距離と共に増大する反射波との合成のため、xが増大するとともに振幅が増大していくという現実にはあり得ないかもしれない解となっている。もしかしたら宇宙はこんな式で表されるのかもしれない、遠く離れるほど増大していくし。 いや現実に存在する、Tesla Coilがそれだ。Tesla Coilは1次コイルで励起された二次コイルの送電端からずっと離れた受電端にだけ大気の絶縁破壊を起こす程の大電圧が発生する不思議なあれである。ひょっとしてNikola Teslaはこの解の存在を知ってTesla Coilを思いついたのかもしれない。普通に行儀のよい解き方をするとこの解は得られない。もしかしたらNikola TeslaもHeavisideの演算子法を使ったのかもしれない。 もっと縦軸の範囲を広くして巨視的な観点で解を眺めると全容が見えてくる。 縦軸のスケールを制限しないと、送電点側は受電端側に比べると振幅が借り着無く小さくほとんど無視できる電圧しか発生していない。線路14m長のところで送電端に給電される電圧の200万倍近い高電圧が発生している。Tesla Towerが完成していればそれ以上の規模だったかもしれない。もっともこれはL,Cがあり得ない程超高透磁率、超高誘電率の線路を使った場合の極端な例だが。実際に利用可能な線路を使って計算してみるのは読者の課題としよう( ´∀`) 以降の問題でちゃんと送電端と受電端の境界条件を与える問題が登場することを期待する。 P.S 著者と同じ解は得られなかったけれども、Tesla Coilの解を偶然に見つけてしまった。怪我の功名である。 Tesla Coilは明らかにここで見いだした解によって送電端から離れれば離れるほど電圧振幅が大きくなる定在波を生じる分布定数回路であることは確か。単純に巻き線比を極端に大きくした感応コイルではない。感応コイルは密結合トランスなので、二次側の両端子間に高電圧が発生する。Tesla Coilはそれとはまったく異なり、送電端は送電電圧以上発生せず、送電端から離れれば離れるほど高い電圧が発生するという不思議な性質も、この解によって説明される。 学校でこの解を教えないのは、きっと第二のNikola Teslaを生み出さないようにするために意図的に仕組んだカリキュラムだからかもしれない。とにかく初期状態が線路の電圧と電流が全て0にしてしまえば、絶対にTesla Coilの解は出てこない。 それと計算を簡単にするために,L=C=R=ω=1としたが、これもTesla Coilの解に必要な共振条件を満たす。計算機のなかった時代Nikola Tesraもきっとそうやって試し算をしてみたら、想定外のモンスター解が現れてびっくりしたかもしれない。これは実際に作って試すしかないと思ったに違いない。 いや〜電気ってほんと面白いですね。 Tesla Coilをまだ知らない諸君は、Googleで画像検索してみたまえ。絶対魅了されるはずだ。芥川龍之介も「歯車」で青い閃光になりたいと夢見たと書いてある。 |
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