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投稿者 スレッド
webadm
投稿日時: 2013-9-5 9:46
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3088
続々:RC線路
次も有限長RC線路の問題

長さlのRC線路の受電端を短絡にして、t=0で直流電圧Eを加えるときの電圧、電流を求めよ

というもの。



これを今まで通りに解くと、境界値問題だが両端の電圧は与えられているので解は得られるものの、電流の解は送電端電流i(0,t)と受電端電流i(l,t)が未知関数として残ってしまうため、それをどうにかして決定しないといけないという問題がある。

前問で色々思考した中で副産物として得たアイデアを使わない手はない。

前問では開放された受電端の電圧が未知関数だったので、それを式から消去するために同じ回路を逆向きに対向接続して2倍長の受電端が短絡されたRC線路の解を重ね合わせるというテクニックを使った。

それと同じように、今度はx=lで線路の電圧が0となるように同じ線路を180度ひっくり返して(電流の向きは同じで電圧の極性を右と左とで逆にする)対向接続した回路を考える。



この回路は中央で左右が歪み対称となる(向きと上下が逆になる)。

またこの回路は前問の時に書いた通り、Mebiusの輪のように180度捻って電源を一つに出来る。

それをへたくそな図で描くと



ということになるが、実際には3次元空間で交差しているので二次元に写すと途中で交差しているところが接触しているように見えるが、あくまで上下の線は一定の間隔を保って絶縁されていると考えて欲しい。絵がへたくそですまん。

このMebiusの輪みたいな構造を身近で判りやすいもので例えると、数珠とかネックレスを180度捻って半分を残り半分の方に重ねた状態と同じである。

実際に数珠でそれをやってみよう

使用するのは装飾用のブレスレット状の数珠ではなく、仏教儀式で使用する本連数珠という108個の主珠が連なった大きなものである。



これを半分180度捻ねると連珠形(レムニスケート:lemniscate)となる



半分を残り半分の上に中央で折りたたむように重ねるとMebiusの輪状になる。



この形にすると片手に納まる。このような形に手で素早くやるには人それぞれのやり方があるが、それはどうでもよい。

なんの話しだったけ。

ああ、等価回路の話しだった。どこでも良いのでこうして出来た輪の線路の一点にt=0で電圧を印可するのである。

それをイメージし易くするために電池をつないでみると



ということになる。これで最初に描いた回路の意味が多少とも理解できれば幸いである。身近なところに電気回路や数学とつながるものがある良い例である。

前問で後半やったように重ね合わせの理を使うと



ということになる。

前問と同じようにe1(x,t),i1(x,t)について先に距離に関して解いて、歪み対称なe2(x,t),i2(x,t)の途中解を求めて、重ね合わせるというアプローチをとる。

Heavisideの演算子とベクトルを使って基礎方程式をたてると



これの特性方程式は



従って解は以下の方程式を満たすことになる



これを距離に関して二重積分してポテンシャル項を出現させると



これをU1について解くと



ということになる。

ここで送電端と受電端の境界条件を与えてポテンシャル項について解くと



ということになる。

これを元の式に代入すると



ということになる。

さて上の途中解は電圧は解けたも同然だけど、電流に関しては送電端と受電端の電流が未知関数として残ってしまう。とりあえず今はここまでにして、次に歪み対称なもう片方の線路の解を導出することに。

もう片方の線路の空間座標をx'とすると、最初に求めた線路上の空間座標xとは以下の関係がある。



従ってもう片方の歪み対称な線路の解は、先の解の式のU1をU2,xを2l-x、Eを-E,i1をi2に置き換えることで



ということになる。

歪み対称線路を対向接続したので、前問のときとは逆に重ね合わせると電圧は打ち消し合い、電流は強め合うことになる。

従って二つの回路の解を重ね合わせると



ということになる。

ここで回路の対称性から電流に関して以下の関係が成り立つ



また重ね合わせの理から以下の関係が成り立つ



これらを適用して整理すると



ということになる。

ここで前問と同様に以下の関係が成り立つことから



x→0において以下の収積値を持つ



これを代入すると解けたも同然になる



ということになる。

またしても著者の解とは違っていても気にすることはない。簡単な計算で送電端と受電端の境界条件を満たすことを確かめることができる。

電圧及び電流どちらも、l→∞に極限移行すると級数項が消えて以前に導いた半無限長RC線路の解が現れるのを確認できる。

電圧分布をE=R=C=l=1として級数項を100で打ち切ってプロットしてみると



ということになる。

t=0近傍のみ過渡的な電圧分布が現れるが、すぐに定常状態に達して抵抗分圧で決まる直線的な分布になっていることがわかる。受電端では
最初から電圧が0となっている。

電流分布のプロットは読者の課題としよう( ´∀`)

P.S

著者の解をプロットしてみたのだが、とても正解だとは思えない結果が得られるので注意しておく。

そもそも何故解の中に三角関数が出てくるのか疑問だったが、Yoshida本やMikusinski本の熱方程式の章の後半に著者の解と似たような式が登場する。それはHeat ringという円環上の一点に一定の温度を加えた場合の温度分布を求める問題である。この熱方程式の問題はFourierが奇抜なアプローチで解いたことで知られる。数学者にとってはFourierは歴史上無視できない存在なので、解がFourier級数で表すことができると仮定して解いている、伝統的にそうしているわけである。

これについては別途時間があれば検証してみたい。少なくとも著者の解をプロットしようとしても級数の収束が遅いのか級数を100項で打ち切った場合、とてもあり得ないとしかいいようがないグラフが現れることは確かである。
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