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投稿者 スレッド
webadm
投稿日時: 2013-9-8 21:11
Webmaster
登録日: 2004-11-7
居住地:
投稿: 3088
またまた:無損失線路
再び無損失線路の問題

図に示すように無損失線路を抵抗Rで終端し、t=0で直流電圧Eを加えたときの電圧、電流を求めよ。

というもの。



これも境界値問題である。

ただし無損失線路なので、特性インピーダンスと等しい抵抗で終端した場合には無限長線路と等価になることは容易に予想できる。従ってRが特性インピーダンスより小さい場合と大きい場合が考えられ。その極限が受電端短絡と、受電帯開放であることもわかる。

Heavisideの演算子とベクトルを使って基礎方程式をたてると



これの特性方程式は



従って自明でない解は以下の方程式を満たすことになる。



これを距離で二重積分してポテンシャル項を出現させると



これをUについて解くと



ということになる。

ここで境界条件を与えてポテンシャル項について解くと



ということになる。

これを元の方程式に代入すると



ということになる。

i(0,t)はよいとして、i(l,t)が未知関数として残る。

どうすんだこれ(´Д`;)

以前の問題では受電端が開放だったり短絡だったりで受電端の電流か電圧のいずれかが題意で与えられていたが今回はどちらも未知ということになる。言い換えれば、以前の有限長無損失線路の問題を包含する形で少し一般化した問題と言える。更に一般化するには受電端を複素インピーダンスZで終端する必要があるが、それは難しいので(といってもたいしたことはない)、少し特殊だが実数のインピーダンス(R)だけを考えるというわけである。

著者はオーソドックスな偏微分方程式の解法とLaplace変換を組み合わせたような見通しの悪いやり方で解にたどり着いているが、それが良いとも思えないで演算子法ならではの見通しの良いやり方を自分で見つけるしかない。

以前の有限長無損失線路の問題では受電端の電圧と電流は互いに一次独立だったが、今度は一次独立ではなくなってしまっている点が異なる。つまり受電端の電圧は受電端の電流に依存し、逆も真なりというわけである。

とりあえずこのままの形で解いてみることにしよう。



ということになる。

どうもIQが低下してしまってさっぱり見通しがつかない。特性インピーダンスと受電端の負荷抵抗Rの関係だってさっぱり見えてこない。

どうすんだこれ(;´Д`)

著者の解を読んでみたが、筋としては間違っていないと思うが、古典的な解放とLaplace変換をチャンポンにして解いていろのが気に入らない。どうして最初から最後までLaplace変換だけでやらないのか?

既に以前の問題で解いている極限の境界条件(短絡と開放)については前問やその前の問題で用いたアイデアにより、重ね合わせで解くことができる。しかしその中間の条件ではそう簡単にはいかない。

思考実験してみると、R=0では受電端は短絡となり、受電端の電圧は0となる。これは以前の問題で扱った。もう一つの極限としてR=∞では受電端は開放となり、受電端の電圧は最高で送電端の電圧の2倍となる。またその中間のR=Z0では受電端の電圧は送電端の電圧と等しくなる(無損失線路なので)。それ以外のRの値の場合では、それらの中間点を取ることになると予想される。

通勤電車の中で考えたんだけど、R=0とR=∞の極限の場合には、同じ線路を受電端を中心として鏡に映したように対向接続した回路、極性を反転して対向接続した回路とそれぞれ等価であることがわかる。それではその中間のRの値ではそうした等価回路は存在するのだろうかというのが疑問としてわき起こる。



普段通勤電車やお昼休みの食後のお昼寝前には森毅の本やランダウ&リフシッツの本とかを読みながら、この問題のことを思い出したりしている。その時にふと思いついたのが線路と電源を線対称に対向接続した中心点に集中定数回路である対称Latice回路を挿入したらすべてのRに関して等価な回路が実現できるのではないかというものである。



対称Latice回路は線路に直列に2つのR1が並列にR2が接続された格子状の二端子対回路である。出力端を開放にした場合、駆動点インピーダンスは(R1+R2)/2となる。R1=0,R2=∞の場合、これは開放端と等価になる。逆にR1=∞,R2=0の場合は短絡と等価になる。問題は0<R<∞の場合にどうなるかである。

この回路は以前の問題の様に重ね合わせで解くことができる。

R1とR2の組み合わせのパターンとしては以下の図で考えるとわかりやすい



左右の極限のパターンは既に書いたとおり。それ以外にR1<R2な領域とR1>R2な領域、それにR1=R2という点が存在する。

興味深いのはR1=R2のケースである。



対称Lattice回路というのは、初歩の直流回路で学んだ上の様なブリッジ回路そのものである。ブリッジには平衡条件というのがあり、上の回路ではR1=R2が該当する。ブリッジが平衡すると入力電圧V1がいくらであっても、出力電圧V2は0となることはもう知ってるよね。検流計を接続する電流が流れないという条件。

従って、R1=R2=Rとすると、ちょうど入力端および出力端どちらから見てもRで終端されているように見えて、かつ信号は通り抜けることができない(平衡状態にあるため出力は0V)ということがわかる。

つまりR1=R2の対称Lattice(格子型)回路で線路を終端すると、それはまるでR1=R2=Rで終端されて、その先になにも線路が接続されていないのと等価ということになる。なんということだ。

その他のケースとして、R1≠R2かつ駆動点インピーダンスがRと等しくなるケースがR1<R2とR1>R2のそれぞれについて一つずつ存在する。この場合、後続する線路が無く開放端ならばR1+R2=2Rということになるが、後続する線路がある場合、特性インピーダンスZ0がブリッジの出力に接続されていると局所的には見なすことができる。しかしそれだと今度は後続する線路の終端から反射した波が再びブリッジを通過するということになる。実際にはR=Z0のケースでは反射は生じないはずだからR1≠R2の場合に駆動点インピーダンスがZ0と等しい回路では矛盾が生じるため問題の回路とは等価でないということになる。

それでもR1≠R2の場合に重ね合わせで解を求めて、R1→R2=Rに極限が存在すればそれがR1=R2=Rの解ということにはなる。しかしそこまでやらなくても、いい気がしてきた。

昔やったようにブリッジ回路の解析をやってみると、負荷として特性インピーダンスZ0が接続された条件で駆動点インピーダンスがZ0に等しくなる条件を導くと



という結果が得られる。これは上の条件を満たすR1とR2の組み合わせが無限に存在することを意味する。その中で唯一R1=R2=Rだけが、後続する線路の影響を受ないため問題の回路と等価となる。極限の(R1=0,R2=∞)と(R1=∞,R2=0)、それに中間の(R1=R2=R)以外は問題の回路と等価ではないということが明らかになる。上の式の導出が正しいかどうか検証するのは読者の課題としよう(´∀` )

問題は受電端を抵抗Rで終端した場合、そこに波が到達した場合に電流がどれだけ流れるかである。

少し思考実験してみよう

R=Z0の場合には反射は発生しないため、受電端に流れる電流は近傍の線路の電流E/Z0と等しくなるはずである。その場合、受電端電圧は送電端電圧と同じEとなるのはいい。

R=0の場合には、受電端電圧0で良いが、電流はいくつかが問題である。この場合、受電端にR=0の代わりに受電端近傍の電圧と同じ電圧で逆極性の反射電圧源を接続したとみなせば電流は重ね合わせによって2E/Z0が流れることが予想される。

R=∞の場合には、開放端の代わりに受電端近傍の電圧と同じ極性で同じ電圧の反射電圧源が接続されているとみなせば、電流は0となり受電端電圧は重ね合わせによって2Eとなることが予想される。

それでは0<R<Z0の場合はどうだろう。受電端に進行波が到達した瞬間、鎖交磁束普遍の理で電流はE/Z0のまま終端抵抗Rに流れようとするが、抵抗Rによる電圧降下と受電端に到達した電圧に差が生じる。その差が進行波とは逆極性の反射波電圧源として終端抵抗Rに直列に現れることと等価になる。



反射電圧源電圧E1に関して以下の関係が成り立つ



この反射電圧源によって生じる反射電流I1は



ということになる。

従って最初の進行波が受電端に到達した時の電圧と電流は



となることが予想される。

同じ結論を受電端近傍を局所的に分布定数回路の定常問題として解いた場合に、電圧反射係数と電流反射係数から容易に導くことができる。

R>Z0の場合にも上の原理は適用できて、今度は線路の電流E/Z0がRに流れようとすると、線路の電圧よりも高い電圧降下が生じることになる。その差として反射電圧源が進行波電圧と同じ極性でRと直列に発生することになる。





上の式でR>Z0の場合には電流はE/Z0より減少し、電圧はEより増すことが確かめられる。またR→∞の極限では電流は0になり、電圧は2Eとなることもわかる。

さてこれらの結果から、任意の時刻tでの受電端の電圧と電流は

わがんね(;´Д`)

どうにもIQが低下して頭の中で反射の反射を重ねていくとわけが分からなくなってしまう。

新たな視点が必要だ。

そもそも解の座標軸が電圧と電流というのがややこしい。どちらも進行波と反射波の重ね合わせなので、当たり前である。ここは久々に線形代数を使って座標を変換してみるのが良さそうである。

上の思考実験では、送信端から最初の進行波が受電端に到達すると、電圧反射係数を進行波の電圧に乗じた反射波が現れて送信端方向に向かう。従って電圧反射係数が正なら進行波と重ね合わさって進行波よりも大きな電圧が現れる。電圧反射係数が負なら電圧は相殺しあって小さな電圧が現れる。だから、最初から進行波と反射波を独立に扱えばいいのであるが、送信端に到達した反射波は送電端で反射して今度は受電端方向から依然としてやってくる反射波と重なり合うことに、送電端の電源から供給される元祖進行波もそれに加わることを考えるとやっぱりややこしい。

もっといいのは、進行波と反射波をエネルギーか電力に相当する成分からなるベクトルで表すのがよさそうである。進行波の電圧と電流の積と、反射波の電圧と電流の積。

だめだますますわがんね(;´Д`)

(2013/9/26)
台風が接近している所為で不快指数が上昇したものの気温が夏に比べて低いので耳鳴りとかの症状は悪化せずにすんでいる。耳鳴りが酷いときはたいてい頭の情報処理能力が低下している時なのでIQも下がって何をやってもうまくいかない。そういう日は悪あがきせずに体と神経を休めるしかない。

そうやって神経を休めた結果、混乱していた頭が少し整理がついてきた。送電端に到達した反射波が反射するとどうなるかは実に簡単明瞭だった。以前の問題で受電端を短絡または開放したケースの問題を解いたときの記事を読み返していたら、なんでこんなことに気づかなかったのだろうとIQの低下のひどさを思い知らされた。

送電端は電源が直結されているので、受電端からみると終端が短絡されている回路と、電源が接続された回路の重ね合わせになる。終端が短絡している場合の電圧反射係数は-1なので反射波は送電端で極性が反転して受電端方向へ跳ね返っていくから、受電端からやってくる反射波を打ち消すことになる。従って送電端に接続された電源からの進行波のみが受電端方向へ進んでいるように見えるということになる。

無損失線路の場合は線路上では減衰は生じないので、進行波も反射波も形をかえずに素通りするだけ。

ということで、問題は受電端の電圧および電流反射係数が終端抵抗Rと線路の特性インピーダンスZ0によって変わる点が以前解いた受電端短絡と開放の問題と決定的に違う点である。

ここまで悟ればなんとか突破口は見えそうな気がする。

(2013/10/9)
いろいろ迷い道をしたようだが、演算子法で導いた途中解とここまでの思索で得た結論を組み合わせることによって最もエレガントが解が得られることを確信した。

思考実験の結果予想されることは一部誤りもあることが分かった。電圧分布に関しては例外的な極限(受電端短絡か開放)条件を除いては繰り返し関数にはならないという点である。これは電圧分布が進行波と反射波の合成とみなすのは正しかったが、受電端および送電端での反射を考える際に入射波のみを考えるべきだった。その修正を行うことで、ジグザグ図で最初に受電端に入射した元信号は受電端で反射して送電端へ進行し、送電端で反射して再び受電端へ向かう。送電端の電圧反射係数は短絡端なので-1となり、後から脈々とやってくる入射波を送電端からの反射波で打ち消すから、やがて受電端に達すると受電端の電圧は元信号電圧に戻るというところまでは間違いないが。その後はせっかちして、それの繰り返しと考えてしまったのが間違いである。実は送電端からの反射波は受電端で再び新しい反射波を生み出すのである。これが真実だ。

途中までの解は実にそれを正直に表していたがそれを解釈できるだけの知識と考察が足らなかった。線路上ではジグザグに折り返して進む反射波が以前の反射波と重ね合わせて打ち消しあったり、強め合ったりする。受電端が短絡、開放の場合を除いては反射係数の絶対値が1未満なので、いずれにせよ新しい反射波は次第に減衰していくことになる。t→∞の極限では反射波は消滅して電圧分布も電流分布も定常状態になる。

(2013/10/10)
一見簡単そうに見えて複雑なこの問題の解の姿を直感的に理解するために以下の図を描いてみた。



実際に想定するのは平たいテープ状の無損失線路が長さl毎に節が集中定数回路とクロス接続でつながった無限長のサナダムシみたいな回路である。平面で描くとクロス接続が分かりづらいがテープを180度ひねったようなものと思えばよい。集中定数回路は送信側方向からみると駆動点インピーダンスが線路の特性インピーダンスと同じZ0だから反射波は発生しないが、その代わり(R-Z0)/(R+Z0)の電圧反射係数を透過率とする電圧を出力する。透過した電圧は後続の線路に印可され進行波として伝わっていく。その先のクロス線路で上限の線路が入れ替わり、上からみると電圧の極性が判定したような電圧分布で進行波が進むことになる。それを延々と果てしなく無限に続いていく。

この折り畳めるような線路を長さlに重ねて折り畳んで、互いに重なった線路の電圧を足し加えていくと、問題の長さlの線路の電圧分布と等しくなる。波が同じ線路を折り返すと混乱するが、違う空間を進んでいくと考えるとその混乱はなくなる。重ね合わせればよいわけである。

上の図では(R-Z0)/(R+Z0)の電圧反射係数(上の図では右端の集中定数回路の電圧透過係数)が負の場合(すなわちR<Z0の場合)には、右端の透過波は侵入波とで極性が反転する。左端は送電端と等価なので電圧反射係数は-1となるので必ず極性が反転して減衰ぜずに折り返して進んでいく。このあたりが単純に長さlの有限長線路上での波の折り返しを考えようとするときに無用の混乱を招く原因であるが、有限長で折り重なってはいる無限長の空間を一方向に波が進んでいくと考えると簡単明瞭である。

さて入射側から見たインピーダンスがZ0で電圧透過率が(R-Z0)/(R+Z0)となるような都合の良い集中定数回路が果たして現実に存在するのかどうか疑問だが、仮に存在するとして考えればこれで良いことになる。入力側の線路も出力側の線路も同じ特性インピーダンスZ0の無損失線路であるから、入射波と透過波は一対一の線形写像となるから集中定数回路として作れそうな気がする。

同じように電流についても図を描いてみると以下のようになる



線路の接続トポロジーは電圧の場合と同一である。事情が異なるのは、右端の集中定数回路に入射電流が入ると電流反射係数(-(R-Z0)/(R+Z0))を電流透過係数とする出力電流が出力側線路に流れるのと、左端では電流反射係数は1となる点である。電圧の場合の極性は線路の幅方向の向きだったのが、電流の場合には線路内を時計方向に回るように流れる場合を正極性としている点に注意。線路を折り返し重ねた場合に方向が同じであれば同じ向きの電流として重なる。電圧の場合と事情が違うため、左端の折り返しをターンした電流透過波は入射波と同じ向きになるため重ねると互いに強め合う(同方向)。電圧の場合には左端で折り返すと波は逆極性で進むため重ね合わせると打ち消し合う。

電圧と電流で共通するのは、右端を通過する際に波は常に受電端の反射係数(上の等価回路では透過係数)が係数として乗じられて出ていくため、係数の絶対値が1未満の場合には、波の先端が通過する度に振幅は減衰し、t→∞の極限では完全に消失することになる。それが定常状態となる。係数の絶対値が1と等しくなる特殊な場合(受電端短絡もしくは開放)には送電端に直流を印可した場合でも過渡項が永遠に消滅しないため定常状態が存在しないことになる。受電端が開放もしくは短絡された有限長無損失線路は回路内でエネルギーが消費されないので、最初に入ってきた波が永久に線路内を往復し続けることになる。それは電源を途中で取り去っても同じである。

こうして見ると、有限長の分布定数回路の受電端が開放や短絡を含めた任意のインピーダンスで終端されている場合でも、有限長で折り畳まれた無限長の分布定数回路の空間を波が一方向に進んで行くと考えることができる。空間が折り畳まれて重なりあっているので、観測される物理量(電圧、電流)も重ね合わさった値となる。こうした重ね合わせの理は物理学でよく使われる。無限に長い線路空間が有限長で折り畳まれてぴったり重なっている場合、その空間の厚みは0とすると単なる有限長線路と物理現象の見た目は区別がつかないことになる。どちらで問題を考えたほうが楽かと問われれば、無限長で考えた方が楽である。両者は等価であるから、どちらで考えても結果は同じということになる。

さてここまで分かってしまうと、問題を解かなくても解の式をたてることができてしまう。それではせっかく演算子法を使って解く試みが無駄になるのでもう少しやってみよう。

(2013/10/16)
さて前半の演算子法による途中解を放置したままになっているが、毎日通勤途中に思い出しては突破口を探している。諦めるのは簡単だが、次の問題でも当然ながら同じ壁に突き当たることが予想される。今更他の解法に転じるのはもっと面倒だ。仕事だったら、ばっさりと損切りして時間がかかっても筋道がはっきりした別の方法を探していることだろう。だが断る。

Hevisideも同じ壁にぶつかって、結局は元信号源と反射信号源の関数を含む冪級数の冪級数なる一般解に整理したいきさつがある。実は反射信号源の関数には元信号源の関数が再起的に含まれていて、逆も真なりなのだった。しかしどうにもこうにもそれを定式化する数学を知らないという無知が災いして足止めを食らっている。演算子法を使って導いた途中解はそれを黙って示しているのだが、こちらがそれを理解できないでいる。

基本を振り返ると、二階偏微分方程式の解には任意の2つの関数を含むというのはもうみんな知ってるよね。これは二階常備分方程式の解が任意の2つの積分定数を含むのと対応している。この問題ではi(0,t)とi(l,t)の2つが未知関数なのでそれが該当すると思われる。しかしどうも2つの関数は互いを知っているようにも見える。しかし一次独立である。どうやらそれらは演算子を用いると冪級数になるらしいことまではわかる。数学的に見れば、i(0,t)とi(l,t)はそれぞれ無限個の基底ベクトルの線形結合で表されると考えることもできる、ただし互いに線形独立である。なんのことを言っているのかさっぱりわからなくなってきた。

まだ試みていないのは

・i(0,t)とi(l,t)を既存の途中解と存在するが忘れられている初期条件や境界条件から解く
・i(0,t)とi(l,t)をそれぞれ互いを含む連立方程式をたたて解く

というのがある。

これらは以前の問題でも課題としてあがっていたが、いよいよ自分で臨まないといけない状況になってきたようだ。

(2013/10/17)
既に賢明な読者ならとっくにお気づきだろうが、実は前半の演算子法の解には誤りがある。
それは演算子法そのものの誤りではなく、こちらが設定した初期条件の値に誤りがあったためである。
受電端での初期条件を与える際に、ついつい集中定数回路の要領で受電端の電圧をR*i(l,t)としてしまったが、実は受電端が開放(R=∞)の場合には適切ではないためである。受電端が開放の時は受電端の電流iは(l,t)=0だから受電端の電圧はR*i(l,t)=0となってしまう。これは正しくない。本来は受電端の電圧は未知関数e(l,t)としなければならなかった。その点を改め前の途中解のR*i(l,t)をe(l,t)で置き換えると



ということになる。

これで受電端開放(R=∞)の場合、受電端電流は0となっても受電端電圧は0ではないからR*i(l,t)は正しくなく、e(l,t)と未知関数とするのが正しい。
また受電端短絡(R=0)の場合には常にe(l,t)=0となり受電端電圧は消滅するのでR*i(l,t)と変わらない。

(2013/10/22)
上の解を少しずつ噛み砕いて解釈を試みよう。最初に電圧分布のEを係数にもつ以下の部分について考えてみる。



これも幾重にも折り畳まれた時空モデルで考えれば、送電端にt=0に印可された直流電圧Eの波がまっすぐに進んでいく空間を長さlで折り畳んで重ね合わせたものと見ることができる。図で描くと、それは扇子や屏風のような折り畳まれた平面の上を斜め一直線に進む波が軌跡を描いたものと一致している。図で描くと



ということになる。空間を折り畳んで垂直方向に投影して電圧分布を重ね合わせれば、これは受電端が短絡した長さlの有限長無損失線路の送信端にt=0で直流電圧Eを印可した時の電圧分布と等価になる。折り畳まれた平面を平坦に広げれば、信号は速度cで時空を斜めに直線を描きながら進んでいく軌跡を描くことがわかる。線路の両端は短絡と等価なので線路端を通過する度に電圧反射係数が-1で極性を反転しながら進んで行くと見なすことができる。

従って上の式は、受電端が短絡された長さlの無損失線路の送電端にt=0で直流電圧Eを印可した時の送電端から距離xの点における時間tにおける電圧を意味している。

次に残りの以下の部分について考察してみよう。



これも同様に折り畳まれた時空平面を送電端方向へ向かって速度cで進む波を表している。前の式と異なるのは、電圧が受電端における時間t(実際には時間tにおける受電端の終端条件と受電端に到達した波の電圧)に依存する関数になっている点である。本問題では送電端の電圧はEと固定だが、一般化すればこれも送電端における時間tの関数としてもよいが、とりあえず送電端に印可される電圧は一定としよう。それを図にすると



と描くことができる。今度は折り畳まれている時空平面を平坦に広げた形で描いている。式の中に現れる関数と、送電端からの距離xに波が到達した際の電圧が対応している。これも時空平面の端を折る形で折り畳んで重ねて、垂直方向に投影して重ね合わせたものが上の式である。これは長さlで送電端が短絡で受電端に反射電圧源e(l,t)が接続された有限長lの無損失線路の電圧分布と見なすことができる。

すなわち、演算子法で導いた解は、未知関数e(l,t)を含むものの、以下の様に送電端に電圧Eのステップ電圧源が接続され、受電端に電圧がe(l,t)の電圧源が接続された長さlの無損失線路の電圧分布を表していることになる。それを分かりやすく図で表すと



ということになる。

さて電圧分布の解の意味はわかったが、都合の悪い点もはっきりしてきた。この解には題意で与えられている受電端の終端抵抗Rはおろか、反射係数についてもまったく現れていない。それらはすべてe(l,t)という関数の中のパラメータとして含み入りということになる。e(l,t)が未知関数のままではどうしようもない。以前の問題では、時間t=0からジグザグ図で時系列的に考察していって反射電圧源の電圧を割り出していったが、同じ轍は踏みたくないものだ。

(2013/11/05)
頭の混濁状態が少し収まってきて、通勤途中にだいぶ考察ができるようになってきた。というものの演算子法での解の導出をもっとまともにする方法はまだ思いついていないが、別の発案した一方向に進む波を空間を折り曲げて重ね合わせるモデルだと偏微分方程式を解かずに簡単に解を導けることを確かめることにしよう。それは逆に演算子法の解の導出方法の改良のアイデアを思いつく材料を与えてくれるかもしれないという期待もあってだ。

演算子法によって導いた不完全な解を一旦忘れて、別に考えた直感的なモデルに基づいて具体的に解を導出してみよう。

折れ曲がった空間は重ね合わせると交互に空間の向きが逆転して決して分かりやすいとは言えないが、少なくとも偏微分方程式を解く必要は回避される。空間を線路の長さl毎に折れ曲がっているので、波が進む時間によって重ね合わせていくことにする。

式を短くするために以下のように定義する





ということになる。

上の解のx座標を送電端から受電端までの距離に固定すると、受電端の電圧に関する時間関数が得られる。

最後の2段目の形は著者の解と一致している。

ついでなので電流分布の解についても同じように導出してみよう。





ということになる。

これも著者の解と一致している。

x=0およびx=lに固定すればそれぞれ送電端を流れる電流と受電端を流れる電流の時間関数が得られる。

また以前に解いた問題のように受電端が短絡の場合、電圧反射係数αが-1になるので電流は線路上のどの点においても無限大に向かって階段状に増加し続けることが判る。逆に受電端開放の場合には、電圧反射係数αは1となるので自由振動を繰り返すことになるのが見てとれる。電圧反射係数αの絶対値が1未満の場合には、級数項は収束するので電圧と電流は定常状態の値に近づいていくことが判る。

この解の導出の仕方は手元の参考書のどれにも書かれていないここだけの発見である。これなら中学生でも判るかもしれない。偏微分方程式の解法で挫折せずに分布定数回路の過渡現象を直感的に理解するにはこれに勝る方法はないかもしれない、いやあるかもしれないが少なくとも私は知らない。

さて偏微分方程式を解かずに解が導けることが判ってしまったので、演算子法による解の導出の課題をどうしたものか。

とりあえず次も似たような問題なので、先に進めて並行して考えることにしよう。

上の考察では電圧と電流をばらばらに考えたのだけれども、体裁を整えるために最後にベクトルに戻して定式化しておこう。



この先に何か見えてくるものがあるが、それは読者の課題としよう( ´∀`)

P.S

これまでも度々紹介してきたCourant & Hilbert本のVolume 2(english version)の第5章では演算子法ではなくLaplace変換を使って同じ結果を導く方法が解説されている。同じLaplace変換を使っているが、著者のやり方よりだいぶ長い。著者はLaplace変換結果を電信方程式の一般解から導出するというインチキな方法をとっているが、Couran & Hilbert本では、なんとLaplace変換結果を導出するために必要な定理を新たに証明した上でそれを使ってLaplace変換によって解を得ている点が大きく異なる。やはり数学者らしい解き方と言えよう。しかしそれを理解してここで解説する能力は私にはないので、これも賢明な読者への課題としよう( ´∀`)
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題名 投稿者 日時
   分布定数回路の過渡現象演習問題 webadm 2013-5-11 21:03
     波動方程式 webadm 2013-5-12 20:14
     無歪み線路 webadm 2013-5-18 21:57
     無限長無損失線路 webadm 2013-5-19 4:19
     無限長無歪み線路 webadm 2013-5-19 23:57
     無限長RC線路 webadm 2013-5-20 6:55
     損失のある無限長線路 webadm 2013-5-20 9:24
     続:無損失線路 webadm 2013-5-21 7:38
     続:無歪み線路 webadm 2013-5-24 15:12
     続々:無損失線路 webadm 2013-6-8 20:35
     もうひとつの:無損失線路 webadm 2013-6-9 22:09
     続々:無歪み線路 webadm 2013-6-24 0:22
     もうひとつの:無歪み線路 webadm 2013-7-15 8:42
     続:RC線路 webadm 2013-7-15 17:17
     続々:RC線路 webadm 2013-9-5 9:46
   » またまた:無損失線路 webadm 2013-9-8 21:11
     まだまだ:無損失線路 webadm 2013-11-9 23:54
     無損失線路は続くよ webadm 2013-11-13 0:27
     どこまでも無損失線路 webadm 2013-11-14 23:27
     装荷回路 webadm 2013-11-17 12:57
     ダンピング回路 webadm 2013-11-18 1:50
     ブロッキングキャパシタ webadm 2013-11-18 2:27

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