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webadm | 投稿日時: 2013-11-14 23:27 |
Webmaster ![]() ![]() 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3110 |
どこまでも無損失線路 次も無損失線路の問題、とは言え前問と良くにている。が少し捻ってあるかな。
下図に示すように特性インピーダンスZ1(s),Z2(s)の無損失線路の接続点を抵抗Rを通じて設置し、入射波電圧eiを加えるとき、入射波eiと透過波etの電力比が最小となるようにするには、Z2(s)をどのような値に選べばよいか。 というもの。 問題文で注意しなければならないのは、入射波と透過波の電力比が最小になる意味の解釈である。 一般に回路が受動素子だけから成る場合には、相反回路となるため透過波の電力が入射波の電力を上回ることは決してない。このため電力比は最大が1で最小は0である。能動素子が使われていて入射波とは別にどこからか電力が供給される場合にはこの限りではない。この問題では全て受動素子から成るので相反回路と考えて良いことになる。 ということは入射波電力>>透過波電力でかつその比が最小となるZ2(s)の条件を求めよと言う意味になる。 題意を読み間違えるとせっかく計算して答えを求めてもそれは期待されていに方の解であったりする。入射波電力が0で透過波電力が∞となる条件は期待される解ではないことは明らか。 となると透過波電力が最小となるので、余った分は反射波電力として入射波とは逆方向に跳ね返っていくことになる。つまり、反射波電力を最大にするのと同値であると予想される。 果たして、以下の命題は成り立つのか (1) 反射波電力が最大の時、入射波電力>>透過波電力かつその比率が最小となる (2) 入射波電力>>透過波電力かつその比率が最小なら、反射波電力は最大となる 上の2つの逆も真なりと言えるだろうか? Z1(s),Rを固定しZ2(s)を変化させた場合の反射波電力、入射波電力と透過波電力の比がどう変化するか解析すればいいような気がする。電力比が最小となる点のZ2(s)が解ということになる。 だいたいこれでいいような気がする。数学的に厳密にやる場合にはもっとややこしいかもしれない。電気工学はもともと近似理論だからおおざっぱで結構なのだ。 実は上の命題そのものは間違っていないが、それだとR=0とすれば反射波電力が入射波電力と等しくなり、同時に透過波電力が0となるので、透過波電力/入射波電力の比率は0となって最小となる。これは自明なので問題が求めている解とは異なると思われる。 そうするとその逆数である、入射波電力/透過波電力の比が最小となる条件を見いだすのが題意ということになる。 そうなると今度は透過波電力=入射波電力-反射波電力という関係から、 ・反射波電力が最小であれば、入射波電力/透過波電力の比は最小となる ・入射波電力/透過波電力の比が最小であれば、反射波電力も最小である という命題を証明すればいいわけである。 そこで前問と同様に以下の等価回路を考える 入射波から見ると接合点にはRとZ2が並列接続した合成インピーダンスZ3で終端されているのと等価である。 従って以下の関係が成り立つ 従って入射波電力/等価波電力の比が最小になるのは電圧反射係数αが となるとき、かつそのときに限る。 従ってがZ2は ということになる。 おろ、またしても著者の解と微妙に異なる。 それもそのはず、著者は手抜きして前問で間違えてしまった解を流用しているので結果も間違ったものとなってしまっている。それ以前にこちらのアプローチと同様に反射波が最小になる時、題意の条件を満たすとして反射波電力/入射波電力の比が最小になる条件を計算しているが、回答中では反射波の電圧をetと終止誤記しており、実際にはerで前問で間違えたerの式をそのまま使ってしまっているというわけである。注意しておく。 正しい反射波電圧erの式を用いて著者と同じやり方を用いれば(誤記は直すとして)、 従ってZ2が以下の条件を満足する必要がある これをZ2について解くと が得られる。 R≦Z1ではZ2が∞から負数をとるため題意の回路を満たさない点に注意。 この結果から特性インピーダンスの異なる線路を接合した場合にインピーダンス整合させる方法として接合点で以下の条件を満たす抵抗Rで終端すればいいことになる。 Z2<Z1の場合はRが負数となるため題意の回路を満足しない点に注意。 ただしこれは抵抗Rで電力を損失するので、透過電力はその分減ってしまう。 実際の高周波回路では損失が伴うため抵抗でのインピーダンス整合を避け、特定の運用周波数範囲なら電力を消費しないLとCの集中定数回路もしくは分布定数回路を接続してインピーダンス整合することが行われる。ほとんどの場合、0〜∞までの周波数を通す必要はないので、使用する周波数帯で最も良く整合がとれるようにするわけである。 P.S 著者の解の記述を見るにつけ問題文の曖昧さに翻弄された様子がうかがえる。最初やはり透過波電力/入射波電力の比を考えてみたものの、それは題意と異なることに最後に気づいて、途中から反射波電力/入射波電力の比に書き換えようとした節が見られるが一カ所を透過波から反射波に書き換えただけで残りは最初の誤った計算のまま放置されている。きっとその時は時間が無くて明日やろうと思って明日になったらすっかりその事を忘れてしまって答案をまとめてしまったかなんかだろう。もしくは学生に解かせて、解が美しい結果だったので(正しい答えは常に美しいという命題が成り立つとしても、美しい答えは常に正しいという逆命題は成り立たつとは限らない)著者はそのまま原稿に含めてしまったのかもしれない。 こちらのアプローチでは微分とか使わなくても電圧反射係数の概念を導入すれば、一目瞭然の結果が得られる。もちろんやり方を制限するのが言いやり方とは言えないが、なんでも数学的に難しい概念を駆使すればいいというものでもない。電気回路理論ならば、一歩進んだ抽象概念を用いるだけで理論式がすっきり見通しが良くなる良い例である。 数学でも難しい証明と易しい証明とがあり、時代と共に新しい概念が生まれそれを使った易しい証明が出てくることになるのは自然の流れである。 |
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