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webadm | 投稿日時: 2019-12-8 0:06 |
Webmaster ![]() ![]() 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3108 |
BWV Anh. 183 B-dur Rondeau ふう、先のChristian Petzold の2つのメヌエットはやっと両手で弾き始めたところ。
あとは仕上げに向かうだけ。 そろそろ次の曲の譜読みだけでも初めておかないと、先が長いし。 次の曲は整理番号が少し飛んでいます。 おそらく整理番号を付けていく段階で、この曲は言わずと知れたフランシス・クープランの曲だと誰しもが判っていたので、番号を割り当てるのは一時保留されたものと思われます。 その後フランシス・クープランの原曲からの写譜でアンナ向けに簡略されたものだということが判明し、改めて整理番号を割り当てることになったと思われ、それで番号がこれだけ前後の曲と離れているぽい。 原曲はフランシス・クープランが出版したクラヴサン曲集第2巻に収められた組曲の中の第6オルドル組曲の中の一曲。 1717年に出版された原典譜を見ることが出来る演奏動画を貼っておきます。演奏はバロックリコーダーとテオルボ(リュート)かな。 音楽帖の譜面は2声体に簡略化されていますが、原曲は一部3声体もしくはフィンガーペダル(オルゲルプンクト)が多用されていて難易度が高いのが判ります。ただでさえ装飾音の出現頻度が多いのに。 Rondeau もしくはロンド形式は元来は独特のリフレインと繰り返しのある英詩の形式をまねたもので、繰り返しの構造が複雑です。 器楽曲でのロンド形式を好んで使用したのは叔父のルイ・クープランらしいね。 大バッハはどこからか画策して大クープランのクラヴサン曲集の写譜を手にいれたと思われます。大バッハはそうして集めた譜面が引き出しに沢山あって時にそれらを弟子や子供たち、アンナのために更に簡略化して与えることはよくあったようです。 フランシス・クープランは一曲一曲に題名を付けていて、それで曲想の説明は十分であると言っていたそうです。 この曲の原題は、"Les Bergeries Rondeau"(田園詩)とあり、確かに当時の田園風景から得た曲想だというのは共感できます。 ところがこの曲の前に演奏される曲はもっと有名で、 題名が"Les Barricades Mystérieuses"(神秘の障壁)と誰も見たことが無い風景。 フランシス・クープランは曲に曲想のヒントを与えるフランスの表題音楽の先駆者でもあったわけですが、誰も想像することすらできない奇妙な表題を付けることでも有名( ´∀`) 見たことも想像も出来ないものを表題にしたら曲想とか思いもつかないよね。一種の遊びかジョークなのかも。 フランスだけではなく周辺国からも尊敬を受けるほどの大作曲家で、大バッハも写譜を入手して、あまりに優れているのでそのまま編曲してしまったこともあるぐらい。 大バッハと大クープランは時代的には重なるのですが、大クープランの方が先輩で、大バッハが楽譜を入手したのは亡くなる少し前だったと思われます。 フランスでは大クープランは尊敬の対象で、そのままの形で継承すべきものという暗黙のルールがあるらしく、古楽器以外での演奏は基本行われないため、若い世代からは忘れられる存在になりつつあります。 フランス以外では現代のピアノで演奏するピアニストも多いですが、知名度がいまいちでコンサートプログラムに取り入れても客が来ないという悩みがあるようです。 2つの名曲が含まれる第六オルドル組曲全曲をピアノで演奏している動画を発見。 音楽大学のレッスンルームかな。マイクがピアノの上にあるので演奏者が聴いているのに近い録音ですが、反面演奏者しか聞こえないはずのダンパー動作ノイズを拾っている時があります。 20世紀を代表する古楽奏者、Scott Rossの演奏音源もありました。 やっぱりScott Rossの演奏だとどの曲も映えるね。 音楽帖バージョンのピアノ演奏を挙げておかないと。 ポールバートン氏のFEURICH 218による演奏。 ハーモニックペダルが加わった4つのペダルがあるのが特徴的だよね。 ハーモニックペダルは、普通のグランドピアノの真ん中のソステヌートペダルと逆でハーフペダルだと最後に弾いた弦以外のダンパーが上がる仕組みで、弾いていない弦がみんなシンパセティックレゾナンスする効果があります。フルに踏むと普通のダンパーペダルと同じで全部の弦のダンパーが上がる仕組み。 ハーフペダルの効果が抜群。 武満作品の演奏で知られる大田麻佐子さんのこちらのピアノ演奏もお手本にしたい感じ。 いつもながら装飾音を付けられるまで辛抱。 ちなにみこの曲の難易度は、PTNA ステップ課題曲一覧検索で検索すると、応用6でした。2声インベンションの最後や3声シンフォニアの最初のレベルと同水準。 演奏時間も長いし、構成も複雑、右手のメロディーパートは比較的耳になじみやすく覚えやすいので初見で弾ける人は居るかも、対照的に左手のバスは初見で弾くのは難しいよね。指番号すら山崎版ではほとんど書いてないし、自分で運指を考えられることが前提ぽいよね。さらうまで時間がかかるのは覚悟。 んじゃまた。 |
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