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webadm | 投稿日時: 2020-3-29 20:16 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3107 |
Re: BWV anh. 116 G-dur Menuet ふう、外は暗いね(´Д`;)
BWV Anh. 116 もかなり仕上げが煮詰まってきたので、そろそろ録音して公開しないとね。まだ先が長いし。 ところで、この曲はバロック期の曲とは思えない新しさがあります。 その理由の一つとしては、近代的な機能和声を使った和声進行と音型にあります。 バロック期の曲というと特定の調性に沿った上声部の旋律もしくはバス旋律を主題として、対旋律を添えたものが多くて、一見しただけでは近代的なコード進行とか和声進行が判別つかないし、装飾音があると更に不協和音だらけになってわかりにくいよね。 でもこの曲は出だしから主調のオクターブのあるアルペジオで明快に始まって、テンションコードとトニックのサンドイッチが繰り返されます。 しかもその主題部がリフレインのように何度も現れるので、否が応でも耳に焼き付きます。 強烈だよね、これを大抵の版ではフォルテかメゾフォルテで弾くように校訂されているので、本気でフォルテで弾くちょっと感覚が麻痺してきます。 なので、練習の際には通しで弾くのは一回だけに止め、部分練習の時も主題のアルペジオが安定して弾けるようになったら、それ以外の部分に注力するようにしています。また、この曲を一回練習したら、別の曲も平行して練習して耳と頭を切り替える必要があります。 問題の繰り返される主題部分の和声進行は、理論的にはT-D-Tのカデンツが2連結された複合カテンツという形です。 同じように冒頭で複合カデンツを使った名曲があります。 もうみんな知っているよね(´∀` ) 先日FFシリーズの人気投票があって第一位に輝いた FF-X のオープニングテーマでちゅ。 BWV Anh. 116のと違って2つ目のカテンツは借用コード(もしくはD-durに転調)を使っているので一見同じ音型が繰り返されていてシンプルに見えて実はシンプルではないけど、T-D-Tが2つ繰り返される複合カテンツな点と、この主題が変奏もしくはリフレインとして繰り返し登場するのは共通しています。 なんか我田引水的だけど、間違ってたらごめんね(;´Д`) 手元の楽譜は曲名が"Zanarkand"となっているけど、他の出版社から出ているアレンジ版と違ってシンプルで演奏時間も短く、本当に FF-X のオープンでループ演奏されるオリジナルそのものだね。 楽譜に印刷してあるクレジットからすると、スクエニのオリジナルアレンジだからたぶん間違いないよね。 この種のライセンスは契約で発行部数限定(ロイヤリティ全額前払い)なので、見つけた時に買っておかないとすぐに絶版になるから注意。 手元のは大手ハル・レオナルド社から昔出ていたもの。 いつか紹介すると書いておきながら何年も出しそびれてた(;´Д`) いつか弾けるようになるといいなという曲。 申し訳ついでに、お勧めの名演奏ビデオを紹介しておくね(´∀` ) オリジナルだとオープニングタイトルでループしても違和感が無いように最後が疑似終止になっているけど、単独で演奏するときにはそれぽいコーダをアレンジして付け加える必要があります。 なんの話だったっけ(;´Д`) ああ、BWV Anh. 116ね。 たぶん大バッハはこの曲が同時代の曲に無い新しさがあることに気づき研究のために若い頃に写譜したのかもしれません。 大バッハ自身は対位法とフーガこそ最高の音楽芸術と信じて疑わなかったので晩年その啓蒙に力を注いだものの、皮肉にもこの曲に代表される機能和声がその後の音楽の主役になっていったのでした。 ああ、すぐ脱線する、本題に戻ろう(;´Д`) 一発取りで会心の演奏が録音できるのを願っていたのですが、叶いませんでした( ´Д`) この曲は何気に難しいよね、コンクールや海外のグレード試験の課題曲に使われ続けるわけだよね。 演奏中に絶対なにか起こる(´∀` ) ・真面目に楽譜通り弾くと音楽的でなくなる(要ノートイネガル奏法) ・かといって真面目に正確な音価で弾かないと拍子が崩れる箇所がある(24小節) ・ポジション移動しながらゼケンツを弾くところがある(25,26,27小節) ・第二部で両手同時跳躍があるのでそこ外すと大事故(;´Д`) ・第一部のリフレインと第二部のリフレインが同じようだけど最後から2小節目が違う(Youtubeの演奏動画見るとピアノの先生も含め間違えている人多数、自分も普通間違えない第一部の繰り返しで第二部のパターンで弾くミスしてるし(´Д`;)) ・何気に装飾音を入れる余裕が無い(原典版と一部の実用版を除いては装飾音指示が校訂でも入ってないぐらい) 第二部の19小節目にある両手同時に跳躍する部分は、左手18小節目を引いている間第一指を鍵盤の位置に置いておいて、第五指を弾いたら音価より短く切って第三指を第一指にくっつけるようにポジション移動して19小節目を弾き始めると、左手の跳躍は目をつぶってもできるので、右手の危ない跳躍のポジション移動に意識を注ぐようにしています。版によっては指くぐりを使う奏法を推奨しているのもあるけどね。 何気に難所がいくつもあるよね。いつもどこか失敗する(´Д`;) そんなんだから、ユニークな装飾音を加えるなんて余裕ないっす( ´Д`) 山崎版も装飾音の指示は校訂で一切入ってないけど、山崎氏の演奏CDを聞くとしっかり譜面には書かれてない装飾音がたっぷり入っていたりします(´∀` ) まあ、自分で言うのもなんですが、いろいろ真似して装飾音を入れる練習もしてみたけど、いざ録音となるとそんな余裕が無くすっかりすっぽ抜けてしまうのでした。 なので、今回もBWV Anh. 114と同様に繰り返しが同じ演奏になってしまいました、申し訳ない。 それと後半が罠が一杯あるので、優しい第一部のテンポを軽快に早くしてしまうと、第二部でミスが出まくって演奏にならないという惨状(´Д`;) なので最初テンポを遅くしていますが、第二部あたりから少し早くなっています。後半は余裕なくてぎくしゃくした演奏(もうちょいで事故るパターン)になってしまいましたが、今はこれが限度です。 使用したデジタル音源は以下の通り。 先般のBWV anh. 114 の時と同じ。 ピッチ周波数が書いてないのは, H. Ruckers II Harpsichord (書いてないけど実は415Hzだった)以外は440Hzで音律は平均律(Equal Temperament)です。 バロックピッチの音律は、415Hzのものは Well Temperament(Bach-Kellner Temperament)で、392Hz はWerckmeister III となっています。 ・YAMAHA P115B Grand Piano(MIDI IN) ・YAMAHA P115B Harpsichord ・YAMAHA P115B Pipe Organ ・UVI Ravenscroft 275 Piano(Classic) ・PIANOTEQ Steinway B Home ・PIANOTEQ Neupert Clavichord Lute ・PIANOTEQ Neupert Clavichord 415Hz ・PIANOTEQ Neupert Clavichord 392Hz ・PIANOTEQ H.Ruckers II Harpsichord L8' ・PIANOTEQ H.Ruckers II Harpsichord U8' ・PIANOTEQ H.Ruckers II Harpsichord 4' ・PIANOTEQ H.Ruckers II Harpsichord L8'+U8' ・PIANOTEQ H.Ruckers II Harpsichord L8'+U8'+4' ・PIANOTEQ F.E.Blanchet Harpsichord(1733) ・PIANOTEQ F.E.Blanchet Harpsichord(1733) 415Hz ・PIANOTEQ F.E.Blanchet Harpsichord(1733) 392Hz ・PIANOTEQ C.Grimaldi Harpsichord(1697) A ・PIANOTEQ C.Grimaldi Harpsichord(1697) B ・PIANOTEQ C.Grimaldi Harpsichord(1697) A+B ・PIANOTEQ C.Grimaldi Harpsichord(1697) A+B 415Hz ・PIANOTEQ C.Grimaldi Harpsichord(1697) A+B 392Hz ・PIANOTEQ Cimbalom basic ・PIANOTEQ Cimbalom tzigane BWV Anh. 116 G-dur Menuet YAMAHA P-115B(G.Piano:MIDI IN default): YAMAHA P-115B(Harpsichord): YAMAHA P-115B(Pipe Organ): UVI Ravenscroft 275 Piano(classic): ここまでは従来と同様に、WALKMANで録音したもの。 以降はPIANOTEQで直接レンダリングしたもので、MP3はPIANOTEQ内蔵の圧縮コーデックLAMEが使用されており、先般のBWV Anh. 114 の時と同じ。 FLACはロスレス圧縮で44.1KHzサンプリング(CDと同じ)で24bitのハイレゾとなります。 PIANOTEQ Steinway B Home(MP3): PIANOTEQ Steinway B Home(FLAC): PIANOTEQ Neupert Clavichord lute(MP3): PIANOTEQ Neupert Clavichord lute(FLAC): PIANOTEQ Neupert Clavichord 415Hz(MP3): PIANOTEQ Neupert Clavichord 415Hz(FLAC): PIANOTEQ Neupert Clavichord 392Hz(MP3): PIANOTEQ Neupert Clavichord 392Hz(FLAC): PIANOTEQ H.Ruckers II Harpsichord L8'(MP3): PIANOTEQ H.Ruckers II Harpsichord L8'(FLAC): PIANOTEQ H.Ruckers II Harpsichord U8'(MP3): PIANOTEQ H.Ruckers II Harpsichord U8'(FLAC): PIANOTEQ H.Ruckers II Harpsichord 4'(MP3): PIANOTEQ H.Ruckers II Harpsichord 4'(FLAC): PIANOTEQ H.Ruckers II Harpsichord L8'+U8'(MP3): PIANOTEQ H.Ruckers II Harpsichord L8'+U8'(FLAC): PIANOTEQ H.Ruckers II Harpsichord L8'+U8'+4'(MP3): PIANOTEQ H.Ruckers II Harpsichord L8'+U8'+4'(FLAC): PIANOTEQ F.E.Blanchet Harpsichord(1733)(MP3): PIANOTEQ F.E.Blanchet Harpsichord(1733)(FLAC): PIANOTEQ F.E.Blanchet Harpsichord(1733) 415Hz(MP3): PIANOTEQ F.E.Blanchet Harpsichord(1733) 415Hz(FLAC): PIANOTEQ F.E.Blanchet Harpsichord(1733) 392Hz(MP3): PIANOTEQ F.E.Blanchet Harpsichord(1733) 392Hz(FLAC): PIANOTEQ C.Grimaldi Harpsichord(1697) A(MP3): PIANOTEQ C.grimaldi Harpsichord(1697) A(FLAC): PIANOTEQ C.Grimaldi Harpsichord(1697) B(MP3): PIANOTEQ C.grimaldi Harpsichord(1697) B(FLAC): PIANOTEQ C.Grimaldi Harpsichord(1697) A+B(MP3): PIANOTEQ C.grimaldi Harpsichord(1697) A+B(FLAC): PIANOTEQ C.Grimaldi Harpsichord(1697) A+B 415Hz(MP3): PIANOTEQ C.grimaldi Harpsichord(1697) A+B 415Hz(FLAC): PIANOTEQ C.Grimaldi Harpsichord(1697) A+B 392Hz(MP3): PIANOTEQ C.grimaldi Harpsichord(1697) A+B 392Hz(FLAC): PIANOTEQ Cimbalom basic(MP3): PIANOTEQ Cimbalom basic(FLAC): PIANOTEQ Cimbalom tzigane(MP3): PIANOTEQ Cimbalom tzigane(FLAC): 装飾音は、付点二分音符に長前打音を、最後の付点二分音符にモルデントを付けただけです。他は余裕なくパス(´Д`;) 次に取り組んでいるのは、少し先のBWV Anh. 126 Musetteね。 少し難易度が低いらしくコンクールやグレード試験の曲としても有名。 んじゃまた。 |
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