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webadm | 投稿日時: 2024-4-27 16:45 |
Webmaster 登録日: 2004-11-7 居住地: 投稿: 3093 |
続々:無限並行直線と電気力線 それぞれ、ρ、ρ、-ρ'(ρ'<2ρ) の線密度で帯電した無限長の平行導線があり、それらに直角な平面との交わりをそれぞれ、 A, B, C とすると ABC が正三角形をなすとき、A から出る電気力線のうち、 C 点に達するものと無限遠点に向かうものとの境界をなすものは AC とどのような角度で出るか?
というもの。 これは以前に直線上の点電荷と電気力線の問題で似たようなものがあったので、それの無限平行直線版である。 とりあえず電気力線をプロットしてみると著者の図とちょっと経路が違うものの、ループ状の電気力線がAから出てCへ向かっている様子が確認できた。 次ぎは電気力線の出口と尻尾のそれぞれについて電気力線の方程式をたてて、それらが同じ電気力線上であれば同値であることを利用してA点から出るときの角度α1,α2を求めることにする。 (2024.04.29) よくよく考えたら、以前の同種の問題では必ず電気力線が出るときと入る時の角度を定義していたが、この問題では出る時の角度を導出することだけを求めているのに対して、入る時の角度については何も情報を与えていないことに気付いた。 A から出る電気力線は無数にあり、また C に入る電気力線も無数にあるため、特定の電気力線を議論するには、A から出る角度だけでなく、 C に入る角度も特定する必要がある。 著者の解をチラ見すると、最初に問題文で欠落している C に入る時の角度を図と共に便宜的に仮定している。 これをやらずして問題を解くことは不可能なのであるから、出題者は予めそれも暗黙の内に題意に含めているとしか考えられない。 まあ、それに気付くか気付かないかで問題が解決できるか出来ないかの二択のどちらかになってしまう。 工学系とか物理系の問題解決には、大抵の場合そういった頓知が不可欠であり、人間の発想の豊かさが求められることは否めない。 物理学とかでは厳密に代数的に解が求められなくても、近似や実験による測定値の統計という手段をつかっておおよそこの値に収束するという結論で終わることも多い。代数的には解けていないが、物理現象を説明したり利用するにはそれで十分な事が多い。 なんの話だったっけ? ああ、A から出て C に入る電気力線を特定するには、A から出る角度だけではなく、C に入る角度も特定する必要があるということだった。 さて、問題を解く上での難しさはそれだけではなかった。 以前の直線上の点電荷の問題では、A から出て無限遠点に向かう電気力線はぎりぎり Cからそれて点電荷が並ぶ直線に沿って無限遠点に向かうため無限遠点に向かう角度が特定できたが、この問題では断面が正三角形状に配置された無限長線電荷であるため、C に向かわずに無限遠点に向かった電気力線の向きが特定できない。 なので当初無限遠点に向かう条件を使うつもりだったが、それは使えないということが判明した。 そのため著者の解にあるように、A から出て正三角形の外側を通って C に入るものと、A から出て 正三角形の内側を通って C に入る電気力線を考え、C に入る時にはどちらも C を通る正三角形の対称線に沿っているという条件を加える必要がある。 実際に上の条件は妥当なのかどうか謎である。 というのも、Maximaを使って正三角形状に並んだ無限並行直線の電気力線をプロットするために苦労したのは、電気力線の定義に反するようなものがプロットされてしまうためである。 この問題では2つの無限並行直線が同じρという線密度であるのに対して、残りひとつは、他の2つの線密度の総和よりも少ない逆極性の線密度ρ’という設定なのに対して、何故か同じ極性の2つの無限並行直線同士を結ぶ電気力線が現れてしまう点である。 また、著者の図と同じように、A と B を垂直線上に配置して、C をそれと直交する対称線上に正三角形を構成する位置に配置した場合、電気力線の形が正三角形の向きを変えただけで似ても似つかないものに変わってしまう謎現象があった。 著者の図では B から出る電気力線については何も描かれていないのでどうやって描いたかは謎だ。 なんの話だったっけ? ああ、電気力線を特定するための条件ね。 で残る疑問は、著者の解は本当にA から出て C に入る電気力線と A から出て 無限遠点に向かう電気力線の境界を本当に導出しているのかという点である。 今日ではどの電磁気学の教科書も電気力線に深入りしないのでこんだけ電気力線の問題を扱っているのはこの本だけなんだけどね。 たぶんに著者が根拠としているのは、A から出て C に入る同値の方程式を持つ電気力線は外回りと内回りの二つあり、それらがC 点では連続である(同値の微分係数が存在する)ということだと考えられる。 同じ電気力線であれば、最初の電気力線の問題で提示された電気力線の微分係数と電界の成分の比が比例関係にあるということを思い出せば、同じ電気力線なら C 点でも同じ接線(微分係数)を持つ要があるからである。 すなわち C 点に入る同じ電気力線の方程式の値を持つ外回りと内回りの電気力線が C 点に入る際に連続でないものは存在しないし、その場合には無限遠点に向かうものと考えられる。 ちょっと飛躍があるかもしれないが、そういうことだと仮定しよう。 著者の解では、C 点に入る電気力線の角度をいきなり導入しているけど、ここでは外回りと内回りをそれぞれβ1、β2としてα1、α2を解いた後、著者のβ1、β2の値を代入して同じ結果になるか検証することにする。 上のグラフではわかり難いので、位置関係は同じまま書き直すと、 まず外回りの電気力線から、 外回りする電気力線は、A 点近傍のPで以下が成り立つ、 同じ電気力線が C 点に外回りで入る時に以下が成り立つ、 同じ電気力線であれば、方程式の値は同値なので、以下の関係が成り立つ、 従ってα1に関して解けば、 ということになる。 ここで、著者の解で仮定している、外回りで C に入る角度をβ1に代入すると、 ということになる。 一方で、内回りする電気力線は、A 点近傍のPで以下が成り立つ、 同じ電気力線が C 点に内回りで入る時に以下が成り立つ、 同じ電気力線であれば、方程式の値は同値なので、以下の関係が成り立つ、 従ってα2に関して解けば、 ということになる。 ここで、著者の解で仮定している、内回りで C に入る角度をβ2に代入すると、 ということになる。 著者の解ではθ1,θ2,θ3の基準がABを二等分するCDを通る対称線を基準にしているのに対して、ここではACに並行な線を基準にしている点が異なるが、同じ結果が得られた。 試しに、ρ=1, ρ'=1, ρ'<2ρという条件でα1、α2を計算してみると、どちらもπ/2となり、ACに対して垂線方向に電気力線が出て行くことがわかる。 P.S この問題はθ1,θ2,θ3の基準線については共通であれば任意だが、α1、α2それにβ1,β2はそれとは異なり、ACを基準にした角度である点に注意が必要だった。 結局のところ著者の図のような電気力線が存在するのかどうか、電気力線の方程式を使ってMaximaでプロットしても似ても似つかぬ電気力線しかプロットされない原因は不明。その原因を見つけるのは読者の課題としよう(´∀` ) |
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